インターネットやAIの普及により、私たちの生活は「情報化社会」へと大きく変化しました。大学入試の小論文でも頻出テーマの一つであり、情報リテラシー、個人情報保護、デジタル格差など、現代社会が直面する課題を的確に理解しておくことが重要です。本記事では、情報化社会に関する小論文対策として、出題傾向、考察の切り口、具体的な書き方のポイントをわかりやすく解説します。
情報化社会(高度情報社会)

IT(情報技術)革命とは、情報通信技術の進展、および、情報技術の進展に伴う経済・社会の効率化やグローバル化のこと。高度情報化を推進。
- 高度情報通信ネットワーク社会形成基本法(IT基本法)…IT化を積極的に推進するため、2000年制定。ITインフラ整備、人材育成、電子商取引の促進、行政のIT化などが行われている。
- 電子化の進展…電子商取引(e-コマース)やインターネット・バンキング、株取引、医療、行政、生産工程の管理、販売時点情報管理 (POS)システムなど、広範な分野が電子化され、ネット上で行われている。
- ユビキタス社会…コンピュータ・ネットワークが組み込まれた社会を目指す構想。単なるネットワークの存在ではなく、衣・食・住から始まり、経済・社会のあらゆる場にとけ込んでネットワークが存在し、アクセスできる社会。
- 住民基本台帳ネットワーク…各地方公共団体がもつ住民基本台帳をネットワーク化し、全国共通で本人確認情報を利用できるシステム。行政手続きの利便性と行政事務の効率化を図る。住民基本台帳カードが交付される。
- 共通番号制度…社会保障と税に共通の番号を国民1人ひとりにつける制度。所得や資産などの個人情報を一元的に管理し行政の前素化・効率化を図る。
高度情報社会の課題

デジタル格差による情報アクセスの不平等、プライバシー侵害、サイバー犯罪の増加、情報依存症、フェイクニュースの拡散など、技術進歩に伴う様々な社会問題が発生している。
プライバシーの侵害の問題
- 個人情報の外部流出…事業者のサーバーに不正なアクセスが行われ、顧客情報が流出している。個人ID・パスワードの流出も問題に。
- 個人情報の利用規制…個人情報保護法(2003年)によって、個人情報の外部 へのもち出しや事業以外の目的での利用は禁止されている。個人情報保護のための取扱いが規定されており、その利用には厳しい規制がある。
- 通信傍受法…1999年に成立。警察などの捜査機関が裁判所の令状に基づき、電話・FAX・ネットの通信を傍受できる。個人情報の取扱いが課題。
犯罪・サイバーテロ
他人のコンピュータへ侵入して情報を盗む、破壊するなどの犯罪が多発。詐欺やわいせつ、いたずら目的のウイルスやスバイウェアなども蔓延している。
また、行政・公共機能の停止や社会的混乱を起こす目的でシステムを攻撃・破壊・改覚するサイバーテロも多発している。これに対し不正アクセス禁止法(1999年成立)によって、他人のIDやパスワードの不正使用に対する罰則やコンピュータ管理者が講じるべき防御措置を定めている。
知的財産
デジタル技術の進歩とネットの発達により情報の複製・流通が容易になったため、映画、音楽、ソフトウェアなどの知的財産が違法にダウンロードされる事態となっている。このため、2002年に知的財産基本法を定めて、知的財産権(知的所有権)の保護や活用を図っている。
デジタル・デバイド(情報格差)
情報通信機器の利用能力によって格差が出ること。一般的には経済格差が生じることとされる。特に地域ごとの通信インフラの整備状況や教育などについて問題になることが多い。国際間・地域間の情報格差、いわゆるデジタルデバイドと称される現象が生じている。
アジアやアフリカではインターネット普及率の低い国も多い。中国とインドでは、地域によっては極度に情報通信産業が発達しており、同一国内間での情報格差・経済格差が生じている。
通信の発達(高度情報化社会の形成)

海底ケーブルや通信衛星によって世界が結合→距離の短縮。通信を利用して情報を一括管理するオンライン=リアルシステムの導入。アナログ情報からデジタル信号に転換が進み伝送 容量の大型化と高品質化が実現。
- マスメディア…電話・FAXの普及や新聞・テレビ・ラジオなどのマスメディアの発達は、人々の生活スタイルに大きな影響をおよぼしている。
- インテルサット…国際的な通信技術がもたらす経済義展効果を広く発展途上国も享受できるようにという目的で、アメリカ合衆国が中心となり、1964年、衛星通信を商業ベースにおいて世界約80カ国が利用できるようにする国際的な組織、国際商業通信機構が発足した。
- インターネット…最近では、世界各国のコンピュータ通信網をさまざまな回線を利用して相互に接続した巨大な通信網であるインターネット上の通信を超高速化する新たな通信衛星の開花も進められている。
メディアリテラシー

情報活用能力ともいわれる。メディア情報を選択・ 活用して目的達成できる能力のこと。高度情報社会に必須の能力といわれる。
- 情報操作…情報社会にあっては、情報操作の危険も大きい。マス・メディアによる情報操作や企業による違法な販売促進などが日常的に行われている。
- ステレオタイプの形成…ネット上での情報を鵜呑みにする人々を増加させたり、イメージ操作によりイメージが固定化される危険も大きい
- ネット選挙の解禁…2013年、公職選挙法改正によりインターネットを利用した選挙運動ができるようになった。ネット上でのデマの拡散、「なりすまし」のリスクも指摘され,慎重な情報の取捨選択が必要となっている。
インターネットと人権

だれもが簡単に情報を発信できる一方、プライバシーの権利の侵害や匿名の書きこみによる名誉き損(他人の名誉を傷つける行為)、著作権(知的財産権の一つ)が保護されないなどの問題→権利を守る仕組みを整える必要がある。
大学入試小論文「情報化社会」の書き方ポイント
1. テーマ理解
「情報化社会」とは、インターネットやスマートフォン、SNSなどを通じて、情報のやり取りや活用が生活の中心となっている社会を指す。
メリットとデメリットの両面から考察できるテーマである。
2. 出題の狙い
- 現代社会の本質的な問題を理解できているか。
- 情報を多角的に捉え、バランスよく論じられるか。
- データや具体例を踏まえて、自分の意見を論理的に展開できるか。
3. 構成の基本パターン
① 問題提起
「情報化社会の進展により、私たちの生活は便利になった一方で、新しい課題も生まれている。」
② 利点の提示
- 情報の即時性・効率化
- 学習やビジネスの可能性拡大
- 国際交流・社会参加の促進
③ 課題の提示
- フェイクニュースや情報リテラシー不足
- 個人情報漏洩やプライバシー侵害
- SNS依存、分断や誹謗中傷
④ 解決策・自分の意見
- 情報リテラシー教育の必要性
- メディアや個人の責任
- 技術活用とルール作りの両立
⑤ 結論
「情報化社会は課題を内包するが、正しい教育と制度整備により、人々の幸福に資する社会を実現できる。」
4. 注意点
- メリットだけ/デメリットだけに偏らない。
- 「情報化社会は便利だから良い」「悪影響があるから問題だ」など単純化しすぎない。
- 実例を挙げると説得力が増す(SNS誹謗中傷事件、AIの活用事例など)。
5. 頻出の切り口
- 個人の生活(学習・仕事・人間関係)
- 社会全体(民主主義・経済・安全保障)
- 倫理的側面(表現の自由と規制、個人情報保護)
まとめると、 「情報化社会の光と影を示し、課題を克服するための自分の考えを提示する」 ことが合格答案の基本です。
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