【高校地理総合】発展途上国と先進国の都市問題についてまとめています。
発展途上国と先進国では、都市の発展や成長に伴う問題が異なります。発展途上国では急速な都市化によりスラム街の拡大やインフラ整備の遅れ、貧困層の増加といった課題が浮き彫りになっています。一方、先進国では高度な都市化に伴い、高齢化問題や交通渋滞、環境問題などが深刻化しています。これらの都市問題は、それぞれの国の経済的背景や社会構造に大きく関わっており、解決にはさまざまなアプローチが求められています。本記事では、発展途上国と先進国における都市問題の違いと、その解決に向けた取り組みをポイントごとに解説していきます。
発展途上国の都市問題
急激な人口増加(人口爆発)により、人口支持力の弱い農山村部から大都市へ人口が流入している。各国内で人口第1位の大都市=プライメートシティ(首位都市)の肥大化が進む。バンコク・メキシコシティなど。
流入人口に対し、就業機会は不足しているため、多くは露天商・靴磨きなどのインフォーマルセクターとよばれる非正規部門の仕事に従事することになる。
既成の住宅地の周辺に低所得者層によってスラム(不良住宅地区)が形成される。本来は居住に適さない、土地所有が不明確な空地にも住宅が形成されることもある(スクオッター)。
家を持たず、路上や空き地で生活するホームレスやストリートチルドレンが増加している。
先進国の都市問題
都市人口の急速な増大に伴う過密化により発生。都心部の昼間人口は大きくふくれあがるのに対して、夜間人口は極端に少ない。
住宅問題(地価高騰による宅地不足)、交通問題(通勤ラッシュ・渋滞)、都市公害(大気汚染・騒音・振動など)、都市災害(火災・水害・地震災害)、 都心から郊外に人口が流出するドーナツ化現象、市街地が無秩序に拡大するスプロール現象などが発生。
富裕層は郊外に流出し、都心部が荒廃するインナーシティ問題が発生。建物の老朽化、生活環境の悪化、スラムの形成など。
- 過密地域…大都市に企業や人口が集中している。過密問題として、交通渋滞、住宅の騒音、ゴミ問題が増加。ドーナツ化現象もあり、郊外のニュータウンで人口が増加。
- 過疎地域…山間地域や離島を中心に全国に広がる。限界集落は、高齢化が極端に進んだ集落。対策として、豊かな自然伝統文化を活用した町おこし・村おこしにより過疎化をおさえる取り組みが進む。
問題解決策
都市問題解決のため、新都市の建設や都心部の再開発が行われる。
近年は、それまでの低所得者向けの住宅に代わり、比較的所得の高い人々(特に若年層) に向けた住宅建設が行われ、都心への人口回帰現象もみられる。このような現象をジェントリフィケーションという。
- テムズ川沿いのドックランズ(ロンドン)
- ラ・デファンス地区(パリの西郊)
- 東京湾岸ウォーターフロント(台場・汐留・みなとみらい21)
- 大阪湾岸ウォーターフロント(ポートアイランド・六甲アイランド・りんくうタウン)
など
コメント