近年、働き方改革や新型コロナウイルスの影響により、テレワークが急速に普及した。自宅やカフェなど場所を選ばずに働ける一方で、コミュニケーション不足や生産性低下といった課題も指摘されている。大学入試の小論文では、こうした「テレワークのメリット・デメリット」をテーマに出題されることが多く、社会の動向を理解したうえで自分の意見を論理的に述べる力が求められる。本記事では、小論文で使えるテレワークの論点や解答例をわかりやすく紹介する。
【課題文の要約】
- テレワークのメリット…特徴は、通勤による負担がないため、ストレスがかからず、仕事の生産性効率性が向上することがわかる。
- テレワークのデメリット…仕事と仕事以外の切り分けが難しいため、長時間労働になりやすいことがわかる。また、上司等とコミュニケーションを取ることが難しいため、仕事の評価も難しいということも読み取れる。
【問題】
テレワークのメリット・デメリットの調査結果から、あなたが考えたことを述べなさい。
【大学入試小論文】テレワークのメリット・デメリットの書き方のポイント
① テーマの背景を押さえる

- 「テレワーク」は、ICTの発達や働き方改革、新型コロナウイルスによる社会変化を背景に普及した。
- 単なる個人の働き方の問題ではなく、社会・経済・家族・地域 など幅広い影響があることを意識する。
→導入で「なぜテレワークが注目されているのか」を簡潔に説明すると説得力が増す。
② メリットを整理する

- 通勤時間の削減 → 生活の質(QOL)の向上、生産性向上につながる。
- 柔軟な働き方 → 子育て・介護と仕事の両立が可能。
- 企業側の利点 → オフィスコスト削減、幅広い人材確保。
- 環境面 → 交通量減少によるCO₂削減。
→個人・企業・社会の3つの視点で整理すると書きやすい。
③ デメリットを整理する

- コミュニケーション不足 → チームワークやイノベーションの低下。
- 労働環境の悪化 → 長時間労働、オンオフの切り替えが難しい。
- 公平性の問題 → テレワーク可能な職種とそうでない職種の格差。
- 地域社会への影響 → 都市の経済活動縮小、地方の活性化の可能性など二面性あり。
→メリットとバランスよく並べることが大切。
④ 自分の立場・意見を明確にする

メリットとデメリットを比較したうえで、自分はどちらを重視するか を示す。
例:「テレワークは生産性低下のリスクもあるが、柔軟な働き方を可能にする点で社会に必要である」など。
→「私は~と考える。なぜなら~だからだ。」という論理展開を意識する。
⑤ 具体例を入れる
コロナ禍での急速な普及、総務省や厚労省の調査データ、企業の事例などを簡単に触れると信頼性が高まる。
身近な例(家族や知人がテレワークで変化を実感した話)も有効。
⑥ 結論で社会的意義に広げる
個人だけでなく「社会の働き方の多様性」「持続可能な社会」など大きな視点に結びつけると評価されやすい。
■ 構成イメージ
- 導入:テレワークが注目される背景
- 本論:メリット(個人・企業・社会)とデメリット
- 自分の意見・立場
- 結論:社会全体にとっての意味
テレワークのメリット・デメリットの解答例(ある人の例)
近年、情報通信技術の発展により、テレワークの導入が急速に進んでいる。本稿では、テレワークの利点と課題を整理したうえで、組織や個人がいかにその効果を最大化できるかについて考察する。
調査結果から明らかになったテレワークの最大のメリットの一つは、通勤負担の軽減によるストレスの減少である。従来、通勤時間は心理的・身体的負荷を生むだけでなく、労働生産性にも影響を与えていた。テレワークにより、これらの負荷が軽減され、労働者は柔軟な労働時間を確保できるようになった。結果として、自己の生活リズムに合わせた効率的な業務遂行が可能となり、働き方の多様性が広がることが期待される。
しかし一方で、テレワークには顕著な課題も存在する。第一に、仕事とプライベートの境界が曖昧になりやすく、長時間労働や心理的疲弊が生じやすい点である。第二に、対面でのコミュニケーションが制限されることにより、取引先やチームメンバーとの信頼関係の構築や維持が困難になる可能性が指摘されている。これらのデメリットは、テレワークの生産性向上効果を阻害し、組織全体のパフォーマンスにも影響を及ぼす恐れがある。
私は、テレワークの利点を最大限に生かす戦略の一つとして、異なるタイムゾーンに分散したチームでの協働を挙げたい。地理的制約を超え、24時間体制で業務を進めることにより、プロジェクトの進捗が加速し、緊急対応や多角的なアイデア創出が可能となる。このような体制は、従来のオフィス勤務では得られなかった柔軟性と効率性をもたらすものである。
さらに、テレワークの課題に対しては、組織的・個人的な対策が不可欠である。具体的には、業務時間の明確な設定や、プライベートとの境界を意識的に確保するためのトレーニングが有効である。また、リモートワーク特有のコミュニケーションギャップを補うために、チャットツールやビデオ会議、プロジェクト管理ツールなどのデジタルプラットフォームの活用が求められる。これにより、チーム内での情報共有の質が向上し、業務上の意思決定も迅速化する。
将来的には、テレワークの利便性と対面コミュニケーションの重要性をいかにバランスさせるかが、組織の競争力を左右する課題となるであろう。具体的には、日常業務はテレワークで効率化しつつ、重要な意思決定や対人関係構築の場面では対面での交流を重視するハイブリッド型の働き方が望ましい。このような柔軟性と戦略的コミュニケーションを両立させることが、現代の多様化する働き方において不可欠である。
結論として、テレワークは通勤負担の軽減や柔軟な労働時間といった明確な利点を持つ一方で、業務とプライベートの境界の曖昧化やコミュニケーション不足といった課題も抱える。しかし、適切な運用方針やデジタルツールの活用、ハイブリッド型の働き方を導入することで、これらの課題は克服可能である。テレワークを単なる一時的な勤務形態として捉えるのではなく、組織と個人双方にとって最適な働き方を模索する戦略的手段として位置づけることが、今後の持続可能な働き方改革において重要である。
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