大学入試・小論文解答例「心の友(親友)について」です。
<問題>
筆者の述べる「心の友」を作っていくためにどのようにしていったらよいか,あなたの考えを400字以内で述べなさい。
筆者のいう心の友
- 共振現象をお互いが重要なものとして心の中に刻み込み,これを核としている。(→共振現象とは、成長意欲の人たちがもつ、無意識のうちに 同じような人を探す上でのある種の信号を互いに共振すること)
- 必然的な出会い
- ヒューマン・ケミストリーによって得た友人(→ヒューマン・ケミストリーとは、新しい生き方,新しい価値,そして新しい自己の発見につながる反応)
心の友(親友)についての解答例1
著者の言う「心の友」とは、化学的な出会いから生まれる。そのような出会いは数少なく、そう簡単には出来ないという。その出会いのチャンスを掴むためには、まず自己の個性を深く理解する必要があると考える。自分がどのような価値観を持ち、どのような性格であるのかを見つめ直すことは、同じような相手を見つけるための前提になる。
そして、受け身にならず、常に自ら出会いを求めて、何事も能動的に経験するべきだ。私は、自分の殻を破るべく、昨年全国から士気の高い高校生が集うリーダー研修に参加した。そこでは、一緒にいるだけで安心し、素で語り合える同志と出会うことができた。いわゆる「心の友」だ。彼女は、北海道の1つ年上の先輩であり、住む場所も年齢も性格も離れている。きっとこの研修に参加しなければ出会うことはなかったかもしれない。
自己を深く理解し、主体的に経験を重ねることが、「心の友」を作る大切なきっかけになると私は思う。
心の友(親友)についての添削1
- ×著者の言う→○筆者が述べる
- 400字程度の論文は、多くても3段落が望ましい。
- ×私は思う。→○小説でないので、「私は、~と思う。」と結んだ方がいい。
心の友(親友)についての講評1
よくできています。特に、展開と着想(着眼点)です。
- 展開…うまく例示に自分の経験を織り込むことができているのでいい。また、それが思い出話になるだけでなく、何を感じ、何を学べたかを記述できている点はすばらしい。
- 着想…「心の友の作り方」の定義がいいですね。特に、原文の緑の部分の表現は、今後、論文課題や志望理由書でも使える場面がありそうですね。
心の友(親友)についての解答例2
心の友を作るためには相手の相性や考え方を感じとる前に自分についてもっとよく知ることが大切だと思う。自分の事物に対する価値観、考えや意見の表現の仕方を認識しそれを相手にどう発信しているかを知っていなければ、到底自分の要素に合った人を感じることはできないだろう。また、日常生活で相手に意見や感情を無理やり合わせようとせず、ありのままの自分でいることが必要条件だ。なぜなら、いつまでも本性を隠していると化学的な出会いで心の友を作る機会を求める相手もその機会を損なう可能性があるからだ。
私は新しい環境でこそ心の友を作る最大のチャンスだと思う。人は居慣れない環境にいるとき誰かとつながろうとし、自発的に自分と会った人を感じ取りその人に接近する傾向がある。そのような中で出会った人たちこそお互いに新しい発見があり、それが人生の財産になるはずだ。そのような中で出会うことができる人こそが心の友なのではないかと思う。
心の友(親友)についての添削2
- 「筆者の考えをふまえて」となるので、それを反映することができるといいですね。なので、「筆者が述べるように」などの一節を解答の中に入れて、筆者の言葉を引用している
- 場面が明記できるようにした方がよかったです。
- 「そのような中で」が、連続で使われているので、注意。
- 誤字には気を付けよう。 会った → 合った
あなたにとって親友とは?
「心の友」を作っていくためには、人との出会いは一期一会であるということを意識して接すると良いと考える。筆者は物理的な出会いと化学的な出会いを比較して、物理的な出会いの中では「心の友」は、そう簡単にはできないと述べている。しかし、どちらの出会い方でも自分次第で「心の友」を作ることは可能である。
実際に私は、高校という意識的に集まる場所の中で「心の友」と出会うことができた。筆者の考えでは、この出会い方は「物理的な出会い」に分類される。だから、どちらの出会い方の方が「心の友」ができやすいということはないと考える。一つ一つの人との出会いやその機会を大切にしていれば、出会い方などは関係なく「心の友」ができるのだ。
また、筆者が例示している物理的な出会いのドイツ人と日本人の政治家の話は、大臣であるという立場が邪魔をして自分の意見を述べることができなかったとは考えられないだろうか。もし、このドイツ人と日本人の立場の関係が、政治家でも大臣でもなければ、もっと仲を深めることができたのかもしれない。
そもそも、友達と心の友の線引きは人それぞれだ。だから、お互いに「心の友」だと思えるような人にできるだけ多く出会うことは難しいことだが、それは人生に豊かさをもたらすと考える。
あなたにとって親友の講評
説得力がある論文です。自分の例を出しながら、うまく筆者に対する反論を展開できています。また最後に、前提を確認し、自らの意見を鋭く考察している点はいい。
題意に「筆者の考えをふまえて」とありますが、問1の要約のように、素直にシンプルに抜き出す感じでよい。変に自分の推察を組み込む必要はありません。
あなたにとって親友の添削
①△物理的な出会いと化学的な出会いを比較して、物理的な出会いの中では「心の友」は、そう簡単にはできないと述べている
②△だから、どちらの出会い方の方が「心の友」ができやすいということはないと考える。
→どちらもギリギリセーフしましょう。 たとえば、①は、「○化学的な出会いで得られる友は、「心の友」と述べている。しかし、私は、物理的な出会いでも「心の友」と出会うことが可能~」 とシンプルでよかったです。「物理的な出会い」と「心の友」との関係性は、あえて筆者は言及していないので、憶測で判断しない方がいいですね。
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