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【高校倫理】ヘーゲルの思想のポイント

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【高校倫理】ヘーゲルの思想についてまとめています。

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ヘーゲルという人物

ヘーゲル(1770年から1831年)は、大学在学中にフランス革命が起きたとき、シェリングらとともに「自由の樹」を植えて祝ったといわれる。1807年イエナで最初の主著『精神現象学』を著したが、そのころイエナに侵攻してきたナポレオンを見て、「馬上の世界精神を見た」と語った。その後『法の哲学』などを著し、世界を絶対精神の弁証法的な自己展開と見る独自の哲学体系を築き、その後の哲学思想に強い影響を及ぼした。

フランス革命
1789年にフランス革命がおこり、国民議会は「人権宣言」を発表した。国王の国民議会への弾圧に対して、1789年7月14日パリの民衆がバスチーユ牢獄をおそいフランス革命が始まりました。国民議会は、1789年8月に「人権宣言」を発表して、自由・平等・人民主権などを宣言し、1791年にはフランスで最初の憲法が制定され、議会政治が始まりました。

カント批判

カントは、自らが立てた道徳法則に自ら従うことを「自由」と考えた。ヘーゲルは、そのような自由はいまだ内面的・観念的なものであると批判し、自由は現実の世界で、法や社会制度といった具体的・客観的な姿をとって、実現されなければ真の自由とは言えない、と主張した。

塑性と現実

自由という理念は、現実の歴史や社会の中で実現されなければ意味がないとして、ヘーゲルは理性(理念)と現実との一致を説いた。ヘーゲルはこのことを、『法の哲学』の序論で、「理性的なものは現実的であり、現実的なものは理性的である」と表現している。歴史の進展「理性的なものは現実的」とは、理性的なものは現実の世界で実現され、歴史の必然性(理性の法則)を担うものとして残るということである。つまり、いま現実の世界にあっても理性的でないものは真に現実的とは言えず、歴史の中でいずれ滅びるということである。

絶対精神

ヘーゲルは、世界の最高原理を絶対精神と呼んだ。自由を本質とする絶対精神が歴史上にあらわれたものを、世界精神とした。歴史(世界史)は、世界精神(=絶対精神)が自己展開し、人間の自由な活動を通じて自己の理性ある自由を実現していく過程である。ヘーゲルは「世界史は自由の意識の進歩である」(『歴史哲学講義』)と述べ、自由を実現していく過程として産みとらえた。

弁証法

弁証法は、本来は対話法や問答法を意味している。ヘーゲルは弁証法を、世界を矛盾や対立を契機として運動・発展するものととらえる哲学的な論理として確立した。それはものごとの理性的な発展の論理で あると同時に、それを認識する人間の理性が進む道でもある。ヘーゲルの弁証法は次のような3段階をふむ。

  • (定立、テーゼ)…ある立場が肯定され、それと矛盾・対立するものが知られていない段階。自己への反省のない無自覚な状態(=即自)である。
  • (反定立、アンチテーゼ)「正」の立場を否定する他の立場があらわれ、 2つの立場の矛盾・対立があらわになった段階。対立するものとの矛盾関係を通して自己への反省・自覚が生まれた状態(=対白)である。
  • (総合、ジンテーゼ)…矛盾・対立する 正・反の立場をともに否定しつつ、より 高い次元で両者を生かし、総合するという段階。この正・反の立場を高い次元で 統合することを止揚(アウフヘーベン) という。そこには、否定しつつ保存し、高めるという意味が含まれている。自己が、自己を否定するものと出会い、それをさらに否定する(否定の否定) ことを通して、自覚的存在として高められた自己へと回帰した状態(即自かつ対自)である。

人倫

  • 法…客観的・外面的に権利を保障し、社会秩序を維持するが、個人の内面を軽視し、人間関係は形式的に法にかなっていれはよいことになる。
  • 道徳…内面的な良心に従って生きることを人々に求めるが、主観的性格が強く、時に個人の内面にととまり社会全体への働きかけに乏しい結果となる。
  • 家族…夫婦や親子などの自然な愛情により結ばれた共同体。個人の人格的な独立性の意識は乏しい。子どもが成長して独立すると、市民社会の一員となる。
  • 市民社会…独立した自由・平等な個人間の契約により結ばれた社会。成員が各自 の欲望や利益を追求する「欲望の体系」をなす。自由で活発な経済活動が行われる 反面、人々はたがいに自分の利益のため相手を利用しようとし、貧富の格差が生まれ、あるべき人間関係が失われた「人倫の喪失状態」となる。
  • 国家…家族と市民社会を総合した、人倫の最高形態。家族の共同性と市民社会における個人の独立性がともに保たれ、人倫は回復され、自由が実現する。

ドイツ観念論

ドイツ観念論(ドイツ理想主義)は、18世紀後半のカントに始まり、フィヒテ、シェリングをへて、19世紀初めのヘーゲルに至って完成された哲学の思想運動である。観念論とは精神的なものを世界の根源的な原理と考えるもので、物質的なものを根源的な原理とする唯物論に対する哲学上の立場である。内省的・理想主義的な傾向があるので、ドイツ理想主義ともいう。

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