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【高校政治経済】地方自治の要点・演習問題

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【高校政治経済】地方自治の要点・演習問題です。

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地方公共団体のしくみ

地方公共団体のしくみ
議決機関と執行機関とがある。

  • 議決機関…議会。住民の直接選挙で選ばれた議員で構成。一院制。条例の制定・改廃、予算の決定。決算の認定などを行う。
  • 執行機関…首長(都道府県知事・市町村長)が単独でこれにあたり、住民の直接選挙で選ばれる。条例の執行、議案・予算の議会への提出、規則の制定などを行う。
  • 執行補助機関…都道府県では副知事、市町村で は副市長村長がある。このほか、首長から独立した執行機関として各種の行政委員会がおかれる。

議会と首長の関係

首長は議会に対して拒否権をもち、首長が条例・予算に異議あるときは再議に付すことができる。ただし、議会が3分の2以上の多数で再議決すると、その条例や予算は議決通りに決まる。

不信任決議と解散

議会の首長への不信任決議権に対し、首長の議会の解散権が認められている。議会が首長への不信任決議をしたとき、首長は, 10日以内に議会を解散しないとき、または解散後はじめて招集された議会で再び不信認決議を受けたときには、辞職しなければならない。

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地方自治の歴史

地方自治とは、一定の地域の住民が、その地域を自主的に統治すること。地方自治は民主主義の基礎ともいわれ、イギリス者ブライスは「地方自治は民主主義の学校」と表現した。

明治以降の地方自治

明治時代に市制・町村制および府県制・郡制がしかれて地方自治制度が始まった。

  • 大日本帝国憲法…地方自治を扱う規定はなく, 内閣の厳格な指揮・監督下にあり、知事も官選であった。中央官庁の末端という意味合いが強かった。
  • 日本国憲法…1947年、日本国憲法に基づき地方自治法が制定された。 3

地方自治の本旨

日本国憲法では地方自治を重視し、第8章を地方自治に充てた。その第92条に「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める」と規定。地方自治の本旨とは、団体自治と住民自治のことを意味する。

  • 団体自治…地方公共団体が国から相対的に独立して、その地域の公共事務を自主的な意思に基づいて行うこと。中央集権に対し、分権的側面からの意義を強調。条例制定権はその表れとされる。
  • 住民自治…地方公共団体の運営に住民が直接的あるいは間接的に参加し、住民の意思と責任によって自治運営を行うこと。自治的側面からの意義を強調する。首長などの直接公選性や直接請求権はその表れとされる。

地方自治の運営

地方公共団体(地方自治体) は、地方自治を行う単位。普通地方公共団体と特別地方公共団体がある。特別区(東京23区)や地方公共団体の組合が、特別地方公共団体にあたる。

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住民の権利

その資格要件は公職選挙法に定められている。

  • 選挙権…地方公共団体の議会の議員や長を選挙する権利。年齢満20歳以上。
  • 被選挙権…議員や長に立候補する権利。地方議会議員およ満25歳以上、都道府県知事は満30歳以上の者に資格がある。

直接民主制の要素が多くとり入れられている。

  • 住民投票権…地方特別法に対する住民の投票による決定権
  • 直接請求権…条例の制定・改廃の請求(住民発案, イニシアティブ)・首長・議員の解職や議会の解散の請求(住民解職, リコール)、 監査の請求。
  • レファレンダム(住民投票)…特別法を制定する場合、住民の直接投票によって過半数の同意を得ることが必要となる。

請求の種類

請求の種類 必要な署名 請求先
条例の制定または改廃の請求 有権者の50分の1以上 首長
監査請求 監査委員
議会の解散請求 有権者の3分の1以上 選挙管理委員会
解職請求(リコール) 議員・首長
副知事・副市(区)町村長、各委員など 首長
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地方の財政

地方自治体の歳入において、地方税などの自主財源は全体の30~40%で、国からの地方交付税や国庫支出金に依存してきた(三割自治)。

政府は

  • 国庫支出金の削減
  • 地方交付税の見直し・縮小
  • 国から地方への税源移譲

を同時に進めた(三位一体の改革)。

地方債発効要件の緩和

地方債発行には総務大臣の許可が必要であった(許可制)が、2006年から事前協議制に移行した。

地方分権一括法

1999年に成立し、これまで国の指揮・監督下で処理されてきた機関委任事務が廃止された。

  • 自治事務の拡大…国の指示を受けない自治事務(都市計画の決定病院・薬局の開設許可など)と、国が実施方法まで指示できる法定受託事務(戸籍事務、国政選挙、旅券の交付、生活保護など)とに再編された。自治事務の割合が増え、自治体の負担は減少。
  • 国地方係争処理委員会…国からの地方自治への関与をめぐって対立が生じた場合、自治体の側から不服申し立て・審査請求ができるようになった。

その他の地方自治改革

地方の立て直し・地方自治の本旨の観点から、地方自治改革は大きく前進。市町村合併が進み、道州制移行も検討されている。

  • NPO法…1998年。行政や企業と連携して事業を行うNPOを支援。
  • 構造改革特区法…2002年。一定分野の規制緩和により地域の活性化を図る。
  • 地方分権改革推進法…2006年。地方分権改革をさらに進める。

地方自治の分権推進の課題

財源不足や財政の健全化が課題。国からの補助金や地方債にたよる。

  • 地方交付税交付金…地方公共団体間の財政格差を解消するために区から配分される。
  • 国庫支出金…特定の費用の一部について国が支払う。
  • 地方債…地方公共団体の借金
  • 地方分権…国と地方公共団体を対等に位置づけて、国の仕事や財源を地方に移すこと。地方分権一括法が成立し、地方公共団体が独自の活動が行えるようになった。
  • 市町村合併…仕事の効率化、財政の健全化などが背景。
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地方自治の演習問題

日本の地方自治に関する記述として最も適当なものを、次の 1~4のうちから一つ選べ。

1 地方分権一括法によって, 地方自治体の事務が,自治事務と機関委任事務とに再編された。
2 特定の地方自治体にのみ適用される法律を制定するには、その住民の投票で過半数の同意を得ることが必要とされている。
3 地方自治体には、議事機関としての議会と執行機関としての首長のほかに司法機関として地方裁判所が設置されている。
4 地方自治体の議会は、住民投票条例に基づいて行われた住民投票の結果に法的に拘束される。

地方自治の演習問題の解答・解説

正解 2

憲法第95条に規定されている, 特別法の制定の際に必要とされる住民投票実施の内容である。

1地方分権一括法によって,機関委任事務は廃止され,自治事務と法定受託事務となった。
3地方自治体は裁判所を設置することはできない。地方裁判所は国の機関としての下級裁判所である。
4住民投票条例に基づいて行われる住民投票には法的拘束力はない。

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