【大学入試国語古文対策】よく出る古典文学作品物語一覧です。
よく出る古典文学作品物語一覧
説話と違って、長編が多いのが物語のジャンル。入試には長編の一部しか出題されないわけですから、有名作品くらいは全体の内容をあらかじめ知っておきましょう。
また、物語は平安時代という貴族社会 (官は社会)が時代背景・題材になっていることが多いため、敬語が頻繁に使用されます。
ですので、入試における古典物語は、敬語を読み解くのがキーポイントとなります。
竹取物語(未詳)
平安時代。かぐや姫の物語。竹の中にいたかぐや姫が、竹取の翁に見つけられて成人し、五人の貴公子および天皇に求婚された後、天人に連れられて月に帰るという話。
➀竹取の翁・婦が、娘のかぐや姫に向かって話す会話文の中に敬語が見られる点と、➁天皇の会話文の中に自敬表現(自分で自分に敬語を使う表現)が見られることに注意。
宇津保物語(源順?)
平安時代。「宇津保」とは「ほらあな」を意味する古語。その名の通り、生活するすべを失った母子が洞穴で生活するシーンから、物語の名称がつけられている。
内容としては、琴(きん)の秘曲伝授・恋愛話・政治的紛争のいずれかが語られる。
落窪物語(未詳)
平安時代。いわゆる「継子いじめ」の話。虐待されていた継子の姫君が、左近少将道頼に救い出され、継母方が少将に復讐されるという話。 『住吉物語』や『御伽草子』の「鉢かづき」もこの系譜にあたる。
少将と姫君には尊敬語を使用し、その従者の帯刀(たちわき)とあこきには尊敬語を使用していないことに注意して読解する。
源氏物語(紫式部)
平安時代。天皇の皇子として生まれた光源氏が、多くの女性との恋の遍歴を重ね、須磨退去の悲運を乗り越えて栄華を極める半生と、生まれながらに業を背負った宿命の子薫(かおる)、及び源氏の孫匂宮と宇治の姫君達との悲恋を描く。五四帖の長編。
前半は光源氏の一代記。後半(巻名「匂宮」以降 の帖)は光源氏の子供(実は柏木の子供)薫と、光源氏の孫である匂宮が主人公。
問題を解くときは、大きく分けて「光源氏関係の章段」か「薫・匂宮の章段」かを明らかにし、通読した内容をヒントにしながら読解していくとよい。
<源氏物語の三部構成>
- 第一部(第一帖「桐壺」~三三帖「藤裏葉」)→光源氏の誕生から栄華まで
- 第二部(第三四帖「若菜上」~四一帖「幻」)→光源氏の苦悩の晩年
- 第三部(第四二帖「匂宮」~五四帖「夢浮橋」)→宿命の子薫と宇治の姫君たちの悲恋
四五帖(橋姫)以降の十帖は、宇治が舞台となっているため「宇治十帖」ともいう。話・政治的紛争のどれかか語られる。
狭衣物語(六条斎院宣旨)
平安時代。狭衣大将の、中将の時代から1年間にわたる半生を描いた作品。
才色兼備である主人公の狭衣が、源氏の宮を想いつつ、数々の女性と交際を続けていくという内容。
前半は、源氏の宮にかなわぬ恋をする狭衣の悩みが中心に描かれている。
堤中納言物語(小式部ほか)
平安時代。日本最古の短編物語集。気高さや風流を優先する他の作品と違い、滑稽で奇妙な内容の話が多い。
男女の立場を逆にして育てた結果、数々の混乱が生じる『とりかへばや物語』もこの系列。次の三つの短編の現代語訳をおさえておくと有利。
- 「花桜折る少将」…月夜に通りかかった桜の花の美しい邸宅。小将はそこで垣間見した姫に恋し、姫を連れ出そうとするが、姫と間違えて乳母を連れ出してしまうという話。
- 「虫めづる姫君」…人並みの化粧もせず、虫を愛する変わり種の姫君の物語。当時の風習に疑問を抱く姫君を描く。
- 「はいずみ」…おしろいと眉墨を間違えて恥をかく姫の話。
伊勢物語(未詳)
平安時代。色好みの代表、在原業平の一代記(元服から臨終までの話)として読まれてきた、数々の女性との遍歴を重ねていく主人公を描く短編完結型の物語集。
平安貴族が理想とした「みやび」の精神が一目して流れている。
大和物語(未詳)
平安時代。『伊勢物語』と違い、統一的な主人公は存在せず、天皇から遊女まで、幅広い層の主人公が登場する。
数々の和歌を使った恋愛話や、あわれ深い話が多い。
平中物語(未詳)
色好みの平貞文(さだふん) が、数々の女性と交際する歌物語。全三九段中、三十段が女性 との交際を描いている。抒情性あふれる伊勢物語とは違い、世俗的で滑稽な話も多い。
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