大学入試小論文の勝ち筋!合格するための10の鉄則です。
大学入試小論文合格するための10の鉄則
大学入試小論文は、あなたの個性や考え方をアピールするための貴重な機会です。しかし、多くの受験生が同じような主張や表現を選びがちで、差別化が難しいと感じている方も多いのではないでしょうか?この記事では、大学入試小論文で、「成功するための10の鉄則」を紹介します。これらの鉄則を抑え、取り入れることで、あなたの小論文は際立ち、合格に近づくでしょう。
大学入試小論文が果たす役割は非常に大きく、ただ単に自分の考えを述べるだけではなく、その表現力や論理的な構成、具体的な事例の挿入などが求められます。では、なぜこれらの要素が重要なのか、どのようにしてそれらを向上させるのか、順を追って掘り下げていきましょう。
鉄則1:出題形式を知る
- 課題文型小論文…日本語で書かれた課題文を読み主題や論点を把握し、それについて自分の意見を述べる。
- テーマ型小論文…課題文がなく「〇〇について自由に論じなさい」など、条件が緩い小論文です。
- 資料読解型小論文…経済統計やアンケート結果、図表などを分析し、問題点の指摘や解決策を述べる小論文です。
- 英文型小論文…英文を読み、和訳や適語補充、要約、自由記述をおこなう小論文です。
- 理数型小論文…理科の用語や、数学の公式などについて説明させる小論文です。
最も出題形式の課題文型小論文について
問題文の冒頭に「次の課題文を読み」というフレーズがある場合など、この表現には次のような意図が含まれているのである。「採点の時、課題文を理解しているか否かをチェックしますよ」つまり、課題文を理解していない(と思われる)答案は減点の対象になることを暗に示しているのである。課題文型小論文に取り組む時は、絶対に課題文を無視してはならないことを念頭に置いておく必要がある。
課題文型小論文では出題パターンが2つある。
- 1つは読解問題
- もう1 つは論述問題
したがって、出題された課題文型小論文がどちらのかをきちんと見分ける必要がある。 このうち読解問題というのは内容説明だったり、要約のように、課題文が読解できているかどうかを試される問題だったりである。
論述問題というのは、課題文をもとにして自らの意見を論じることが求められる問題である。つまり、課題文をもとに小論文を書く問題のことである。当然のことながら, 読解問題と論述問題では回答の手順や課題文の読み方は違ってきます。
課題文型小論文の取り組み方
- 課題文型小論文では,必ず課題文(の内容)を踏まえなければならない。
- 設問を読んで「読解問題」「論述問題」のどちらが問われているのかを把握する。
- 読解問題と論述問題とでは、回答の手順や課題文の読み方が異なる。
鉄則2:作文でなく小論文を書く
小論文…「論」という漢字があり、この「論」は筋道立てて述べて上での意見という意味があります。なので、論文とは意見を説明する文章のことをですが、その中でも字数が少ない場合、特にそれを小論文といいます。一言で、小論文とは自分の意見を筋道を立て説明した作文のことといえます。。
作文…文字通り、人によって「作」られた「文」章のことです。なので、感想文や随筆(エッセイ)はもちろんのこと、日記やメールの文章も、そして小論文も作文の一種となります。小論文は、作文のうち意見を述べなければならないという条件がついた作文となります。
大学入試小論文では、設問に対する意見を述べることがポイントである。すなわち、小論文では意見を盛り込まなければならないのですが、大学入試小論文では必ず何らかの設問が課されるので、その設問に対する回答を意見として示していくことになりますね。
たとえば「○○について論じなさい。」と設問で問われたのなら、○○というテーマについて、何かしらの意見を述べなければならないということになります。いくらうまくまとめた小論文でも、きちんと設問に答えていないものは高評価にはなりません。そう意味では、しっかり題意をくみ取る読解力も必要だといえます。
- 設問に対する自分の意見
- 自分の意見の正しさを立証するための理由説明
この2点があることが小論文のコツ
自分の意見が正しいといえる理由を説明する。しかし、設問に対する意見だけを述べればよいというものではない。なぜなら、単に意見を示すだけでは、読み手に言いたいこと(=意見)自体は伝わるものの各目の正しさや意図まではわかってもらえないからである。
そのため、自分の意見が正しいといえる理田を筋道立てて説明することがどうしても欠かせない。小論文には、「意見」と「理由説明」の2つが不可欠です、以上のことから、小論文の答案に盛り込まなければならないものがあることがわかってもらえたと思います。
鉄則3:小論文の構想の仕方
あらかじめ構想することが大切です。つまり、問題・設問に沿う形で意見と理由を考える時、あらかじめ書く内容を確認することが大事になってきます。
構想することによって、論じる内容をより説得力のあるものにし、無駄のない骨太の文章に仕上げることができる。また、論理の流れがあらぬ方向に進んだり、論理が破綻したり、あるいは、いつの間にか設問からかけ離れた意見を示したりすることを防ぐこともできます。
意見と理由を構想する順序
意見と理由を構想する時には、次の3つのステップを踏んでいくとよいでしょう。そうすることで、論理に乱れのない望ましい文章の骨格ができます。
- 考えるための材料集めをする
- 集めた材料をもとに理由と意見を考える
- 適切な段落構成を考える
書くための材料集めたうえで意見と理由を考え、それらをもとに段落構成を考えるという手順を踏むと、失敗を犯しにくい。
書くための材料集め
ここでいう材料集めは、設問中にあるキーワードに関係した言葉を集めることです。理由を適切に考えるためには、設問に関する事実関係を性確に理解しておく必要がある。
事実関係を集めるとき、メモをとる。メモは走り書きでも、箇条書きでも構わない。
この作業を行う時のポイントは、
これらの助詞は、助詞に続く部分で、特徴や定義などの主語に関する詳しい内容を説明する役割を果たしている。つまり、キーワードについての特徴や定義を整理するには、都合のよい助詞ということになりますね。
整理しながらまとめる
材料集めでは、ある程度材料の内容によって分類しながらまとめていくと、そのあとの思考がしやすくなる。
- 利点と欠点(問題点)
- 複数の立場からの視点
- 過去・現在・未来で整理
この作業を行うと、中立性を保った答案作成を行うことができます。いくら事実であっても、偏りのある事実だけで構成したのでは、論述内容の公平性や信頼性を欠くことにつながります。論述内容は、あくまでも中立を保つ姿勢を示すことが必要となってきます。
鉄則3:諸露文の段落構成を知る
段落構成は、ある程度、自分なりの「型」をもっていることが大事です。たとえば、「起承転結型」「序論・本論・結論)型」」などがあります。
大学入試小論文では、大きく、「意見・主張+理由型(頭括型)」・「理由+意見・主張型(尾括型)」・「意見・主張+理由+主張型(双括型)」という3つの型である。
これらは、小論文に必要な要素である意見と理由説明があれば組み立てることができる。出題形式やテーマ、制限字数によって使い分けるといいですが、基本とするのは、「意見・主張+理由+主張型(双括型)」といいでしょう。
字数が800字以上になるときは、以下のように5段落にするというやり方もあります。
- 意見・主張:自分の主張や答えを明示
- 理由:主張や答え根拠をしめす
- 説明・具体例:字数や内容によってはなくてもいい場合も
- 反駁:他の意見に反対し論じる
- 意見・主張:必ず1と一致させる
意見・主張+理由型(頭括型)
はじめに意見を述べ、そのあと理由説明で締めくくる型である。字数が200文字や要約型などに使う場合がある。
- 最初の段落 = 意見
- 最後の段落 = 理由説明
理由+意見・主張型(尾括型)
はじめに理由説明を述べ、そのあと意見で締めくくる型である。
- 最初の段落 = 理由説明
- 最後の段落 = 意見
頭括型と尾括型はどちらも、双括型のように2箇所で意見を示す必要がなし 制限字数が少ない時(目安として200字~300以下の論述)に用いるということになるでしょう。
意見・主張+理由+主張型(双括型)
論述の最初と最後の2箇所で意見を示す型である。一般的に3段落で書くとよいが、段落数によって字数調整がしやすいので、制限字数が標準的なものから多いもの(目安として400字以上の論述)まで活用できる。
- 最初の段落 = 意見
- 途中の段落 = 理由説明
- 最後の段落 = 意見
おすすめは、この型です。意見を最初と最後にはさんでいるので、サンドイッチ型と名付けます。
- 初めの意見の提示…論述の趣旨を採点者に的確に伝えるため、意見を冒頭で述べる。ここを読むだけで論述の概要がつかめるように示すのがコツ。
- 理由説明…第一段落で意見をまとめた後、その理由を説明する。意見を理解したうえでこの部分を読むことになるので、論述の流れを比較的楽に追ってもらうことができる。
- あとの意見の提示…最後に、再度意見をまとめる。途中に複数の段落を置いても、最後の段落で改めて意見をまとめるので文章の流れが散漫にならないという利点がある。
鉄則4:原稿用紙の使い方について知る
原稿用紙の使い方において、多くの大学では、答案用紙としてマス目のはいった原稿用紙を使うので、その使い方(約束事)はマスターしておく必要がある。
- 書き出しは1マスあける
- 改行して書き出す際も1マスあける
- 原則1マス使って句読点「、」「。」
- 「!」や「?」は使わない
- 流行語も使わない
- 「ケータイ」などの略語も使わない
- かっこの使い方に注意
<かっこの使い方>
- 音楽や書物などの作品名は二重かぎかっこ『』でくくる
- 強調したいときは、その言葉をかぎかっこ「」でくくる。
- かぎかっこ「」の中にかぎかっこを入れる場合は二重かぎかっこ『』
- 他人の文章を引用する場合はかぎかっこ「」でくくる
- かぎかっこ「」の最後は句点は不要
書き出し
書きはじめや段落を分けた時は、最初の1マス目を空けておく。ただし、制限字数が200字程度までの場合は, 1マス目から書くように指示される場合もある ので注意する。
マス
1マスに1字ずつ書くのが原則。句読点(、や。)、 小さい「や」「ゅ」「ょ」「っ」なども1マス使う。
かっこ
- かっこ( )を使う時も、( と )それぞれで1マスずつ使う。
- カギかっこは「 」を使う。これもそれぞれが1マス。” “は使わない。
- 二重カギかっこ『 』は書籍などの題名を示す時や、「 」の中のかっことして使う必要がある時だけ使う。
(例)「新大学入試の傾向を聞いてみると『難しい』という回答が多かった」
行の頭
行の頭に句読点や閉じかっこはおかない。また、小さな「や」「ゆ」「よ」「つ」 もおかない方がよい。そうなる場合は、直前の行の行末の1マスに、文字とともに書きこむ。
記号
?や!などの記号や「…」は、もともと英文の時に使うものなので使わない方がよい。
原稿用紙の使い方(約束事)はしっかり理解し、実際に使えるようにしておくことが求められる。
鉄則5:字数制限について知る
指定された字数の9割を満たすことが目安です。
大学入試小論文の問題には、例えば「○字以内で」のような制限字数が設けられていますが、それは必ず満たしましょう。
制限字数に対して。ピッタリその字数である必要はありませんが、最低限心がけることとして、制限字数の9割以上は満たすこと。また、「○文字以上○文字以内」のような場合は、その範囲内なら問題ありませんが、できれば制限字数ぎりぎりまで書くように心がけましょう。
字数は超えてはいけない
制限字数は1文字でも超えてはいけません。超えた場合は採点対象外になる場合もあるので、注意しましょう。
「〇〇字以上~〇〇字以内」の場合
できれば制限字数ぎりぎりまで書くように心がける。
- 範囲から超えないように書く
- 範囲の上限に近づくように努力
「〇〇字以内」の場合
最低限心がけることとして、制限字数の9割以上は満たすこと。どうしても、字数が届かない場合は、具体例を入れて字数を稼ぐことも視野にいれる。
- 字数制限の80%は書く
- 字数制限を超えたら失格または減点
「〇〇字程度」の場合
「〇〇字程度」のプラスマイナス10%に文章が収まるように書きましょう。「1000字程度」の場合だと、多くても1100字、少なくても900字くらいに収まるように書くのがルールです。
- プラスマイナス10%
- 多すぎても少なすぎても減点の対象
やってはいけないこと
字数が足りないときに、受験生がよくやることとして、最後の結論部分をズルズルと引き伸ばすことがありますが、これは絶対に避けましょう。今までせっかく論理を展開してきたのに、最後の結論部分で何を言いたいのかわからなくなってしまっては、今までの努力が水の泡になります
鉄則6:小論文の時間配分について知る
よい小論文を書くためには十分な準備が必要がありますが、試験時間は限られています。ですので、効率的に答案を作成しなければならない。そのためには書く手順をパターン化し、常に同じ手順に従って書けるようにしておくことが必要である。
手順の基本と時間配分は「読む(10%)→考える(70%)→書く(20%)」がちょうどいいでしょう。
解答時間が100分であれば、「読む(10分)→考える(70分)→書く(20分)」ですね。
設問を読む
小論文では、設問に対する意見を述べなければならない。そのためにはまず、設問をしっかりと読んで正しく理解することが大切である。また字数制限など、回答を作るうえで必要な条件も示されているので、チェックしておくこと。
書くべきことを考える
設問を把握したら、答案に書くべきことを考える。まずは、設問に対する意見や理由を整理する。
そして、それらが採点者に伝わるように文章の構成を工夫する。どのような段落構成にするのかを検討するのです。小論文では、ここが最も大事dといます。
答案用紙に実際に書く
書くべきことが決まったら、答案用紙に実際に書く。内容の良し悪しはもちろんだが、表現や表記にも気をつけましょう。
具体的には、原稿用紙の使い方や小論文特有のきまりごとを守ったり、誤りやすい表現・表記に注意したりすることである。最後に推敲(見直し)をして、小論文の完成となる。
「小論文は内容が大事」という考えは捨てた方がいいです。
採点者はあなたの表現や表記方法をチェックし、適切に日本語が使えているかどうかを見ている。志望校によっては、その良し悪しが減点の対象となることもあります。
一方、不適切な表現や表記は採点者の第一印象を損ねる原因にもなる。その悪印象は採点終了まで残り、いくら内容がよくても評価が低くなることも考えられる。
「小論文は内容が大事」とか「採点者は見た目が悪くても中身を見て(自分のことを理解してくれる」という考えは捨て、「表現や表記方法も内容も大事」と理解し直しておいてほしい。
鉄則7:要約の仕方
要約を正確に定義すると、課題文の論理関係(話の筋道)だけを抜き出して整理したものといえる。そのため、要約の採点方法はこの定義をもとにしている。
具体的には、まず課題文の論理の筋道を細かく分け、それぞれの部分に配点を割り振る。そして、その部分に該当する記述があれば加点、なければ0点というように採点していくのである。このことを踏まえると、要約タイプで確実に点数を稼ぐ方法が見えてくる。
つまり、論理の骨組みを抜き出す技術を習得すればよいのである。課題文を単に感覚的にまとめただけでは得点しにくいので、注意したい。
要約をする手順
要約を適切に行うには、次の3つのステップを踏んでいくステップを踏んでいく必要がある。
- 最初の文から順に目を通す。
- 「必要な部分」「保留」「不要な部分」に仕分ける。
- 「必要な部分」をすべて押さえて、まとめる。
要するに、文章の最初から目を通し、まとめるということである。
1.最初の文から順に目を通す
課題文などの文章は、一つ一つの文が積み上がってできている。つまり、文を受けて次の文が、その文を受けてその次の文が、それから最後の文まで徐々に積み上がっている。
そのため前の文の内容を理解しないと、話の積み上がり方が理解できず、結果として文章を断片的にしか理解できなくなるのである。文章は最初から順序よく読む必要がある。飛ばし読みや速読では、論理構造を見抜くことが難しく、要約には適さない。
2.「必要な部分」「保留」「不要な部分」に仕分ける
どのような文章であっても、論理の骨組みとして必要な部分とそうでない部分 とがある。これらを仕分けながら読み進めると、あとの要約の時に大きな力を発揮する。
そして、必要な部分には線を引いておき要約をする時の材料にするとよい。必要かどうかの判断に困る時は、保留にしておいてよい。
3.「必要な部分」をすべて押さえてまとめる
このステップは、説明タイプの時とほとんど同じである。つまり、回答に必要なポイントを用いて答案を完成させればよい。その時に肝心なのは、「必要な部分」を最大限に盛り込むことである。
ただし、盛り込みたい内容が多い時は、修飾語句や本文展開に直接関係しない部分を省略したり言い換えたりするなどして、全体を短くする工夫が必要。
「必要な部分」「不要な部分」を見分けるポイント
要約に必要な部分かそうでない部分かを見分ける時のポイントは、次の5つである。
- 課題文中の問いに対する解答
- 逆接の接続詞に続く文章
- 筆者の主張を示す表現を持つ文章
- 新しい話題(情報)が示されている文章
- 前述の内容をまとめている文章
つまり、「筆者が重要だと言っているところ」「本文で何度も繰り返されているところ」「具体例などで詳しく書かれているところ(具体例自体は不必要)」というところを念頭におくといいでしょう。
必要な部分になりうるヒント
・筆者が重要であると述べているところ。「~べきである」「~が重要である」
・筆者が「 」で括っている言葉や筆者の造語
不要な部分になりうるヒント
・具体例や例え話
鉄則8:読解論述問題の解き方
読解のある論述問題(課題文型小論文)に対する解き方は、テーマ型小論文との違いがあり、それは、課題文を踏まえなければならないところである。
設問に「課題文を読んで」と明示してある以上、採点基準には「課題文を踏まえているかどうか」という項目があると考えておく必要があります。課題文の無視や軽視は、読解のある論述問題(課題文型小論文)では厳禁事項です。
課題文の読み込みが大事です。
課題文の読み込み
課題文を踏まえた論述を行うためには、設問を読む時に3つポイントがあります。
- 課題文を読み、設問中のキーワードに関する内容をまとめる。
- まとめた内容に対して、賛成・反対など、自分の立場を決める。
- その立場を、設問に対する意見や理由の考察に活用する。
設問中のキーワードに関する内容をまとめるとは?
設問中に示されているキーワードをおさえましょう。そもそも課題文は、設問を解くために用意されているのだから、そのキーワードに関して、課題文では、何らかのメッセージを発しているはずと考えられます。
なので、その内容をまとめていくつもりで読解していきましょう。具体的には、キーワードを手がかりに課題文を読み、その内応をまとめるということになりますが、ここが要約問題の時の読み方と異なるところである。まとめる時は、以下のようなことを中心にして内容を整理しましょう
- キーワードの定義、特徴、事実関係(事実)
- キーワードに対する筆者の主張(意見)
- 筆者の主張に対する理由や背景(理由説明)
時にはキーワードに関して直接的に述べていない場合もある。そんな時は、課題文の内容をもとにして、どう捉えればよいのかをまとめていきましょう。
課題文の種類によって示されるものが異なる
課題文の種類によって、先述のキーワードの3点が揃っていないこともあるので注意したい。
たとえば、
・新聞記事などではキーワードの定義や特徴、事実関係を示すだけで終わるものが多い。
・エッセイ(随筆)には筆者の主張や気持ちだけが示されその根拠が示されなかったり、根拠があっても感情的なものだったりすることがある。
それは、事実を伝えるという役目を担う新聞、思ったことを書き連ねた文章であるエッセイといった、それぞれの文章の特性によるものです。そのような場合は、おさえられるものだけをしっかりと捉えていきましょう。
鉄則9:減点されない小論文について知る
- 読みにくい文章を書く
- 「こそ」と強調する
- 感情表現は避ける
- 逆接の接続詞の多用
- 論理の飛躍
- 字数稼ぎ
主語と述語の関係がわかりにくい文章
具体的な主語や述語が不足しているため、文の中心が明確ではありません。
【例文】歩いているときに、風景がきれいでした。
修飾関係がわかりにくい文章
修飾語や修飾節が複雑で、どの単語がどれを修飾しているのか理解しづらい文です。
【例文】先日、公園で会った友達が、赤いボールを持っている子どもと、犬を連れていた男性が、私の昔からの知り合いで、びっくりしました。
接続詞を使っていない文章
文と文の間に接続詞がなく、つながりが弱い文。
【例文】天気が良かった。ピクニックに行った。
わかりにくくなる原因として、一文の中に二つ以上の節を入れることから生じます。小論文では修飾語を一つの文の中で使いすぎると、修飾関係が不明瞭になりわかりにくい文章となってしまいます。
段落の冒頭の書き出し以外は、できるだけ接続詞を使うようにしましょう。
強調の「こそ」
「こそ」という言葉を用いることは、強調の意味を与えるものである。しかし、多くの場合、論理の飛躍を起こす原因となる。
例えば、理由説明ができないので、強引に意見を述べたいという意図が見える文章も多く見かけるのである。小論文を書く時は「こそ」を使わないように意識する。
感情表現は避ける
理由を「かっこいい」とか「あこがれた」などと述べることは、表面的で幼いものであると言わざるを得ない。情緒や感情で理由を述べるのはやめよう。小論文では、読み手に論理的な理由説明を行わなければならない。深く考えたことが伝わる理由説明を目指しましょう。
「〇〇はすばらしい」「〇〇は許せない」などと書くのが感情的な文章で、小論文の採点者から見ると、子どもが駄々をこねていることと同等に見られかねません。これでは説得力のある小論文にはならないことになります。
感情的な文章と論理的な文章は相反するもので、小論文では感情的な表現を使ってはなりません。
自分と違う立場の意見を理解したうえで、理由付けをしっかりと行い、その上で「自分は〇〇だと考える」と書くのが小論文なのです。
逆接の接続詞の多用は避ける
「しかし」「だが」「ところが」「しかしながら」と逆接の接続詞を多用するのはさける。連続して使うことは、ほぼないといっていい。逆接の接続詞は、先行の文脈とは異なる流れになることを示すものである。逆接の接続詞の多用は、いったいどの方向に話を進めたいのかがわからない。
また、逆接の接続詞を使うと、そのあとに続く文脈のほうが重要であることを示す。しかし、それを連用すると、どの文章が重要なのかがわかりにくくなる。いずれにしても、話の流れやポイントがわからなくなる原因となる危険性は大きい逆接の接続詞は、必要な個所に絞って使用するように意識しておこう。
論理の飛躍には要注意
理由説明が抜けている文章です。このような場合、話が飛ばないように理由説明をすると、筋道だった文章として読み手に意図がしっかり届けられる。
【例文】昨日、友達が私に映画を薦めてくれました。その映画は彼女が大好きな俳優が出演していると言っていました。だから、その映画はきっと素晴らしいに違いありません。
この例では、友達が映画を薦めた理由として「彼女が大好きな俳優が出演している」という情報が提示されています。しかし、この情報だけでは、その映画が素晴らしいであろうという結論には論理的な飛躍があります。他にも映画のストーリーや評価に関する情報がないため、結論が根拠を欠いていると言えます。論理的なつながりが弱いため、文章の説得力が不足しています。
字数稼ぎ
字数が足りないときに、受験生がよくやることとして、最後の結論部分をズルズルと引き伸ばすことがありますが、これは絶対に避けた方がいい方法です。
鉄則10:説得力のある小論文について知る
最大のポイントは、「論理性」「独自性(着眼点)」といえるでしょう。そこに「構成」が加わります。また、「題材への理解」「用紙の使い方」「字数を守る」「論文を最後まで完成させる」これらは、小論文を書く上では当たり前のことですので、ポイントにすらなりません。
論理性
よく言われるのは三段論法で、AはBである。CはBである。よって、AはCである。というように、小論文は、論理立てて記述していかなければなりません。論理性は、「あなたの主張を、根拠(理由)に基づいて簡潔に述べられる力」と置き換えることができるでしょう。しかしながら、ほとんどの受験生が論理的とは言えない論文になっています。それは、根拠が根拠になっていない場合が少なくないからです。
根拠(理由)は、あなたの気持ちではないのです。デ-タや引用などに基づいて客観的な視点が必要になります。
独自性(着眼点)
採点する人は、何十人、場合によっては何百人の論文を読まなければなりませんので、一般論では、やはり、印象に残らず、多くの人と同じ採点結果となることが少なくありません。それを回避するうえでも、独自性というのは大事になってきます。論文の独自性とは、突拍子のないことを書けということではありません。根拠に基づいてた説得力あるものでなければなりません。
独自性には、2つの型が存在します。主張の独自性と根拠の独自性です。主張自体が一般的であっても、根拠に独自性があってもいいのです。
この独自性は、着眼点に置き換えることもできますから、普段から様々な事柄にアンテナをはり、なぜ自分はこのような気持ちになるのかを考えることやメディア(テレビ、新聞、SNS)の意見に対して自分なりの考えを書くクセづけが大事になってきます。そうやって、独自性は、磨かれていきます。
これまで記述してきたように、「論理性」「独自性」が大事です。それだけでは、合格はできません。その「論理性」「独自性」を際立たせるためには、「構成」がポイントなります。どう論を展開していくかで、論文の印象は大きく変わってしまいます。
「構成」の型
「構成」には、基本的な「型」が存在します。<主張>→<根拠・理由>→<結論>または、制限字数が長い場合は、<主張>→<根拠・理由>→<反対意見・具体例>→<結論・発展的主張>というのが一般的な「型」です。
ここで、合否を分ける最大のポイントは、<根拠・理由>です。先ほども述べましたが、<根拠・理由>が、<根拠・理由>になっていなかったり、<根拠・理由>に乏しい論文がほとんどです。コツは、6W1H(だれが、いつ、どこで、なにを、なぜ、どっち、どのように)を意識し、その要素を<根拠・理由>に織り込んでいくことです。特に、「いつ」(時間(歴史)的な流れ・拝啓)を織り込むことができると説得力は俄然アップします。たとえば、少子化問題であれば、過去はこうであり(こういう背景があり)、現在はこういう対策が練られているが、それに加えて、こうすることで未来はこうなる。
- 合格できる論文は、「論理性」「独自性(着眼点)」がポイント!
- 説得力を持たせるためには、「構成」が大事!
- 「題材への理解」「用紙の使い方」「字数を守る」「論文を最後まで完成させる」ができないと論外!
【補足】小論文の勉強の仕方
小論文を書くための技術を身に着けることがまず大事です。小論文を書く力を上達させるために欠かせないことの一つは、小論文を書くた めの技術を身につけることである。
身に着ける技術
- 設問のとらえ方
- 意見と理由説明の方法
- 課題文への対応のしかた
- データへの対応のしかた
与えられた問題に対して対応する技術を身に付けるということになります。つまり。小論文の答案に不可欠な(設問に対する)意見と(採点者が納得する)理由説明を考える力をブラッシュアップさせることである。このサイトを1つひとつ読んでいくことで、自然に把握できていくので、それに合わせて実際の答案を書く練習をしていきましょう。小論文は、繰り返し書けば書くほど上達していくものである。
小論文を書くためのネタ集め
もう一つは小論文を書くための知識や情報、いわゆるネタを集めることである。日常生活の中で、いろんなことに興味や関心をもち、アンテナをはりましょう。 適切な意見や理由説明を述べるには、「事実」を知らなければならないからである。入試小論文では,、おおよそ次のような内容のテーマが課される。
- 自分自身に関すること
- 社会問題に関すること
- 学部・学科に関連した専門的内容に関すること
そこで、自分自身のことに関することなら、自分自身のことを見つめ直し、自分の長所と短所、自己アピール、志望動機、価値観、学校生活やボランティアの体験などを整理しておくようにする。
社会問題に関することや学部・学科に関連した専門的内容に関することなら、書籍や新聞のほか、小論文の「ネタ」がまとめてある参考書を購入するとよい。また, 高校での授業の内容もチェックしておくことも必要です。
過去問研究
すでに志望校を決めているのであれば、その学校の過去問研究をすることをおすすめしたい。どのような形式で出題されているのか、テーマが出るだけなのか、課題文や資料が伴うのかといったことや、どのようなテーマが課されるのか、自分自身に関してか、社会問題か、専門的内容かといったことを把握しておけば、的を絞った学習ができる。その意味で、最低でも過去5年分の問題を入手して、取り組んでほしい。
小論文の力をつける
小論文の力をつけるポイントは、「書く」→「添削」→「書き直す」を1セットとして、このセットを毎週1セットこなすこと。それから、毎週1冊の本を読むことです。そうやって、3か月ではじめて、大学合格するまでの論文力がついていきます。
「添削」してもらって「書き直す」ということをしない受験生が多いようですが、それは論外です。また、本は、自分が志望する学部に関する本を中心に、その周辺の分野の本も読めるといいでしょう。
【まとめ】大学入試小論文の勝ち筋
- 小論文とは、意見を説明するための小規模な文章のことである。
- 大学入試小論文の答案に必要なものは、「設問に対する意見」と「その正しさを記明する理由説明」の2点である。
課題文について
- キーワードを手がかりに課題文をしっかり読み、内容をまとめる。
- キーワードに関する事実(情報)を集め、メモしておく。
- 集めた材料をもとに、理由と意見を考える
- 材料をもとに、意見が出るまで推論を行う。
- 推論の過程をもとに、理由説明の内容をまとめる。
意見・主張について
- 課題文に対する賛否を心の中で決め、自分の立場を明らかにしておく。
- 心の中で決めた立場を基準に、設問に対する意見と理由を考える。
構成について
- 「書くべきことを考える」→「表現・表記に注意しながら書く」という手順に従って答案を作成する。
- 制限字数をもとに、双括型・頭括型・尾括型のいずれの形式がよいか。検討する。
- 適切な段落構成を考える。
「とりあえず答案を書き始めよう」「書きながら考えよう」はダメ。内容をしっかり考えてから答案を作成することが大事である。
字数について
- 制限字数の9割を意識する
- 字数配分をあらかじめ考えてから、書き始める。
- 構想メモに書いた内容をもとに、おおまかに字数を把握する。
- 字数の増やし方や減らし方をマスターし、原稿用紙に書きながら字数調整をする。
・具体例を入れて字数を稼ぐ
・最後の結論部分を無理に伸ばさない
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