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【大学入試】人権問題についてのポイント

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大学入試・小論文出題ネタ|人権問題のポイントについてまとめています。

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人権問題のポイント

法学部を中心に社会系でしばしば問われる。差別用語問題、死刑制度問題、プライバシー問題など、具体的な問題として出題される。

人権の意味

民主主義社会とは、ひと言で言えば、すべての人の基本的人権を認めようとする社会のこと、つまり、差別のない社会のことと考えてよい。現在、日本には女 性差別、部落差別、外国人差別、障害者差別など、さまざまな差別がある。それらをなくしていくことが求められている。ただし、現実には難しい問題がたくさんある。個人を尊重すると、ほかのみんなが迷惑することがある。みんなを尊重すると、困る人がでてくる場合がある。そうした際にどうするかが問題になる。みんなの人権をすべて尊重することはできない。

  • 法の下の平等…憲法第14条のは、全ての国民の平等を定める。
  • だれもが持っている人権…人権は全ての人に保障される→社会の中 で弱い立場にある人々にとっては,特に大切である。
  • 子どもの人権…「子ども(児童)の権利条約」は、1989年に国際連合で採択され、日本も1994年に批准。子どもの生きる権利・育つ権利・守られる権利・参加する権利を定める。

死刑制度

今、そうした問題として議論されてい るのが死刑制度問題だ。死刑制度を存続すべきか。みんなの利益を考えると凶悪犯は死刑にするほうがよい。だが、一人の人間を 死刑にするということは、その人間の最も基本的な生きる権利を奪うということ。

賛成派
死刑廃止を求める人は、こう主張する。 「すべての人の権利を保証するというのが、法の根本理念だ。それを法自身が破ってはいけない。それに、死刑があれば、重罪を防げるという意見があるが、死刑 があっても犯罪が減るわけではない。しかも、死刑にすると、後に無罪だとわかっても取り返しがつかない。そうしたことから、法的に考えれば、死刑を存続すべきではない」

反対派
それに対して、死刑存続論者はこう反 論する。「人を殺して、他者の人権を踏みにじったのだから、自分の人権も否定されて当然だ。危険な人物が生きていると、ほかの人々の権利が否定される恐れ がある。国家は国民全体の利益のために は、重罪人を殺す権利がある」人権にからむ問題は、以上のように、個人を重視するか、それとも集団の利益を重視するか、という問題が関わっていることを考慮したうえで論じる必要がある。

死刑制度廃止

先進国のほとんどが死刑制度を廃止している。日本もその傾向が強かったが、オウム事件など、凶悪事件の続発のために死刑制度自定論が増えている。

差別用語規制

テレビや新聞などの発の場での差別用語は現在規制されているが、言論の自由のために、規制を緩めるべきだという意見がある。それに対して、差別用語を用いることは 差別を認めたことになるので、規制すべきだという見が強い。

犯罪報道

報道において、容疑者の写真を出すか、容疑段階で実名を報道するかが問題になる。しかし、容疑段階では人権を重視するのが原則だ。

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基本的人権と個人の尊重

人権を保障するということの「個人の尊重」の原理に基づいて、基本的人権が保障されている。

➊個人の尊重…憲法第13条に定められた。 一人一人の個性を尊重し、かけがえのない人間としてあつかうという原理。
➋法の下の平等…憲法第14条のは、全ての国民の平等を定める。

だれもが持っている人権

人権は全ての人に保障される→社会の中 で弱い立場にある人々にとっては,特に大切である。

子どもの人権

「子ども(児童)の権利条約」は、1989年に国際連合で採択され、日本も1994年に批准。子どもの生きる権利・育つ権利・守られる権利・参加する権利を定める。

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平等権

平等に生きる権利は、全ての人が持つ平等なあつかいを受ける権利を、平等権という。平等権に反する差別をなくさなければならない。

部落差別の撤廃

被差別部落出身者に対する, 就職や結婚などでの部落差別。江戸時代の「えた身分」「ひにん身分」に由来、同和問題ともいう。部落差別→1965年、同和対策審議会の答申において, 部落差別をなくすことは国の責務であり,国民の課題であると宣言された。

アイヌ民族への差別の撤廃

北海道などに古くから暮らすアイヌ民族に対して,伝統的な風習などを禁止→1997年に制定されたアイヌ文化振興法は, アイヌ文化の振興と伝統の尊重を目指す。

在日韓国・朝鮮人への差別の撤廃

在日韓国・朝鮮人の中には, 日本の韓国併合による植民地支配の時代に, 日本への移住を余儀なくされた人々とその子孫も多い。就職や結婚などでの差別→歴史的事情を配慮して人権を保障することが大切。

男女平等を目指して

いまだに性別役割分担の考えが残る。「男性は仕事, 女性は家事と育児」 。採用や昇進などで女性が不利。セクシュアル・ハラスメントも問題→1985年, 雇用機会均等法, 1999年, 男女共同参画社会基本法制定。男女が対等に参画し活動できる社会をめざし、育児休業の取得促進、保育所の整備などが求められる。

障がいのある人への配慮

自立と支援のために障害者基本法を制定。

➊バリアフリー…障がいのある人や高齢者が安全・快適に暮らせるよう,さまざまな障壁(バリア)を取り除こうとする考え方。身体的・精神的・社会的な障壁。
➋ノーマライゼーション…障がいのある人もない人も区別されることなく,社会の中で普通の生活を送ること。

在日外国人への配慮

1980年代後半以降、アジアの人々や南アメリカ(ブラジルやペルーなど)、中国やフィリピンなどの日系人が増加→学校や職場での差別をなくす。社会保障などに配慮。たがいに尊敬し助け合う共生社会の実現→言葉や文化,性別,年齢, 障がいの有無などに関係なく利用できるユニバーサルデザインの試み。

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自由権

自由に生きる権利の自由権とは、私たちが自由に考え行動することを保障する権利→個人として尊重され、人間らしく生きていくためには欠かすことができない。精神の自由,身体の自由,経済活動の自由。

精神の自由

自由に物事を考えたり、思想や信仰を持ったり、団体を作ったり、自分の意見を発表したりすることを保障。

➊思想信条
思想信条に関する内心の自由をめぐる争いの例として三菱樹脂事件が挙げられる。この三菱樹脂事件に関して最高裁判所は、憲法の人権規定は私人間に直接適用されず、企業は特定の思想信条を有する労働者を、それを理由に雇用しなくても違法ではないという判断を示した。
➋信教の自由
信教の自由に関しては、国家の非宗教化を確立することで、個人の信教の自由を制度的に保障 する政教分離もしばしば問題となっている。政教分離の原則が争われた裁判の例として、津地鎮祭訴訟が挙 げられる。津地鎮祭訴訟では三重県の津市が行った地鎮祭について、単なる習俗であり政教分離の原則に反しないという合憲判決を下した。
➌表現の自由
表現の自由とは、考えたことなどを外部に表して他人に伝える自由である。表現の自由の獲得は、検閲の廃止を求めることから始まったとされる。検閲とは、政府などの公権力が表現物を事前に審査し、必要があれば差止めを行うことである。

身体の自由

正当な理由なくとらえられたり、無実の罪で刑罰を受けたりしないことを保障。

経済活動の自由

自分の住む場所や職業を自由に選ぶ権利や財産権(金や土地などの財産を持つ権利)を保障。精神の自由に比べて法律で広く制限される。

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社会権

人間らしい生活を営む権利D日本国憲法は,社会権として、生存権。教育を受ける権利、勤労の権利, 労働基本権を保障。

生存権

「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」(憲法第25条)。

生活保護法…病気や失業で働けない人に生活に必要な費用を支給。
社会保障制度…老齢年金や医療保険、介護保険などの整備が必要。

教育を受ける権利

全ての子どもが学校で学習することを保障→教育の基本的な方針は教育基本法で定められている。

勤労の権利と労働基本権

勤労の権利として働くことを保障。

労働基本権(労働三権) …使用者に対して弱い立場にある労働者のための権利で、労働組合を作る権利(団結権)・労働組合が労働条件の改善を求めて使用者と交渉する権利(団体交渉権)・要求の実現のためにストライキを行う権利(団体行動権)がある。

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人権保障を確かなものに

参政権

国民が政治に参加する権利。議員や知事などを選挙する選挙権。選挙に立候補する被選挙権がある。また, 憲法改正の国民投票権。最高裁判所裁判官の国民審査権、国や地方の機関に要望をする 請願権も参政権にふくまれる。

裁判を受ける権利

裁判所に裁判を行うように求める権利。

その他の請求権

国家賠償請求権, 刑事補償請求権。公務員による損害の賠償を請求無罪判決を受けた人が補償を請求

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公共の福祉と国民の義務

「公共の福祉」による人権の制限の人権には, 他人の人権を侵害して はならないという限界がある→「公共の福祉」として人権を制限。自由 や権利の濫用を認めず、国民は常にそれらを公共の福祉のために利用す る責任があると定める(憲法第12条)。

自由権と公共の福祉

経済活動の自由には公共の福祉による制限が広く認められてきたが, 精神の自由には限定的にしか認められていない。

国民の義務

子どもに普通教育を受けさせる義務,勤労の義務, 納税 の義務一教育と勤労の義務は,同時に権利でもある。

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新しい人権

産業や科学技術の発展と人権において、社会の変化と「新しい人権」産業の発達や科学技術の発展, 情報化の進展にともない、新しい人権が主張されるようになった。

環境権

高度経済成長期に公害が深刻化すると,良好な環境を求める環境権が主張される→日照権、環境基本法の制定、環境アセスメント(環境影響評価)の義務化。 大規模な開発事業の前に環境への影響を調査する。

自己決定権

個人が自分の生き方や生活の仕方を自由に決定する自己決定権が主張される→医療でのインフォームド・コンセント(十分な説明に基づく同意), 死後の臓器移植についての臓器提供意思表示カード。

科学技術の発展と人権

科学技術の発展によって,生命と人権に関 する難しい課題が生まれる→延命治療をこばむ尊厳死, 医師の手を借りて死を選ぶ安楽死(尊厳死や安楽死は自己決定権としての主張がある), 遺伝子技術, クローン技術, 遺伝子診断など一慎重な議論や対応が必要。人間のクローンを作ることは法律で禁止されている

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情報化の進展と人権

知る権利

国民が主権者として政治について判断するために, 国や地方の情報を手に入れる「知る権利」が認められる→国や地方は情報公開制度を設け, 請求に応じて情報を開示。報道機関も知る権利を支える。新聞・テレビなど

プライバシーの権利

マスメディア(テレビや週刊誌など)の報道が個人の私生活の秘密を公開する恐れ→個人の私生活に関する情報を公開されないプライバシー
(肖像権もその一つ)の権利(表現の自由により侵害される可能性がある)が認められる→国や地方,民間の情報管理者が個人情報を慎重に 管理するのを義務づける個人情報保護制度の設置。

インターネットと人権

だれもが簡単に情報を発信できる一方, プライバシーの権利の侵害や匿名の書きこみによる名誉き損(他人の名誉を傷つける行為)、著作権(知的財産権の一つ)が保護されないなどの問題→権利を守る仕組みを整える必要がある。

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グローバル社会と人権

人権保障の国際的な広がり、国による人権保障の在り方に差→重大な人権侵害が起こってきた。

  • 世界人権宣言…1948年、国際連合で採択。各国の人権保障の模範。条約ではない
  • 国際人権規約…1966年、国際連合で採択。世界人権宣言を条約化し締約国に人権の保障を義務づける。
  • その他の条約…差別の解消→人種差別撤廃条約, 女子差別撤廃条約。権利の確保→障害者権利条約など。

国際人権規約

「世界人権宣言」は条約でないため、各国への法的拘束力がない。そのため、世界人権宣言を条約化して、法的拘束力をもたせた条約。経済的、社会的、文化的権利に関する国際規約と、市民的、政治的権利に関する国際規約からなっている。

先住民族の権利

先住民族の権利(カナダのイヌイット、オーストラリアのアボリジニなど)を保障する「先住民族の権利に関する国連宣言」が2007年に国際連合で採択された。

これからの社会と人権保障

グローバル化の進展によって社会問題は地球規模に(地球環境問題, 貧困問題 難民問題など)→国際的な協力が必要→国境をこえるNGO(非政府組織)の活動が注目される。

NGO(非政府組織)

社会貢献を目的として国際的な活動をする一般市民の団体。国際的な人権保障実現のため、国境を越えて活躍。「国境なき医師団」(緊急医療援助を目的とした国際的な団体)などが世界中で活動。

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人権の歴史

人権(基本的人権)とは、人が生まれながらにして持 個人として尊重されながら、平等にあつかわれ、自らの意思で自由に生きる権利。

人権の獲得と近代革命

人々の長年の努力により人権が保障される。特に17~18世紀にかけての近代革命→人権の思想が身分制に基づく国王の支配を打ち破る大きな力となった。アメリカ独立戦争, フランス革命など

人権の保障

アメリカ独立宣言やフランス人権宣言で, 全ての人間は生まれながらにして人権を持つと宣言された。

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人権思想の発展と広がり

近代の人権宣言では,自由権を保障。表現の自由, 信教の自由など

19世紀

自由な経済活動により資本主義経済が発展→普通選挙運動や労働運動の高まり→男性の普通選挙権が認められるようになる。貧富の差の拡大, 長時間労働や低賃金ふ

20世紀

人間らしい生活を保障する社会権が認められるようになる→1919年のドイツのワイマール憲法は, 社会権を取り入れた最初の憲法。「人間に値する生存」の保障。第二次世界大戦後は、各国の憲法で人権が広く保障される。さらに国際連合の世界人権宣言などにより,人権を国際的に保障。

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日本の人権思想の芽生え

明治時代に欧米から伝えられる

大日本帝国憲法

1889年に発布。欽定憲法。国民は主権者の天皇より君主が定める。臣民ノ権利」をあたえられる。→権利は法律によって制限できた。政治活動などの抑圧が行われた。

憲法大日本帝国憲法
成立1889年発布、1890年施行
性格欽定
主権者天皇
天皇神聖不可侵
国民の権利法律の範囲内で自由や権利を認める
国会天皇の協賛機関
内閣天王を助けて政治を行う
裁判所天皇の名において裁判
基本的人権法律によって制限できる
軍隊兵役の義務あり、天皇の統帥権
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人権の思想家

  • ロック (イギリス・1632~1704年) 「統治二論」で抵抗権を唱える。
  • モンテスキュー(フランス・1689~1755年) 「法の精神」で三権分立を唱える。
  • ルソー (フランス・1712~1778年) 「社会契約論」で人民主権を唱える。

憲法の歴史

  • 1215 マグナ・カルタ(イギリス)
  • 1689 権利章典(イギリス)
  • 1776 アメリカ独立宣言
  • 1789 フランス人権宣言
  • 1889 大日本帝国憲法
  • 1919 ワイマール憲法(ドイツ)
  • 1946 日本国憲法
  • 1948 世界人権宣言(国際連合)

イギリスでは, マグナ・カルタ,ピューリタン革命,名誉革命(権利章典)によってしだいに国王の権利を制限。一方で議会の力が強まり, 立憲君主制となった。

ピューリタン革命

1640年から60年、王政が否定され、クロムウェルによる共和政治が行われる。

名誉革命

1688年、議会を無視する国王を追放し、新たなを王を迎える。翌年、権利章典を制定。名誉革命によってイギリスの議会政治の基礎ができた。

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