近年、被選挙権の年齢を引き下げるべきかどうかをめぐって活発な議論が行われています。18歳選挙権が実現した一方で、「若者が政治に参加する機会を広げるべきだ」という賛成意見と、「経験不足による政治判断への懸念」という反対意見が対立しています。大学入試の小論文でも頻出テーマの一つであり、民主主義の在り方や若者の政治参加をどう捉えるかを論じる力が求められます。本記事では、被選挙権引き下げの議論を題材にした解答例と考察のポイントを紹介します。
被選挙権引き下げとは何か

選挙権と被選挙権の違い
選挙権とは、国民が議員や首長などを選ぶ権利を指します。一方、被選挙権は自らが議員や首長に立候補できる権利です。つまり、選挙権は「投票する権利」、被選挙権は「立候補する権利」と理解すると分かりやすいでしょう。年齢制限は選挙権よりも被選挙権の方が高く設定されており、国会議員の場合、衆議院は25歳以上、参議院は30歳以上と定められています。
引き下げの背景と現状
近年、若者の政治参加を促す観点から、被選挙権年齢を引き下げる議論が活発化しています。2016年には18歳選挙権が実現し、選挙権の年齢が引き下げられました。しかし、被選挙権は依然として高い年齢に設定されており、若者が政治に参画する機会をさらに拡大すべきかどうかが議論されています。支持者は「政治の世代交代を促す必要がある」と主張し、反対派は「経験不足による判断の不安」を指摘します。
被選挙権引き下げに関する賛成意見

若者の政治参加の促進
被選挙権年齢を引き下げることで、若者がより積極的に政治に参加できる環境が整います。これにより、政治への関心や責任感が高まり、将来的な市民意識の向上にもつながると考えられます。
多様な価値観の政治反映
若者は社会経験が少ない一方で、最新の社会課題や価値観に敏感です。被選挙権を引き下げることで、多様な世代や価値観を政治に反映させることが可能となり、政策の幅が広がるメリットがあります。
国際的な動向との比較
多くの国では被選挙権年齢が比較的低く設定されており、若年層の政治参加を推奨しています。例えばドイツやオーストラリアでは18歳から立候補が可能です。国際的な標準に合わせる意味でも、引き下げは議論の価値があります。
被選挙権引き下げに関する反対意見

経験不足による判断の懸念
若者は社会経験や政治経験が限られているため、政策決定や政治判断の面で十分な能力を備えているか疑問視する声があります。特に国家運営や外交に関わる重要判断では、成熟した判断力が求められると指摘されます。
政治的成熟度の問題
政治は単なる意見表明ではなく、長期的視点での責任ある行動が必要です。被選挙権を早く付与すると、十分な政治的成熟度を持たない候補者が増え、結果として政策の質に影響する可能性があります。
社会的影響やリスク
若者主体の政治が短期的視点や流行に左右されるリスクも指摘されています。また、投票行動や政治活動への理解不足が、政治不信や不安定な社会状況を生む懸念もあります。
大学入試小論文での書き方のポイント
賛否両論を整理する重要性
小論文では賛成意見・反対意見をバランスよく整理することが重要です。一方に偏らず、相手の主張も正確に理解して記述することで、論理の説得力が高まります。
自分の意見と根拠の明確化
賛否を整理した後、自分の立場を明確に示すことが必要です。ただ主張するだけでなく、具体的な根拠やデータ、事例を用いて説得力を持たせましょう。
具体例を交えた論理展開
具体例を用いることで文章の説得力と独自性が増します。例えば、海外の事例や国内の若者政治活動、選挙制度改革の過去の経緯などを取り入れると、論理展開がより鮮明になります。
被選挙権引き下げの議論についての解答例(ある人の例)
私は、被選挙権年齢の引き下げが必要であると考える。その理由は、若い政治家は私たち若者と同じ立場で物事を考え、時代に即した政策を実現する可能性が高いからである。たとえば年金支給問題を考察する場合、高齢政治家の意見は若者の立場とは異なるため、捉え方や価値観に差が生じる。高齢政治家は既に年金を受け取る立場にあり、一方で若者は少子高齢化の進行に伴い、これまでにない負担を背負いながら将来的に年金を支給する立場に立つことになる。したがって、政治家の世代が異なると、同じ問題に対する認識や優先順位が大きく異なるのである。
このような背景から、高齢政治家が年金問題に言及しても、若者には十分に響かず、結果として若者の政治関心は低迷している。被選挙権を引き下げ、若い政治家が増えることで、若年層の視点が政策に反映されやすくなり、同世代の有権者の支持を得やすくなる。これにより、若者は政治を身近に感じ、積極的に関与する契機となるであろう。
しかし、被選挙権の引き下げのみでは、若者中心の政治は実現しにくい。それは、少子高齢化により若年有権者の絶対数が少ないことに起因する。ゆえに、投票権を18歳から60歳までに制限することも併せて検討すべきである。高齢者の有権者数を相対的に減少させることで、若者の声がより政策に反映されやすくなる。もちろん、高齢者の意見も重要であるが、今後の社会を担うのは若者世代であり、彼らの意見を政治に反映させることは、時代に即した政策形成と日本社会の持続的発展に資するものである。
以上より、被選挙権年齢の引き下げと投票権年齢の制限を組み合わせることにより、若者の政治参加意識の向上と意思の反映が可能となる。若者の視点を取り入れた政治を通じて、新たな社会の形成と持続可能な発展が実現できると私は考える。
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