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【高校地理総合】ヨーロッパ州のポイント

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【高校地理総合】ヨーロッパのポイントについてまとめています。

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ヨーロッパの概要

  • 自然…日本より高緯度に位置するが, 比較的温暖。中部は構造平野(パリ盆地やドイツ平川)、北部・南部は半島と島々。
  • 社会…インド=ヨーロッパ語族に属する言語。北部にゲルマン系民族(プロテスタント), 南部はラテン系民族(カトリック)。中央部・南東部はスラブ系民族(ギリシャ正教, カトリック)。
  • 混合農業…北部・西部では穀物・飼料作物の栽培と家畜の飼育を組み合わせた混合農業が発達。
  • 地中海式農業…地中海沿岸では夏はオリーブ、ぶどうなどの果樹。冬は小麦を栽培する地中海式農業を行う。
  • 工業…イギリスで産業革命が始まる。現在、工業の中心は臨海部。

ヨーロッパの国々

  • イギリス…西岸海洋性気候。ロンドンは金融の中心。北海で石油を産出。フランスとはユーロトンネルで結ばれる。イギリスから産業革命が始まり、イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランドの4つの国で構成されています。
  • フランス…EU最大の農業国で, 農作物を輸出。北フランス炭田・ロレーヌ鉄山とルール炭田(ドイツ)を結ぶ地域は重工業三角地帯。1958年10月にフランスの憲法が制定されて、半大統領制の共和制の国。高福祉高負担国家であるのも特徴。
  • ドイツ…1990年, 東西ドイツが統一。トルコ・旧ユーゴスラビアからの外国人労働者が多い。ルール地方は,最大の工業地帯。環境先進国で、水質汚濁や酸性雨の被を害激しい規制で大気汚染や交通渋滞が和らいでいます。
  • ベネルクス3国…ECのひな型となる。ブリュッセル(ベルギー)にEU本部。ルクセンブルクにEU裁判所。ユーロポート(オランダのロッテルダム)はEU最大の貿易港。
  • 北ヨーロッパの国々…スカンジナビア3国と酪農のデンマーク。
  • 南ヨーロッパの国々…地中海式農業。北イタリアからスペイン北東部にかけて先端産業や観光業(リゾート産業)が発展。
  • 東ヨーロッパの国々…EU加盟国が増加。旧ユーゴスラビアの分裂。

ヨーロッパの特徴ある地形

氷河時代(氷期)につくられた地形において、ボスニア湾奥を中心とする一帯には、広大なスカンディナヴィア氷床が分布し、北緯50度付近より北部の大部分を覆っていた。氷河のほとんどが消失した現在では、U字谷に海水が浸入してフィヨルドを形成し、陸地には氷河湖やヒースランドが分布している。

アルプス山脈やジュラ山脈には山岳氷河が分布して急峻なホーンやU字谷を形成し、山麓には氷河が運搬した土砂が堆積してモレーンが形成された。

  • フィヨルド…スカンディナビア半島のノルウェー沿岸などでみられる、氷河によってけずられてできた複雑な海岸地形
  • リアス海岸…岬と入江が鋸の歯のような配列になっている海岸地形。名称はスペイン北西部のリアスバハス海岸に由来する。
  • カルスト地形…石灰岩が溶食されて形成された特異な地形。名称はスロベニアのカルスト地方に由来する。
  • 火山…アイスランドやイタリアなどに分布している。

ヨーロッパの主要な河川

  • ライン川…ヨーロッパを代表する国際河川。ライン地溝帯を北流し、オランダで北海へ注ぐ。中流域にはルール工業地域を中心に工業都市が多い。
  • ドナウ川…オーストリア・ハンガリー・セルビアを通って、黒海へ注ぐ国際河川。河口は三角州を形成。ライン川とは、マイン=ドナウ運河で結ばれている。
  • エルベ川…チェコ共和国のボヘミア盆地から流れ下り、ドイツの首都ベルリンを通り、ハンブルクから北海へ注ぐ。 河口はエスチュアリ(三角江)を形成。
  • セーヌ川…フランスのブルゴーニュ地方から流れ、首都パリを通って、ルアーブルでイギリス海峡へ注ぐ。
  • テムズ川…ロンドンを流れ、北海に注ぐ。河口はエスチュアリを形成。
  • ポー川…アルプス山脈から流れ下る多くの支流を集めイタリアのトリノを通り、 パダノ=ヴェネダ平野を横断してアドリア海へ注ぐ。

ヨーロッパの工業地域

ヨーロッパの工業地域をみると、古くから炭田や鉱山山を基盤とした重工業地帯が発達してきた。たとえば、イギリスのバーミンガムやグラスゴーの周辺、ドイツのルール地方、フランス東部のロレーヌ地方などで発達した。ヨーロッパの古い工業地域は主要な炭田の上に発展してきた。イギリスではミッドランドやスコットランド、ドイツではルール地方などの炭田周辺に重化学地域が形成された。

国境を越えた共同研究・開発が進んでいる。

  • イギリス…産業革命の発祥地。近年、国際競争力が低下した。バーミンガム(鉄鋼業)などから,北部のフォース湾など臨海部へ。
  • ドイツ…ルール工業地域は、西ヨーロッパ最大。内陸水運を利用。EU最大の工業国。内陸部から臨海部に工業の中心が移動。鉄鋼業・化学工業・自動車工業が発達。ルール炭田とライン川の水運を元にルール工業地域が発展。
  • フランス…パリ近郊、北部やロレーヌ地方。
  • オランダ…ライン川河口のユーロポートに、石油化学コンビナート。
  • イタリア…北部に工業が集中。南北の地域格差が大きい。
CIS諸国の工業
豊富な資源で工業が発達。→ソ連では産業5か年計画。コンビナートが発展。→現在は市場経済へ。ロシアは, モスクワ周辺、ウラル工業地域など。ウクライナはドニエプル工業地域。

スウェーデン

スウェーデン北部には、キルナやイェリヴァレなど、良質の磁鉄鉱を産する鉱山がある。これらの鉄鉱石は、ルレオ港から積み出されるが、冬季になると凍結するのでノルウェーにある不凍港のナルヴィクが利用されてきた。現在は、冬季でも、砕氷船を利用してルレオ港から輸出が可能になっている。鉄鉱石産地であるキルナとイェリヴァレは、共に鉄道によってボスニア湾に面したルレオと隣国のノルウェーの港湾都市ナルヴィクに結ばれている。

ヨーロッパの農牧業の特色

有畜農業、麦作中心の輪作、科学的な集約的農業。三圃式農業から混合農業・酪農・地中海式農業・園芸農業へ分化。

ヨーロッパの代表的な小麦産地として、イギリスのイングランド南東部、フランスのピカルディー地方、イタリアのポー川流域のパダノ=ヴェネタ平野をあげることができる。

地中海式農業

夏の乾燥に耐えるブドウなどの樹木栽培に特徴があり、樹木農業ともいわれる。降水がみられる冬に小麦の栽培、さらに家畜としてはヤギが飼育されることも。世界中の地中海性気候の地域でこの農業形態はみられ、南ヨーロッパ以外でも、アフリカ大陸北 西部・南西部、地中海東岸(イスラエルなど)、アメリカ合衆国太平洋岸(カリフォルニア州)、チリ中部、オーストラリア南部に地中海式農業地域はみられる。

ロシアと周辺諸国の農牧業の特色

コルホーズ(集団農場)などの集団的農牧業は解体され,私有地が増加。黒土地帯は企業的穀物農業が成立し,機械化が進む。

■ 農牧業地域
北部は遊牧地帯(となかい)、ウクライナの黒士(チェルノーゼム)地帯は世界的な小麦産地。中央アジアは,綿花と牧羊。

  • となかいの遊牧…極北に至る広い範囲
  • えん麦・大麦…おもに飼料とする
  • 酪農…牧草栽培と乳牛飼育
  • ライ麦・じゃがいも…主食とする作物栽培
  • 春小麦…チェルノーゼム
  • 大麦…大麦は適応力が強い
  • 綿花…灌漑が必要
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ヨーロッパ連合(EU)

ヨーロッパ統合の背景
第三次産業革命に対応した工業には、大量生産が決め手となるが、資本や労働力の調達、製品の販売にとって、細分化された国土が経済上の障壁となってきた。それが、ヨーロッパ統合の背景である。

ヨーロッパ連合(EU) への最初の動きは、小国の不利益に悩むベネルクス3国が1948年に結成したベネルクス関税同盟であった。また社会主義国の拡大に対応して、アメリカ合衆国がヨーロッパ諸国の経済復興を支援するマーシャルプランで、これを受けて、1948年にヨーロッパ経済協力機構(OEEC)が結成されたことも、西ヨーロッパの経済統合をうながした。

  • ヨーロッパ石炭鉄鋼共同体(ECCO)…炭田や鉄鋼業を国境近くに持つフランス・旧西ドイッベネルクス・ベネルクスの3国が、イタリアとともに石炭と鉄鋼の生産を協同管理するために、1952年にヨーロッパ石炭鉄鋼共同体(ECCO)を結成した。
  • ヨーロッパ原子力共同体 (EURATOM)…1957年に原子力研究とウラン濃縮施設の共同管理を目的に結成。
  • ヨーロッパ経済共同体(EEC)…1958年に関税同盟を発展させ設立した。これは、域内の関税を排して商品・労働力・資本の移動を自由化し、域外に対しては共通関税を設定するなど、統一した政策を持つ国際組織である。労働力移動の自由化とともに、労働者の賃金・有給休暇・年金などの政策も統一されることになった。

ヨーロッパ共同体(EC)
ECSC、EURATOM、ECC3共同体は、1967年に統合され、ヨーロッパ共同体(EC)となり、1973年にはイギリス・デンマーク。アイルランドが、1981年にギリシャ、1986年にはスペイン・ポルトガルが参加した。それにともない、対抗して1960年に結成されていたヨーロッパ自由貿易連合 (EFTA) は、イギリスなどがECに移って縮小している。

ヨーロッパ自由貿易連合 (EFTA)

EFTAは、商品・サービス・人・資本の自由な移動を保障しているが、EUのような共通通商政策の域外で関税同盟ではない。1993年にはドイツ統一などの国際情勢の変化に対応して、ヨーロッパ連合(EU)が成立し、人・モノ・サービス・資本の移動の自由に、単一通貨ユーロの創設、共通外交・安全保障政策、司法や移民関係の協力などが付け加わった。とくに2009年のリスボン条約によって、常任欧州理事会議長(欧州連合大統領)、欧州連合外相などが新設されている。また2004年に10カ国、2007年に2カ国がEUに加盟した。なかでも旧社会主義国(10カ国)は、計画経済から自由経済に移行しつつある。

EU欧州連合の現在

欧州連合は、2010年現在、27カ国が加盟し、23の公用語で運営されている。ブリュッセルに欧州委員会本部、ストラスブールに欧州議会、ルクセンブルクに欧州裁判所、フランクフルトに欧州中央銀行がおかれ、各国首脳による欧州理事会や政策分野別の閣僚理事会、行政機関として欧州委員会、立法機関として欧州議会などの役割が明確化された。

EUの例外規定

領域の拡大は例外規定を増加させた。イギリスやフランスなど主要国が保有する旧植民地や海外領を統合すべきかどうかも問題となる。単に領域だけではなく、個別の懸案についても加盟国に多くの例外を認め、たとえば統一通貨ユーロは、イギリスやスウェーデンなどではいまだに使用されていない。逆に域外の小国(ヴァチカン、アンドラ、サンマリノ、モナコ)でユーロを使用しているのも、例外規定の一種である。

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