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【高校政治経済】国会の組織と立法

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【高校政治経済】国会についてまとめています。

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国会の地位

憲法第41条は「国権の最高機関であって、唯一の立法機関」と規定し、国政の中心と位置づけている(国会中心主義)。

国会の組織

二院制であり、衆議院と参議院の両議院で構成。衆議院定数は480人。任期は4年(但し、解散すれば 任期終了)。被選挙権は満25歳以上。解散の制度がある。参議院の定数は242人。任期は6年で、3年ごとに半数改選。被選挙権は満30歳以上。

比較 衆議院 参議院
議員数 475人 242人
任期 4年 6年
解散 ある ない
改選 ない 3年ごとに半数
選挙権 満18歳以上 満18歳以上
被選挙権 満25歳以上 満30歳以上
選挙区 小選挙区295人 選挙区146人
比例代表180人 比例代表96人
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国会の種類

国会には次の3種類がある。なお、衆議院解散中に緊急の要件 があった場合に、参議院の緊急集会が開かれることもある。

  • 常会(通常国会)…毎年1回, 1月に召集される。会期は150日間(会期は両議院の一致の議決で延長できる)。予算の審議を中心に行われる。
  • 臨時会(臨時国会)…内閣、またはいずれかの議院の総議員の4分の1以上の要求によって開かれる。会期は、両議院の一致の議決で決まり、補正予算や外交その他国政上緊急に必要な事項が審議される。
  • 特別会(特別国会) …衆議院の解散による総選挙の日から30日以内に召集される(任期満了後の総選挙のあとに召集されるのは臨時会)。内閣総理大臣 の指名選挙が先決問題として扱われる。
国会の種類 召集 おもな議題
通常国会(常会) 毎年1回1月中に召集される会期は 150日間 次の年度の予算を決める。
臨時国会(臨時会) 内閣が必要と認めたときや、どちらかの議院の総議員の4分の1以上の要求があったときに召集される。 臨時の議題について話し合い、議決を行う。
特別国会(特別会) 衆議院が解散した後の総選挙後、30日以内に召集される。 内間総理大臣の指名の議決を行う。
緊急集会 衆議院の解散中、国会の議決が必要な緊急の場合、参議院だけが召集される。 緊急の議題について話し合い議決を行う。
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国会の仕事

法律の制定

法律の制定

法律の制定過程

  1. 法案提出…国会議員、内閣、常任委員会特別委員会が行うことができる(予算を除いて衆・参どちらの議院に先に提出してもよい)。
  2. 委員会の審議…いずれかの議院に提出された法律案は、議長により委員会に送られる。委員会は公聴会(予算については必ず開く)を開き、有識者や関係者の意見を聞く場合もある。
  3. 本会議の審議…委員会から送られてきた法律案を審議。本会議は各議院の総議院の3分の1以上の出席で開かれ、出席議員の過半数の替成で可決される。
  4. 天皇による公布…両院で可決すれば法律が成立し、広く国民に知らせる。

条約の承認

内閣が締結した条約に対する承認権をもつ。

内閣総理大臣の指名

内閣総理大臣は国会議員の中から選ばれる。両院協議会を開いても意見が一致しないとき、または衆議院が指名の議決をしたあと、参議院が10日以内に指名の議決をしないときは衆議院の議決が国会の議決となる。

内閣不信任案の提出

衆議院のみの権限。不信任案を可決された場合、内閣は総辞職するか、10日以内に衆議院を解散しなければならない。

国政調査権

内閣に対し、証人の出頭・証言や記録の提出を要求できる。

国政調査権の例
衆・参両議院が国政に関する調査を行う権利で、ロッキード事件(1976)、リクルート事件(1989年)、佐川急便事件(1991年)、薬害エイズ事件 (1996年)、耐震偽装事件(2005年)などが有名な例。

財政に関する権限

  1. 財政処理の原則国の財政処理は、国会の議決によらなければならない。
  2. 予算の議決と決算の検査・内閣が作成する予算は、国会で議決される。予算は先に衆議院に提出する(衆議院の予算先議権)。
  3. 決算は、会計検査院の検査の後、内閣が検査報告とともに国会に提出し、国会の審査を受ける。

司法の監督

職務上の義務違反や非行のあった裁判官を、訴追委員会の申し立てで望効裁判所を設置し、罷免するか否かを決める。

憲法改正の発議

憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が発議する。衆議院の優越は認められない。

憲法改正
日本国憲法の改正にはまず、各議院の総議員の3分の2以上の賛成をもって、国会が国民に発議する必要がある。その後、特別の国民投票または国会の定める選挙の際に行われる投票で、その過半数の賛成があれば改正を行うことができる。国民の承認が得られたら、天皇は国民の名において、直ちにこれを交付することになる。

国民投票法
2007年に成立した国民投票法では、憲法改正につ いて、投票者は原則18歳以上とすることなどが定められた。定住外国人は憲法改正の国民投票には参加できない。
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衆議院の優越

  • 法律案の議決(第59条)
  • 予算の議決(第60条)
  • 条約の承認(第61条)
  • 内閣総理大臣の指名について認められる。予算先議権と内閣不信任決議権を含める場合もある。(第67条)
優越の理由
衆議院の方が参議院に比べて任期が短く、解散もあり、より正確な民意を反映できるから。

法律案の議決

両院の議決が異なるとき、衆議院が出席議員の3分の2以上で再議決すると、衆議院の議決が国会の議決となる。また参議院が衆議院の可決案を60日以内に議決しないときは、衆議院は参議院がそれを否決したとみなすことができる。

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日本の政治腐敗

55年体制の下、ロッキード事件、リクルート事件ないの構造汚職と呼ばれる事件が起こり、自民党の長期政権により進行した政・官・財の癒着が問題となった。ロッキード事件は航空機の選定をめぐり、田中角栄元内閣総理大臣などが収賄に関する罪に問われた事件である。また、リクルート事件は大手情報産業企業リクルートが子会社の値上がり確実な未公開株を政治家などに譲渡し、自社に有利な行政を要求した事件である。

55年体制の崩壊
ロッキード事件、リクルート事件、佐川急便事件など、金権汚職事件が発生して、政治腐敗が大きな問題となり、政治改革の動きの中で保守系の新政党が相次いで結成された。1993年、保守合同以来38年ぶりに政権が交代し、非自民・非共産の連立政権による細川内閣が誕生した。

政治資金規正法

こうした汚職事件を受けて、政治資金規正法が制定され、企業・団体から政治家個人への政治献金が禁止された。ちなみに、企業・団体から政党に対する政治献金は禁止されていないが制限は受けている。

政党や政治家は、日常の政治活動に資金が必要である。1994年には政党助成法が制定され、政党交付金を、所属国会議員が5人以上または直近の国政選挙の得票率が2%以上という条件を満たす政党に与えている。共産党は政党交付金の制度に反対しており、受け取っていない。

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