大学入試小論文で「リーダーシップのあり方」をテーマに問われることは多く、単なる指示力や統率力だけでなく、人間関係や状況に応じた柔軟な対応力が求められます。本記事では、リーダーシップの本質を理解したうえで、具体例を交えた解答例と書き方のポイントを詳しく解説します。受験生が高評価を狙うための論理的な構成や説得力のある表現方法も紹介しています。
【課題文の要約】日本ではリーダーは一つの組織に一人か二人で十分だと考える人が多いが、実際には全員がリーダーシップを持つ組織の方が高い成果を出す。なぜなら、組織のメンバーが皆「成果を出す」という使命を達成するために必要なことを個人で考えて行動するからだ。全員がリーダーシップを持っていれば、分業も可能であるため、チームの生産性が増し、各個人がマネジャーの指示に対する仕事の取捨選択ができるのであれば、さらに仕事の効率化を図ることができる。
【問題】この文章を参考にリーダーシップのあり方について、自分の経験などの具体例を挙げながら、あなたの考えを800 字以内で述べなさい。
大学入試小論文:リーダーシップのあり方の書き方ポイント
1. テーマの本質を理解する

「リーダーシップ」とは単なる指示力や統率力ではなく、人を導き、組織や集団を目標に向かわせる力であることを意識する。
「どのようなリーダーが望ましいか」「状況や相手に応じたリーダーシップとは何か」を問う問題が多い。
2. 自分の意見を明確にする

小論文では自分の考えをはっきり示すことが重要。
例:「リーダーは個人の意見を尊重しながら目標を達成できる人物であるべきだ」と結論を先に提示する。
3. 具体例を用いる

学校生活や部活動、ボランティア経験などの身近な体験談を使うと説得力が増す。
例:部活動でチームをまとめる際に、メンバーの意見を聞きながら役割分担を工夫した経験。
4. 論理的な構成を意識する

小論文は「起承転結」「結論→理由→具体例→まとめ」の順で書くと読みやすい。
- 結論:自分の考えを簡潔に述べる
- 理由:なぜそう考えるのか論理的に説明
- 具体例:実体験や社会の事例で裏付け
- まとめ:考えを再確認し、文章を締める
5. 多角的な視点を取り入れる

「個人の強さ」だけでなく、「協調性」「共感力」「柔軟性」といった要素も考慮する。
異なる状況でのリーダーシップのあり方を比較することで、深みのある内容になる。
6. 表現と文体に注意する
- 丁寧語よりも、論理的で簡潔な文章を心がける。
- 「〜だと思います」より「〜である」と断定的に書く方が説得力が増す。
7. 文字数・制限時間に合わせて調整
- 文字数制限や試験時間内で論点を簡潔にまとめることを意識する。
- 具体例は1〜2個に絞ると文章が冗長にならず、読みやすくなる。
リーダーシップのあり方の小論文のある人の解答例
私は、組織において全員がリーダーシップを発揮する体制の重要性に賛同する。なぜなら、組織の意思決定が一部のリーダーに依存するのではなく、各構成員が積極的に意見を表明できる環境こそ、個々の成長や組織全体の活力向上に資するからである。
日本社会においては、「空気を読む」といった文化的傾向が存在し、自らの意見を表明せずに周囲に合わせる傾向が強い。しかし、このような状況では、意思決定の権限が少数のリーダーに集中し、集権的な組織構造が固定化されてしまう。その結果、意思決定がリーダー個人の主観に左右されやすく、組織全体の多様な視点や潜在的な創意工夫が十分に活かされなくなる。
一方、全員がリーダーシップを持つ分権的組織では、意思決定の権限が広く分散されるため、構成員は自らの意見を表明しやすくなる。各メンバーの意見が反映されることで、個々の責任感や主体性が高まり、結果として組織全体のモチベーション向上や創造性の拡大が期待できるのである。
確かに、リーダーの数が多くなることで意見がまとまりにくくなる懸念もある。しかし、全員の意見を丁寧に収集・整理し、合意形成のプロセスを経て最終的な意思決定を行えば、集団としての方向性を明確に保ちながら、多様な意見を活かすことが可能である。
私はこの点を、実体験からも強く実感している。私は高校3年次までダンス部に所属していたが、この部活動では部長や副部長は存在せず、最上級生全員がリーダーの立場にあった。そのため、部活の練習メニューや年間計画は、各リーダーが自らの意見を持ち寄り、下級生の意見も反映しながら決定していた。具体的には、月に一度の全体ミーティングで、部活の運営方針やイベント計画について議論を行い、最終的には全員で合意した一つの目標に向かって活動した。このプロセスにおいては、個々の意見が尊重されると同時に、他者の視点を理解し合意形成する力も養われた。この経験は、分権的組織がもたらす個々の成長やチームとしての結束力の向上を具体的に示している。
以上のように、全員がリーダーシップを持つ組織は、個々の意見を表明しやすい環境を生み出すだけでなく、個人の成長と組織の活力を両立させることができる。日本における今後の組織運営においても、個々の潜在能力を引き出す分権的リーダーシップの導入は、組織の競争力向上と持続的発展に不可欠であると私は考える。
【新たな視点】リーダーシップのあり方

リーダーシップのあり方は、まさしく、今注目されている「サーバントリーダーシップ」と言えます。
- サーバントリーダーシップ…リーダーがまず相手に奉仕し、その後相手を導く支援型リーダーシップ。いわば、メンバーの一人ひとりの能力を肯定し、お互いの利益になる信頼関係を築くといったスタイルのリーダーシップ
※サーバント(servant)=「奉仕者」や「使用人」という意味
注目される理由・背景として、
- 混とんとした社会情勢に人々は、リーダーに倫理的な信頼感を求めていること
- ITの急速な発達や急激に広がるグローバリゼーションにおいて、従来型の一人のリーダーがすべてを管理してメンバーに支持を与えるやり方では合わないこと
が挙げられます。
【一般論】リーダーシップのあり方
■トランスフォーメーショナルリーダーシップ
・ビジョンや目標を共有し、チームメンバーを奮起させるリーダーシップ。
・創造性や革新を奨励し、組織や個人の変革を促進する。
■分散型リーダーシップ
・リーダーシップ機能を組織全体に分散し、各メンバーがリーダーシップの責任を担う。
・情報や意思決定の権限が広く分散される。
■トランザクショナルリーダーシップ
・技術的なタスクや目標の達成に焦点を当て、報酬や罰を用いてチームを管理する。
・タスクの実行に対して報酬が与えられ、目標未達成時には罰則が課される。
■チャリズマティックリーダーシップ
・強力なパーソナリティや魅力を活かして、フォロワーたちに感銘を与えるスタイル。
・強いビジョンや情熱を共有し、チームを引っ張る。
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