【大学入試小論文】自己責任論についての解答例です。
最近では、日本はすばらしいというネット右翼の人さえ日本について疑問を持っている。その原因は自分が直面している問題をまるで他人事のように語り自分の意見を主張しないからだ。日本には、中国やアラブ諸国とは異なり、表現の自由がある。自分で考えたり、行動したりするための「道具」や「材料」があるにも関わらずそのありがたさもわかっていない。それこそが、日本の人たちの最大の不幸である。
著者が言う「いつまでたっても残業が減らず、労働環境や住環境が悪化する一方なのは、つまり、自分の責任なんです。 」ということについて、あなたが考えることを六百字以内で述べなさい。
ある人の自己責任論についての解答例
筆者は本文で、道具や材料があるにも関わらず、自分の意見を主張しないために労働環境や住環境が悪化していると述べている。また、それは自己責任だと述べているが、私はそうだとは考えない。
たしかに、他国よりも資源は恵まれていて、道具も材料も充分にある。そして、日本人はそれに気づいている人は増加傾向にある。なぜならば、人々は発展途上国に対して募金活動を行ったり、テレビにCMでも発展途上国の現状が流れているからだ。そのために物のありがたみを感じている人も増えている。
私が考えるのは、自分の意見を主張しないのではなく、自分の意見を主張できない環境に日本はなっているのでないかと考える。例えば、昨今でよく聞くようになったセクハラやパワハラという問題。上下関係がはっきりとしている日本では、労働環境が悪化しても圧力に屈することが不可能になるという事例が起きているのである。
このような事例を見てみると、簡単には自分の責任だと言えなくなる。この問題を解決するためには、個人レベルの責任ではなく、会社、そして国までもが制度を変えていく必要がある。国は、セクハラやパワハラに対する法制度を改正したり、会社は、やった人に対して厳しく懲戒をしたりと全体が変化しく必要があると考える。
以上のことから、私は、自分の責任だとは言い切れないと考える。
自己責任論についての添削・アドバイス
1.主張を明確にする
現状、「自分の責任ではない」という主張は伝わりますが、冒頭部分で筆者の主張とあなたの反論をより簡潔に述べると、テーマが明確に伝わります。
例:筆者は本文で、労働環境や住環境の悪化を「自己責任」としているが、私はこれに賛同できない。なぜなら、現在の日本では「自分の意見を主張しない」ことが問題ではなく、「自分の意見を主張できない環境」に原因があると考えるからだ。
2.中央部分の論旨を整理
以下の段落では、主張が少し曖昧になる部分があります。例えば、発展途上国の状況と日本人の意識の関連性について述べていますが、これが主題(労働環境や自己責任の問題)と直接結びついているかがやや不明瞭です。
発展途上国の話を削除するか、主題に関連付ける。
「意見を主張できない環境」の具体例に焦点を絞る。
修正版例:たしかに、日本には豊富な道具や材料があり、それに気づいている人も多い。しかし、問題はそれらを活用できない環境にある。例えば、昨今のセクハラやパワハラの問題では、上下関係が厳しい日本社会の構造が原因で、労働者が意見を主張できない状況が生まれている。
3.解決策の具体性を強化
解決策の部分で「会社や国が変化する必要がある」と述べていますが、具体的な施策が少し抽象的です。もう少し具体例を挙げることで説得力を増すことができます。
国や企業がどう関与すべきかを明確にする。
修正版例: この問題を解決するためには、企業が従業員の意見を聞く場を設けたり、第三者機関による労働環境のチェックを行ったりすることが必要だ。また、国はセクハラやパワハラに対する罰則を厳格化し、被害者が安全に相談できる制度を整備するべきだ。
4.結論の強化
最後の結論部分をもう少し強調することで、読後感を高めることができます。具体例を簡潔にまとめつつ、最初の主張と対応させると良いです。
修正例: 以上のことから、「自己責任」で問題を片付けるのではなく、社会全体が環境を改善する努力をする必要があると考える。個人が安心して意見を主張できる社会こそが、労働環境や住環境の改善につながるのではないだろうか。
5. 文法と表現の調整
以下のような細かな表現の調整が必要です。
・「圧力に屈することが不可能になる」という表現は少し不自然。「圧力に屈してしまう状況に追い込まれる」などが適切。
・「簡単には自分の責任だと言えなくなる」という部分は、主語が不明瞭。「これを自己責任と断じることは難しい」などに修正。
原文をもとにした自己責任論の構成案
(主張)筆者は本文で、道具や材料があるにも関わらず、自分の意見を主張しないために労働環境や住環境が悪化していると述べている。それは自己責任だと述べているが、私はそうだとは考えない。私が考えるのは、自分の意見を主張しないのではなく、自分の意見を主張できない環境に日本はなっているのでないかと考える。
(例示)例えば、昨今でよく聞くようになったセクハラやパワハラという問題。上下関係がはっきりとしている日本では、労働環境が悪化しても圧力に屈することが不可能になるという事例が起きているのである。
(対策)このような事例を見てみると、簡単には自分の責任だと言えなくなる。この問題を解決するためには、個人レベルの責任ではなく、会社、そして国までもが制度を変えていく必要がある。国は、セクハラやパワハラに対する法制度を改正したり、会社は、やった人に対して厳しく懲戒をしたりと全体が変化しく必要があると考える。
(反駁)たしかに、他国よりも資源は恵まれていて、道具も材料も充分にある。そして、日本人はそれに気づいている人は増加傾向にある。なぜならば、人々は発展途上国に対して募金活動を行ったり、テレビにCMでも発展途上国の現状が流れているからだ。そのために物のありがたみを感じている人も増えている。しかし、まだ十分だとはいえない。
以上のことから、私は、自分の責任だとは言い切れないと考える。
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