『枕草子』は、平安時代中期に清少納言が著した随筆であり、大学入試古文における最重要作品の一つです。「春はあけぼの。」に代表される自然描写だけでなく、宮廷生活の観察、機知に富んだ批評精神、美意識(をかし)など、多角的な視点が問われます。本記事では、大学入試(共通テスト・国公立二次・私大入試)を想定し、作品全体のポイント整理+頻出語句・文法+実戦問題10題(解答・解説付き)を掲載。得点源に変えるための総合対策を行います。
枕草子のテスト対策問題
【A】問題
✅ ① 選択問題(2問)
問1 『枕草子』の文学的特色として最も適切なものはどれか。
ア.無常観を中心とした仏教的思想
イ.自然と人生の哀愁を詠嘆する抒情詩
ウ.鋭い観察と「をかし」の美意識による随筆文学
エ.武士の価値観を描く軍記物語
問2 『枕草子』における「をかし」の美意識として最も近いものはどれか。
ア.しみじみとした哀愁
イ.理知的で明るい趣
ウ.宗教的救済
エ.悲劇的緊張感
✅ ② 適語補充問題(2問)
問3 『枕草子』は三大随筆の一つであり、他の二つは『徒然草』と『________』である。
問4 「春はあけぼの。」に代表される章段は、季節ごとの美を描いた「________章段」に分類される。
✅ ③ 現代仮名遣い(2問)
問5 次を現代仮名遣いに直せ。
(1)をかし
(2)けふ
問6 次を現代仮名遣いに直せ。
(1)ありがたき
(2)さうらふ
✅ ④ 古語の意味(2問)
問7 「いとをかし」の「いと」の意味を答えよ。
問8 「あはれなり」の意味として最も適切なものを答えよ。
✅ ⑤ 内容理解(2問)
問9 『枕草子』における宮廷社会の特徴を簡潔に説明せよ。
問10 『枕草子』と『徒然草』の美意識の違いを簡潔に述べよ。
【B】問題
次の古文を現代語訳しなさい。
1.春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは少しあかりて、紫だちたる雲の細くたなびきたる。
2. (女御は)さかしう、やがて末まではあらねども、 すべてつゆたがふことなかりけり。
3.あなづりやすき人ならば、「後に」とてもやりつべけれど、 さすがに心はづかしき人、いとにくくむつかし。
4.梨の花、世にすさまじきものにして、近うもてなさ ず、はかなき文つけなどだにせず。
5.世のおぼえあなづらはしうなりそめにたるをば、そしりやはする。
6.頭の中将の、すずろなるそら言を聞きて、いみじういひおとし、
7.こと事をのたまふに、僧都の君様は)いらへさせ 奉らむと、あまたたびきこえ給ふに、
8.これが本はいかでかつくべからむと思ひわづらひ
9.ただきよき衣を着てまうでむに、なでふことかあらむ。
10.「などかはまゐらせ給はぬ」と言ひて、
枕草子のテスト対策問題の解答・解説








【A】問題
✔ 問1
解答:ウ
✔ 問2
解答:イ
「をかし」は明るく知的で洗練された美意識を示す。
✔ 問3
解答:方丈記
✔ 問4
解答:四季
✔ 問5
(1)おかし
(2)きょう
✔ 問6
(1)ありがたき → ありがたき(発音は同じ)
(2)さうらふ → そうろう
✔ 問7
✔ 問8
✔ 問9(解答例)
✔ 問10(解答例)
【B】問題の解答
1.春は曙が趣深い。しだいに白くなっていく東の山際の空が明るみを帯びて、紫が かっている雲が細くたなびいているのも趣深い。
夜が明けていく順序としては「あかつきしの のめ あけぼの」。「やうやう」=「しだいに。 だんだん」。「あかりて」=「明るくなって」。「雲の」の「の」は主格「~が」。文末が「たる」 と連体形になっているのは、下に述語「~もをかし」が省略されているためで一種の感動表現。
2.女御は利口ぶってそのまま下の句までおっしゃるということはないけれども、すべての句で全く間違うことはなかった。
「さかし」=「利口ぶっている。こざかしい」。「やがて」= 「そのまま」。「やがて」は「そのまま」と「すぐ」の二つの意があり、その訳し分けが入試頻出。「末」=「和歌の下 の句」。ちなみに「和歌の上の句」は「本」。「つゆ~なかり(形容詞「なし」の連 用形)」で全否定「まったく~ない」。 全否定の副詞としては「つゆ・すべ てさらに・つやつや・おほかた」 などがあり、入試頻出。
3.軽くあしらってよい身分の人であるならば、「また後でね」とでも言って追い返して しまうこともできるけれども、そうはいうもののこちらが恥ずかしくなるくらい相 手が立派な人である場合は、返すこともできないので、たいそう不快でうっとうしい。
「あなづる」=「軽蔑する。あなどる」。「さすがに」=「そうはいうものの」。「心はづかし」=「相手が立派な ので)気恥ずかしく感じる」。「にくし」=「いやだ。不 快だ」。「むつかし」=「いやだ。うっとうしい」。「ならば」は「未然形+ば」の順接仮定条 件なので「~であるならば」。「ベけれど」 の「べし」は可能の意味なので、「~で きるけれど」と訳す。
4.梨の花は、たいそう興ざめなものとして手近な花として愛玩せず、ちょっとした手紙に付ける花としてさえ用いない。
ここでの「世に」は強調の副詞で「たいそう。はなはだ」。 「すさまじ」=「興ざめだ」。「もてなす」=「もてはやす。愛玩する」。「はかなし」=「ちょっとしたことである」。当時 は花の枝に手紙を付けて送った。副助詞「だに」は類推の意味で「~ でさえ」と訳す。 「だに」には最小限 「せめて~だけでも」の意味もあるので、文脈で判断する。
5.世間の評判がぱっとしなくなりはじめた人を、非難したりしようか、いやしないだ ろう。
「世のおぼえ」=「世間の評判」。「あなづらはし」= 「あなどってよい。軽蔑したくなるさま」。接尾語 「~そむ」は「~しはじめる」。「そしる」=「非難する」反語「やは」は「~だろうか、いや〜ではな いだろう」。「やは」「かは」の形の時はほとんど反語となる。係り結び「やは~する」。
6.頭の中将斉信様が、私に関する理由のないうそを聞いて、私をひどくけし、
「すずろなり」=「理由のないさま」。「すずろなり」は多義語なので文 脈判断が大切。他にも、「なんとなく~だ」「むやみやたらである」「思いがけない」などの意味がある。「そら言」=「うそ」。「いひおとす」= 「悪く言う。けなす」。
格助詞「の」は主格「~が」。
7.他のことをおっしゃっているので、僧都の君様は返事をさせ申し上げようと、何度 も申し上げなさるけれども、
「こと事」=「他の事」。「のたまふ」 =「おっしゃる」。「いらふ」=「返事 をする」。 「あまたたび」=「何度も」。「きこゆ」は謙譲の動詞「申し上げる」。接続助詞「に」は、1順接「~ので」、2逆接「~のに」、 3単純接続「~と」の三つの意味があり、文脈で判断して 訳す。ここでは順接と逆接の意で使われている。「させ奉 らん」の「させ」は使役「~させる」。「む」は意志「~しよう。」
8.この上の句はどう付けたらよいだろうかと思い悩んでしまった。
「本」=「和歌の上の句」。和歌の下の句 は「末」。「思ひわづらふ」=「思い悩む」。疑問の副詞「いかで」をさらに強めた形「いかでか」。「い かでか〜む」=「どうして~だろうか」。係り結び「か~む」。「べし」は適当「~するのがよい」。
9.ただ清浄な着物を着て参詣するとしたら、どれほどのことがあろう、いや何の悪い こともあるまい。
「きよし」=「清らかで美しい」。「なでふ」は 反語の意を表し、「どれほどの~あろうか、 いや~ではない」。「むに」は仮定「~としたら」。「むに・むはむも・ むこそ」の形の時は仮定になり、「~としたら」と 訳す。係り結び「か~む」。
10.「どうして参上なさらないのですか」と言って、
「などかは」は「などか」を強めた形で、「どうして~か」と訳す。下に打消の表 現を伴う場合が多く、文末は連体形で結ぶ。疑問と反語があるが、ここでは 疑問。
「せ給ふ」は「尊敬+尊敬」=「~なさる」の場合と、「使役+尊敬」=「~させなさる」の場合とがあるが、ここでは「尊敬+尊敬」。係り結び「か~ぬ」。「ぬ」は打消の 助動詞「ず」の連体形。
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