大学入試の小論文では「生物多様性」が頻出テーマの一つです。気候変動や環境保全、持続可能な社会との関連が深く、幅広い視点から論じることが求められます。本記事では、生物多様性に関する小論文の解答例を紹介するとともに、論じ方のポイントや構成の工夫を解説します。入試本番での説得力ある答案作成に役立ててください。
【大学入試小論文】生物多様性をテーマにした書き方のポイント
1. 出題意図を理解する

大学がこのテーマを出す背景は、環境問題や持続可能な社会に関心を持ち、論理的に考えられるかを試すためです。単なる知識披露ではなく、社会的意義や自分の視点を絡めて論じる必要があります。
2. 生物多様性の定義を明確にする

まずは「生物多様性とは何か」を端的に説明できることが重要です。
- 遺伝子の多様性
- 種の多様性
- 生態系の多様性
この3つを簡潔に示すと、文章に説得力が増します。
3. 現代社会の課題と関連づける

ただ説明するだけでなく、現代的な課題に結びつけて考えます。
- 気候変動による生息地の減少
- 経済活動による森林伐採・乱獲
- 食料安全保障や医薬品開発との関係
具体的な問題を挙げることで、読者に理解しやすくなります。
4. 解決策や自分の意見を示す

小論文では「課題 → 解決策 → 自分の立場」を示す構成が効果的です。
- 法規制や国際協力の強化
- SDGsに基づく持続可能な開発
- 個人の取り組み(消費行動の工夫、環境教育の普及)
ここで自分の経験や考えを少し盛り込むとオリジナリティが出ます。
5. 構成をシンプルにまとめる

小論文の基本構成は以下の流れがわかりやすいです。
- 導入:生物多様性の定義・重要性を提示
- 本論:現代の課題と具体例を説明
- 結論:解決策・自分の立場をまとめる
まとめ
生物多様性をテーマにした小論文では、知識(定義・現状)+社会的課題の把握+自分の考えを組み合わせることが鍵です。データや具体例を交えつつ、論理的に展開することで、説得力ある答案を仕上げられます。
生物多様性に関する解答例(ある人の解答例)
1992年に採択された生物多様性条約は、人類共通の資源を保全する国際的枠組みとして大きな意義を持った。しかし、実際には生物多様性が「グローバル・コモンズ」としての共有財産というよりも、「グローバル商品」として交換価値に基づき経済的に利用される傾向が強まっている。こうした状況は、生物多様性をいかに捉えるかという根源的な問いを投げかけている。
その一方で、地域社会は生物多様性の「使用価値」を認識し、国際的な議論が経済的側面に偏るなかでも、人類共通の資源を守りながら賢明に利用してきた。つまり、保全か利用かという二項対立に還元するのではなく、生物多様性の「関係価値」に注目する視点が必要である。グローバル経済が進展する中で交換価値が強調されれば、生産者と消費者は分断されかねない。しかし、両者がつながりを持つことによってこそ、豊かな関係価値を見出すことができる。
関係価値とは、人間社会において相互のつながりがもつ意義を示す概念である。それは個々人の社会的地位や心理的満足感に影響を及ぼし、共同体の安定や持続可能性を支える。例えば、家族関係を考えてみよう。良好な親子関係は子どもの健全な成長に不可欠であり、信頼と尊重が相互に存在することで家庭全体の安定感が生まれる。夫婦関係においても、強固な信頼関係があれば、経済的困難などの試練を共に乗り越える力が生まれる。こうした事例は、関係価値が個人の幸福感のみならず、社会全体の統合や連帯を促す基盤であることを示している。
同様に、生物多様性における関係価値も、人間と自然の間の相互作用を豊かにし、社会の持続可能性を高める。地域社会が自然環境と共生しながら文化や経済を育んできた事実はその好例である。生物多様性の維持は単なる環境問題にとどまらず、人間同士、さらには人間と自然との関係を再構築しうる契機となる。
したがって、生物多様性を論じる際には、「保全」か「利用」かという二者択一的発想を超え、関係価値を基盤とした新たな価値の枠組みを探るべきである。国際社会と地域社会が協働し、関係価値を尊重した生物多様性の利用と保全を進めることこそ、人類の持続可能な未来を切り開く鍵となるだろう。
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