現代日本では、高齢化の進行や社会保障制度のひずみにより「世代間格差」が深刻な社会問題となっています。大学入試の小論文でも頻出テーマの一つであり、経済・社会・教育など多角的な視点が求められます。この記事では、世代間格差に関する小論文の構成例・書き方のポイント・実際の解答例を紹介します。入試で評価される論理的な構成や、自分の考えを効果的に表現するコツも解説するので、志望校対策にぜひ役立ててください。
世代間格差に関するポイントまとめ

- 若年層の実質賃金は伸び悩み。
- 高齢者に資産が偏在(金融資産の大部分を占める)。
- 社会保障負担の増大により若者の可処分所得が減少。
世代間格差:政治的側面
- 高齢者層の投票率が高く政治的影響力が大きい。
- 政策が高齢者向けに偏りやすく、教育や子育てへの配分が相対的に小さくなる傾向。
- 若年層の政治参加意識の低下がさらなる政策ミスマッチを招く。
世代間格差:社会的・文化的側面
- 価値観の違い
- 高度経済成長期を経験した世代と、多様性や柔軟な働き方を重視する若年世代の価値観ギャップ。
- 相互理解の不足
- SNSなどで情報空間が分断され、世代間の偏見や誤解が深まる。
世代間格差:影響・課題
- 若年層の生活不安・将来不信の拡大。
- 世代間対立による社会的分断。
- 経済成長の停滞(若者の消費・挑戦意欲の低下)。
- 高齢化に伴う医療・介護費の増大と財政圧迫。
世代間格差:解決・改善の方向性
- 制度改革
- 年金・医療・介護制度の持続可能化と世代間の公平性の確保。
- 教育・子育て支援への投資強化。
- 資産課税や相続税の見直しなどによる富の再分配。
- 社会的アプローチ
- 地域や学校・職場での世代間対話や協働プロジェクトの推進。
- 若者の政治参加支援(選挙教育、参加の仕組み整備)。
- 多世代共生の場づくり(共用空間・シェアハウス・地域支援活動)。
世代間格差:まとめ
- 世代間格差は単なる対立ではなく、持続可能な社会構造の問題。
- 公平な負担と機会を確保し、世代を超えた協力体制を築くことが重要。
世代間格差に関する小論文のある人の解答例
昨今、世代間格差が若者と高齢者の間で対立関係をもたらしている。世代間格差とは、年金や医療などから得られる給付の生涯にわたる総額と、保険料や租税などの生涯にわたる負担額を比較し、高齢者に与えられる給付額とそれによる若者の負担額の差から生じる格差のことである。
このような格差は、今後の経済成長の鈍化や少子化が加速する中でさらに拡大する恐れがある。たとえば、現行の年金制度は、経済成長が前提となった設計であり、少子高齢化が進む現代の実情とは乖離している。その結果、若者に多くの負担がのしかかり、将来の世代が同等の給付を受けられる保証がなくなりつつある。一方、持続的な経済成長を実現し、適切な財政政策を講じれば、超過負担額を縮小し格差を改善することが可能である。たとえば、労働市場の流動性を高めるための転職支援や教育機会の拡充、中小企業への設備投資支援といった成長促進策が考えられる。また、消費税の段階的引き上げや所得税の累進性強化などの財源確保策を組み合わせることで、世代間格差を緩和することが期待できる。
さらに、世代間格差には経済的な環境の違いが根底にある。たとえば、高齢者世代は戦後の高度経済成長を背景に安定した雇用や収入を享受してきた一方で、若者世代は長期的な低成長や非正規雇用の増加といった課題の中で生活している。このような背景から、高齢者に負担を求める政策よりも、現役世代にさらなる負担を求める政策が選ばれる傾向にある。特に、高齢者層が主要な投票者層であることから、政治的にも若者の声が届きにくい状況があると言える。
しかし、このような現状が続けば、世代間格差は一層深刻化する。そして、高齢者と若者の対立が続く限り、問題の解決には至らないだろう。そのため、両世代が互いの立場や背景を理解し、対話を通じて解決策を模索することが必要である。たとえば、若者には「年金や医療制度は損得勘定だけではない」という価値観を共有し、高齢者が築いてきた社会基盤の恩恵を自覚する機会を提供することが重要である。同時に、高齢者側にも若者が直面している厳しい経済環境を理解し、自らの負担を一部受け入れる姿勢が求められる。
完全に格差をなくすことは困難であるが、負担の公平な分担を目指す取り組みは不可欠である。具体的には、年金や医療の給付水準の適正化、消費税を財政基盤とした社会保障制度の再構築、さらには次世代を支える成長戦略の推進が必要である。これらの政策を通じて、世代間格差の縮小と世代間の協調が現実のものとなるだろう。今こそ、我々はこの問題に真摯に向き合い、持続可能な社会の実現を目指すべきである。
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