【大学入試小論文】持続可能な社会実現についての解答例です。
【問題】
(A)我々の生活を便利で豊かなものにしてくれる高性能・高機能な製品や材料の開発は、結果的に資源エネルギーの節約や環境負荷軽減につながる場合が多いので今後も高性能な製品や材料の開発を続けていくべきである。
(B)必要以上の高性能化や高機能化を追い求めるよりも、生産工程の改良や製品のリサイクル(再資源化)などの環境技術開発をもっと進めていく方が資源やエネルギーの節約と環境負荷の軽減に寄与するはずである。
(A)の意見も(B)の意見も「環境にやさしい循環型社会」「持続可能な社会」の実現を意識した考え方といえる。
上記2つの製品開発の進め方のメリットとデメリットをそれぞれ客観的に説明した上であなた自身の意見や考え方について述べなさい。(800字以内で記述すること)
持続可能な社会実現についての解答例
(A)のメリットは、開発後に永続的に環境問題に有効であり、まだ未開発の分野や材料も多く残っているため無限の可能性があることだ。一方で、デメリットはコストがかかり、開発に数十年の時間を要することだ。その上、その開発中に環境に負荷をかける可能性がある。
(B)のメリットは、既にある製品の改良やリサイクルであるため、(A)に比べて開発に時間がかからない。さらに環境負荷の根本的な解決に繋がる。しかし、改良やリサイクルには限界があり、処理しきれない有害物質などには対応できない。
私は(A)と(B)の両方を組み合わせることで「環境にやさしい循環型社会」「持続可能な社会」を実現できると考えている。実際には、
(A)では燃料電池車が例として挙げられる。確かに、燃料電池車の開発には今までかなりの時間を要し、触媒などに使われる白金や金は高コストである。しかしこの燃料電池車の価格が下がり、ガソリン車に代わって多くの人が選択する車となれば、酸素と水素だけで動き、排出される物質は水だけであるため、環境負荷を減らし、「持続可能な社会」に繋がる。
(B)では、生産工程でのデバイスの効率化が例として挙げられる。効率化には限界があるが、現在使用電力が大きく削減の余地があるボイラーやモーターに、高度な制御を取り入れることで「環境にやさしい循環型社会」に繋がる。またバイオプラスチック技術を導入することも有効である。プラスチックを燃やすときに廃止されるダイオキシンなどの有害物質を削減するため、自然に分解されるようなとうもろこしの原料の生分解性プラスチックなどに改善、改良を進めるべきだ。
上記のことから、私は2種類の製品開発の進め方をうまく組み合わせて取り入れることで、互いのデメリットを補い、環境への負荷を軽減できると考える。結果、「環境にやさしい循環型社会」「持続可能な社会」を実現できると思う。
持続可能な社会実現についての講評(抜粋)
2つの製品開発の進め方のメリットとデメリットについて、すばらしい見立てですね。自身の意見も、確かな知識をもとに、客観的に述べられています。上位で合格できると思われます。
【ガソリン車について】
もうガソリン車は廃止の流れということを踏まえておきましょう日本は完全に立ち遅れています。理由として、日本には大手のガソリン車メーカーが多いからだと考えられます。欧州、特にドイツにも多くのガソリン車メーカーがありますが、日本とは対照的にいち早くEV(Electric Vehicle電気自動車)への移行を宣言しています。
質問の回答(抜粋)
質問1、・・・繋がる という表現が便利なので何度も使ってしまいます。他に、相応しい表現はありますか。
そのままの語彙の意味を踏襲するなら、「結びつく」となりますが、
少し言い回しを変えて、
(原文)環境負荷を減らし、「持続可能な社会」に繋がる。
(案1)環境負荷が減ることで、「持続可能な社会」の実現可能性が高まる。
(案2)環境負荷が減ることで、「持続可能な社会」の実現に近づく。
(原文)高度な制御を取り入れることで「環境にやさしい循環型社会」に繋がる。
(案1)高度な制御を取り入れることは、「環境にやさしい循環型社会」へ通じる。
(案2)高度な制御を取り入れることは、まさに「環境にやさしい循環型社会」への一歩だ。
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