地球温暖化は、今や人類全体が直面する最も深刻な環境問題の一つである。二酸化炭素やメタンなどの温室効果ガスの増加により、気候変動や異常気象が頻発し、世界各地で深刻な影響をもたらしている。本記事では、大学入試小論文で頻出テーマである「地球温暖化」について、原因・影響・国際的な取り組みを整理し、さらに具体的な対策として「電気自動車の普及」に焦点を当てた模範解答例を紹介する。小論文対策としての構成や書き方のポイントも併せて解説する。
地球温暖化についてのまとめ(大学入試小論文向け)
1.地球温暖化の定義・概要

地球温暖化とは、大気中の二酸化炭素(CO₂)やメタンなどの温室効果ガスが増加することによって、地球全体の平均気温が長期的に上昇する現象を指す。これは自然現象でもあるが、近年は人間の活動による影響が極めて大きいとされている。
2.地球温暖化の原因

主な原因は、人間の経済活動に伴う温室効果ガスの排出である。
- 化石燃料(石炭・石油・天然ガス)の大量使用
- 森林伐採によるCO₂吸収源の減少
- 畜産業によるメタンガスの排出
- 交通・産業・電力生産などのエネルギー消費増大
これらの要因により、産業革命以降の約150年間で大気中のCO₂濃度は急上昇し、地球の平均気温も約1.2℃上昇している。
3.地球温暖化の現状と影響

地球温暖化はすでにさまざまな形で影響を及ぼしている。
- 気象異常の増加:猛暑・豪雨・干ばつ・台風の大型化などが頻発。
- 海面上昇:南極やグリーンランドの氷床が溶け、沿岸部や島嶼国が危機に直面。
- 生態系の変化:生息域の移動や絶滅危惧種の増加。
- 食料・水資源への影響:農作物の収穫量減少や水不足の拡大。
- 健康被害:熱中症や感染症の拡大。
これらは一国では解決できず、国際的な協力が不可欠である。
4.地球温暖化の国際的な取り組み

- 京都議定書(1997年):先進国に温室効果ガス削減の義務を課す。
- パリ協定(2015年):すべての国が参加し、世界の平均気温上昇を「産業革命前から1.5~2℃以内」に抑える目標を設定。
- SDGs(持続可能な開発目標):特に「目標13:気候変動に具体的な対策を」に関連。
5.地球温暖化の日本の取り組み

- 「2050年カーボンニュートラル」宣言(2020年)
- 再生可能エネルギーの導入拡大(太陽光・風力など)
- 省エネ技術や電動車(EV)の普及促進
- 地域単位での脱炭素社会づくり(ゼロカーボンシティ構想)
6.地球温暖化の課題

- 経済成長との両立の難しさ
- 発展途上国への技術支援や資金援助の不足
- 再生可能エネルギーのコストや安定供給の問題
- 国民一人ひとりの意識の低さ
7.考え(例)
私は、地球温暖化の問題は「国家間の責任」だけでなく「個人の行動」も問われていると考える。
日常生活における節電やリサイクル、公共交通機関の利用など、身近な取り組みが大きな変化を生む。さらに、科学技術の進歩とともに、自然と共生する社会システムを構築することが求められる。
地球温暖化は未来世代の生存にも関わる問題であり、私たち一人ひとりが「自分ごと」として向き合う姿勢が必要である。
(ある人の)地球温暖化に関する解答例
近年、地球温暖化の進行が深刻化し、その主因である温室効果ガスの削減が世界的な課題となっている。中でも、牛のげっぷに含まれるメタンガスが地球温暖化に与える影響が注目され、牛肉や乳製品の消費削減を求める声も上がっている。しかし、私は、牛肉や乳製品の生産・消費を減らすよりも、すべての自動車を電気自動車(EV)に転換する方が、温室効果ガスの削減において効果的であると考える。その理由は、電気自動車の普及が、エネルギー起源の温室効果ガス全体の削減につながるとともに、社会の持続可能性を損なわないからである。
第一に、メタンガスの排出源のうち、牛のげっぷは自然な生理現象であり、短期間で大幅に削減することは困難である。牛肉や乳製品は、人々の健康維持に不可欠なたんぱく質や脂質を供給しており、単純にそれらを排除することは栄養バランスや食文化の面でも大きな影響を及ぼす。一方で、自動車による化石燃料の燃焼は、人為的に制御可能な排出源であり、電気自動車という明確な代替手段が存在する。したがって、「排除可能な排出源」から優先的に削減を進めることが、現実的かつ効果的な温暖化対策である。
第二に、政府も2035年までに新車販売をすべて電動車とする方針を掲げており、脱炭素化の実現に向けた社会構造の転換期にある。現状ではガソリン車が依然として多数を占めているが、電気自動車の導入を加速させれば、エネルギーの再生可能化とあわせて、温室効果ガス全体の大幅な削減が見込める。特に、発電を再生可能エネルギーに切り替えることで、車の走行に伴う排出をほぼゼロにできる可能性がある。これは、牛のメタン削減と比較して、技術的にも政策的にも実現可能性が高い。
第三に、電気自動車普及における課題として充電インフラの不足が指摘される。しかし、この問題はすでに民間企業による積極的な取り組みによって解消へと向かいつつある。例えば、第一交通産業ではタクシーの電気自動車化を進めるとともに、車両を使用しない時間帯に充電スタンドを一般に開放する計画を打ち出している。このように、企業が自社の設備を地域社会と共有する取り組みは、インフラ整備を促進すると同時に、地域の利便性を高める効果も期待できる。電気自動車の普及が進めば、充電スタンドの設置が進み、さらなる利用促進につながるという好循環が生まれるだろう。
以上のように、地球温暖化対策としては、牛肉や乳製品の削減よりも、電気自動車の全面的な普及を優先すべきである。生理的に避けがたいメタン排出を問題視するよりも、技術によって制御可能なエネルギー起源の排出削減に注力する方が、社会的合理性が高い。今後は、政府・企業・個人が協力し、再生可能エネルギーと電気自動車の両輪によって脱炭素社会を実現していくことが求められる。環境保全と人間の生活を両立させるために、私たちは「変えられる部分から変える」姿勢を持ち続けるべきである。
地球温暖化に関する講評(抜粋)
論文は独自かつ興味深い立場から牛の排ガスと自動車のメタン排出に対する提案を行っています。ただし、異なる分野の環境問題を比較することで、特定の解決策を優先する立場に立つことに懸念があります。
論文は柔軟性を保ちつつ、環境への総合的なアプローチを検討することで、より説得力を増すことができるでしょう。たとえば、牛肉や乳製品の代替品に関する検討が不足しているので、これらの食品の代替品による環境影響や、それらの選択肢の利用可能性についても考察すべきですした。
また、提案された解決策の実現可能性や充電スタンドの普及に関する詳細な情報が追加されると、論文全体がより説得力を持ちました。
地球温暖化に関する添削(抜粋)
<より高みを目指して>
電気自動車による排出削減がメタンに焦点を当てている一方で、他の環境影響や資源使用についての分析が必要です。完全な炭素ニュートラル性を確保するためには、電気自動車の製造過程や電力の源に関する情報も考慮するべきです。
充電スタンドの普及に関する提案は有益ですが、その実現可能性や費用についても言及すべきです。また、充電スタンドの整備だけでなく、再生可能エネルギーの導入や電気自動車のバッテリーのリサイクルなど、総合的なアプローチが必要です。
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