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【歴史総合】多様化する世界

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【歴史総合】多様化する世界についてまとめています。

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多様化する世界

紛争と戦争位置関係図
世界経済はアメリカ合衆国・西ヨーロッパ・日本の三極構造となり、発展途上地域では南北問題と南南問題とが重層的にもつれあう、複雑な状況があらわれている。冷戦解消後、国際平和への期待が高まったにもかかわらず、宗教・民族対立、経済格差などを背景とする地域紛争が各地で噴出している。

20世紀は科学の時代であり、その加速度的な発展は人々の生活空間や価値観を大きく変えながら、現代文明を構築してきた。しかし、それは一方で資源の大量消費・大量廃棄をともない、地球的規模での環境汚染・環境破壊を引き起こしている。こうした問題の解決は、現代文明の最大の課題となっている。

地球環境をめぐる課題

近年、世界の各地で環境破壊がおこり、人々の生活に影響をあたえるだけでなく、貴重な動植物が絶滅の危機にさらされている。 熱帯地域に広がる熱帯林は伐採などで極端に減少し、砂漠の周辺地域などでは砂漠化が進んでいる。

地球環境問題の対策

国際連合は地球環境を守るために国連人間環境会議、地球サミット、地球温暖化防止京都会議、ヨハネスバーグ環境開競サミットなどを開き、国際的な協力による環境保護の重要性守る重要性を確認した。水鳥などの生活の場をにラムサール条約が結ばれ、自然景観や文化財の保護のために世界遺産条約が結ばれている。

冷戦後の混乱期

国際政治の動向をひと言で言うと、現在は冷戦後の混乱期ということになる。つい最近までは、世界が東西(東=共産圏と西=資本主義圏)に別れて勢力争いをしていたため、力のバランスがとれていたが、ソ連が崩壊して、歯止めがなくなると、各地で民族対立、宗教対立 噴き出してきた。それに、旧共産圏諸 は資本主義に慣れていないため経済運営がうまく行かず、混乱が起こっている。そして、そのため世界はボーダレス化 (国境がないような状態になっていること)し、先進国に発展途上国の人々が押し寄せるなどの問題も起こっている。

戦後、ドイツは領土を縮小され、アメリカ合衆国・イギリス・フランス・ソ連の4か国の管理下に統治された。イギリス・フランスは戦争で 大きな被害を受けたうえ、植民地などが次々に独立して、国力が弱まった。アメリカ合衆国は、戦後の西ヨーロッパ諸国を援助し、強力な軍事力と経済力で資本主 義諸国(西側陣営)の中心となった。いっぽう、ソ連は、1946年から第4次五か年計画を行って急速に復興し、東ヨーロッパ諸国の社会主義化を指導して社会主義諸国 (東側順営)の中心となった。

冷戦構造の崩壊

冷戦構造の崩壊は、国際経済の枠組み も大きく変えることになった。冷戦時代の資本主義経済圏と社会主義経済圏という大きな二つの経済圏が崩れたうえ、交通網の発達やコンピュータのネットワーク化によって経済面でもボーダーレス化してきた。今では、瞬時に世界の情報を入手でき、流通が世界規模になっている。もう、一国だけでは経済は成り立たなくなっている。こうして出てきたのが経済のブロック化だ。

現在、EC(フランス、ドイツなどの西ヨーロッパ十二カ国)やNAFTA(アメリカとカナダ)のほか、東南アジアのASEAN諸国(タイ、マレーシア、シンガポールなど)も、ゆるやかな 形ではあるがブロックを形成しつつある。ブロック化によって、一国の経済基盤ではできない大がかりなプロジェクトができるようになる。協力し合うことで、コストも安くてすむ。数か国が得意の技術を提供し合って、ほかの経済大国や技術大国と対抗できるようにもなる。

そうした理由からブロック化を進めて、あちこちで成功を収めてきた。特に、ASEAN諸国は著しい経済の伸びを示している。近いうちに、世界の経済を支える大経済圏になるだろうと期待されている。

東南アジア諸国連合(ASEAN)

東南アジア諸国連合(ASEAN)は、東南アジア諸国の経済協力を目的として1967年に結成された組織で、当初加盟国はタイ・インドネシア・フィリピン・マレーシア・シンガポールの5か国であった。現在は10か国が加盟し、域内人口はヨーロッパ連合(EU)や北米自由貿易協(NAFTA) より多い6億1800万人(2013年)で、貿易額は日本を上回っている。最近は、政治・外交・安全保障の面でも緊密な連携をとるようになり、国際的な発言力を増している。

EU(欧州連合)

ECでは『欧州連合』EUを作って、政治や通貨もできるだけ統一しようとしている。こうすることで、アメリカや日本などに対抗しようとしている。 だが、そうなると、各国の文化が制限されることになる。そうした理由で各国の文化を守ろうとする人々の反対を受け、今後さまざまな難題が予想されている。

PKO

国連平和維持活動のこと。日本の自衛 隊も九一年からカンボジアやゴラン高原で参加している。自衛隊の海外派兵につながる恐れがあるため、反対も根強い。

南北問題

先進国と発展途上国は、さまざまな点で利害が異なる。そのため北(先進国)と南 (途上国)の間でしばしば対立が起こる。これからは、途上国の文化を尊重しながら、先進国が援助を行って、共存できるように努力することが求められている。

国家のグローバル化

世界がグローバル化(国境を越えて行き来する人が増えて、世界がひとまとまりになろうとしていること)して、一つの国家が国家としての意味を失いつつある。そのため、二つの動きが出ている。一つは、ヨーロッパ連合(EU)のように、いくつもの国が自由な結びつきの統一体を作ろうという動きだ。もう一つは、逆に、小さな民族が国家から独立しようという動きだ。

EUの政策

EUは、加盟国間(域内)での人や物、お金の移動を自由にするため、域内での関税を撤廃した。また、1999年には 一部の国をのぞいて共通通貨ユーロを導入した。2002年からはユーロの紙幣と硬貨が一般に流通するようになり,導入国では、独自の通貨が廃止された。また、農業の面でもEUの国々以外から輸入される農作物に高い税金をかける たどるは通農業政策がとられている。

国民国家の意味

いずれにしても、「一つの民族による一つの国家」という「国民国家」の意味 がなくなっているということなのだ。そうした背景には、「現在の国家は、経済単位としては小さすぎるが、政治単位としては大きすぎる」ということがある。現在では経済力が増したために、一つ の国では経済をまかないきれなくなっている。外国から原料を輸入し、外国の工場で生産して製品を作り、外国に売って、現在の経済は成り立っている。ところが、政治面では、あまり規模が大きいと、国民の意思が国家に反映されにくくなる。そこで、今、大きな経済圏と小さな政治体を求める二つの動きが出ているわけだ。

  • 国民国家…一つの民族による一国家という意味だが、民族という考え方自体があいまいで、どこまでを一民族とみなすか明確でないため、 国民国家という考え方自体、じつは人為的なものだと批判されている。

民主主義の原則

もう一つの、国家に関する大問題、それは民主主義だ。民主主義には正反対の二つの考え方がある。一つは「民主主義は基本的に個人主義に基づいている。個人を集団の抑圧から解放しようという思想が民主主義だ。 だから、少数者の意見を重視し、反社会的な思想もできるだけ尊重すべきだ」という考えだ。これは、第二次世界大戦後 軍国主義を反省して、現在の日本国憲法がとっている理念と言っていいだろう。

個人と集団

もう一つは、少数者を許していると、 民主主義に反対する人も許すことになって、民主主義が揺らいでしまう。個人をその回りの社会から切り離して考えることなど不可能なのだから、個人と集団の関係を大事にすべきだ。個人主義を重視しすぎるべきではないという考えであ る。これは、アメリカなど、欧米の考え方だ。 民主主義についての議論はほとんど、そのどちらの立場を取るかという問題だと言って間違いない。

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