【高校倫理】覚えておきたい人物一覧(よく出る編)です。高校倫理の学習では、古今東西の哲学者や思想家の考えを理解することが不可欠です。彼らの思想は、現代社会の価値観や制度にも深く影響を与えており、大学入試や定期テストでも頻出のテーマとなっています。
本記事では、高校倫理で特に重要とされる人物を一覧にまとめました。それぞれの思想のポイントを押さえながら、倫理の学習に役立ててください。効率よく知識を整理し、試験対策を万全にしましょう!
高校倫理よく出る重要人物一覧
高校倫理では、多くの思想家や哲学者が登場し、それぞれの主張やキーワードを正確に理解しておくことがテスト対策の鍵となる。しかし「人物が多すぎて覚えられない」「誰が何を唱えたのか混乱する…」と感じる人も多いだろう。本記事では、定期テストや共通テストで特に頻出の重要人物を厳選し、要点を整理してわかりやすく紹介する。人物名と主張をセットで押さえることで、得点源にしよう。
老子

道教の始祖。「道徳経」を著し、「無為自然」を説く。あらゆるものの根源である「道」に従い、作為を捨てて自然に生きることを重視。
孔子

儒教の始祖。「仁」(思いやり)と「礼」(社会秩序)を重視。徳による政治と人間関係の調和を説き、東アジア思想の基礎を築く。孔子は、人間が社会の中で生きる上で最も望ましい心 根本的な徳目というべきものを、仁という言葉で表した。仁について、孔子はあるとき「人を愛す」と説明した。
仏陀(釈迦)

仏教の開祖。35歳で悟りを開き、四諦・八正道を説く。人生の苦しみの原因と解脱への道を示し、慈悲と智慧を重視。出家したガウタマは、6年間断食などの苦行に励んたが、心の平安は得られなかった。彼は苦行をやめ、ブッダガヤーの菩提樹の下でひたすら瞑想を続けた。35歳のときに悟りを開き、仏陀(覚者、真理を悟った人)となった。
ソクラテス

西洋哲学の祖。「無知の知」を唱え、対話を通じた真理の探究を重視。「よく生きること」を追求し、魂の善を最優先とした。ソクラテスは真理を探究するため、ソフィストの弁論術のように相手を 一方的に説得するのではなく、対話の形式で質問を投げかけてそれに答えさせ、 その答えを詳しく吟味していく方法をとった。この方法は問答法と呼ばれる。
プラトン

ソクラテスの弟子。イデア論を提唱し、感覚世界を超えた真実在としてのイデアを説く。アカデメイアを創設し、哲学の体系化を推進。プラトンは、師であるソクラテスの絶対的・普遍的な真理を追究する姿勢を受け継ぎ、理性によって認識できるイデアを真の実在とする理想主義の哲学を打ち立てた。
アリストテレス

プラトンの弟子。「万学の祖」と呼ばれ、論理学・自然学・倫理学を体系化。現実の個物を重視し、観察と分析を通じた学問を確立。アリストテレスは、幸福こそ人生の最終目標であり、最高善とした。幸福とは、そのものが持つ固有の機能(そのものをそのものたらしめる働き)を十分に発揮することだと、アリストテレスは考えた。例えば、鳥が固有に持つ機能は「飛ぶこと」であり、鳥にとっての幸福な状態とは「自由に飛んでいる」状態。
荘子

道家思想の代表者。絶対的自由と万物斉同を説き、人為を離れた自然な生き方を重視。寓話を用いた独特の表現で知られる。
孟子

儒教の発展に貢献。性善説を唱え、人間の本性は善であると主張。仁政と民本主義を説き、王道政治を理想とした。魯の隣国の郭という国に生まれた孟子(前372年頃~前289年頃)は、孔子の仁や忠恕の教えを受けつぎ、発展させた。人間の本性を善であるとする性善説を唱え、人が悪を行うのは、善なる本性を見失ったためだとした。
荀子

儒教思想家。性悪説を唱え、人間は教育と礼によって善へ導かれるとした。法治主義の要素も取り入れ、実践的な政治哲学を展開。趙の国に生まれた荀子(前298年頃から前235年頃)は、孔子の教えを継承しながらも、孟子の性善説に反対した。荀子は、「人の性(本性)は悪にして、 善なるものは偽(作為)なり」と述べ、人は生まれつき欲にひかれ利を好み、放置すれば争乱がおこるとする性悪説を唱えた。
最澄

天台宗の開祖。比叡山延暦寺を開き、法華経を中心とした総合仏教を確立。「一乗思想」により、すべての人に仏性があると説いた。最澄(767年から822年)は、804年に唐に渡り、天台山で天台宗の奥義を学んだ。天台宗は、6世紀の隋代の僧智顎が開いたもので、法華経を釈迦の最高の教えとして、諸宗の教えを整理統合したものである。法華経では、仏陀は方便として多くの教えを説いたが、真の教えはただ1つのみとする一乗思想(法華一乗)を説いた。
空海

真言宗の開祖。高野山金剛峯寺を開き、密教を体系化。「即身成仏」を説き、この身のままで仏になれると主張。教育や社会事業にも貢献。空海(774年から835年)は、最澄とともに唐へ渡り、密教を学んだ。帰国後、真言宗を開き、高野山に金剛峯寺を建立した。真言宗は、大日如来(毘盧遮那仏)を本尊としている。
行基

奈良時代の僧。民衆への布教と社会事業を重視し、橋や池の建設など公共事業を推進。東大寺大仏建立にも協力し、民衆仏教の先駆者となった。668年~749年没。自身は正式な僧であったが、多くの民衆が私度僧として従 い、各地で布教や土木工事・貧民救済などの社会事業を行った。当初、私度僧たちの活動は弾圧されたが、のちに認められ、東大寺大仏の造立に参加した。
法然

浄土宗の開祖。専修念仏を説き、「南無阿弥陀仏」と唱えることで誰でも極楽往生できると主張。平易な教えで民衆に広く受け入れられた。法然によれば、極楽浄土に往生するため必要なことは、ほかの修行法は一切捨てて、ただひたすら「南無阿弥陀仏」の念仏を称えることである(専修念仏)。法然にとって、最も簡単にできる称名念仏こそ、凡夫のため に仏が選んだ極楽往生のための唯一で究極の正しい行であった。
フランシス・ベーコン

経験論の始祖。「知は力なり」と唱え、帰納法を重視。四つのイドラ(偏見)を指摘し、実験と観察に基づく科学的方法を提唱。
デカルト

デカルト(1596年から1650年没)はフランスの哲学者で、合理論の祖、近代哲学の父とされる。「我思う、ゆえに我あり」で有名。方法的懐疑を通じて確実な知識の基礎を探求し、理性による真理の探究を重視。
中江藤樹

日本陽明学の祖。「知行合一」を重視し、実践的な儒学を説く。孝を根本とし、身分を超えた教育活動を展開。「近江聖人」と称された。
山鹿素行

兵学者・儒学者。武士道の理論化に貢献し、「士道」を説く。古学を提唱し、儒教の日本化を図った。実践的な武士の倫理を確立。朱子学の日常生活からかけ離れた観念性や内面の修養にかたよった立場を批判した。そして著書『聖教要録』において、漢代以降の儒学者の説を排し、直接、周公や孔子など古代中国の聖人の教えを学ぶという立場を明らかにして、古学を提唱した。
北村季吟

江戸時代前期の歌学者・国学者。「源氏物語」や古典文学の注釈で知られ、和歌の理論を体系化。徳川光圀にも重用された。『源氏物語』などを研究して、『源氏物語湖月抄』を著した。江戸幕府は儒者の林羅山に命じ、日本の通史である本朝通鑑の編纂という大規模な修史事業を行った。
徳川光圀

水戸藩主。「大日本史」の編纂を開始し、水戸学の基礎を築く。尊王思想を重視し、儒教に基づく政治を実践。後の幕末思想に影響。家督を継いで藩政確立に努める一方、彰考館で歴史書である『大日本史』の編纂をはじめ、朱舜らを招いて学事にあたらせた。
ヴォルテール

啓蒙思想家。寛容の精神を説き、理性と自由を重視。教会や専制政治を批判し、「私はあなたの意見には反対だが、あなたがそれを言う権利は命をかけて守る」と主張。
モンテスキュー

啓蒙思想家。「法の精神」で三権分立を提唱。権力の集中を防ぎ、自由を守るための政治制度を理論化。近代立憲政治の基礎を築いた。モンテスキュー(1689年から1755年没)は、ロックの影響を受けつつ、古代ローマ史などの研究や、ヨーロッパ各国の社会事情や制度を実地に調査した結果をもとに『法の精神』を著しました。
ジェレミー・ベンサム

功利主義の創始者。「最大多数の最大幸福」を道徳と立法の原理とした。量的快楽主義を唱え、社会改革と法制度改革を推進。
イマヌエル・カント

批判哲学の創始者。三批判書(純粋理性・実践理性・判断力)を著し、認識論と倫理学を革新。「定言命法」により普遍的道徳法則を提示。
ヘーゲル

ドイツ観念論の完成者。弁証法を確立し、歴史を「絶対精神」の自己展開として捉える。正・反・合の発展論理で世界を説明。
オーウェン

空想的社会主義者。労働者の生活改善と協同組合運動を推進。人間の性格は環境により形成されると主張し、理想的な共同体の建設を試みた。イギリスの紡績工場の経営者として成功し、利害対立のない共同社会という構想を掲げてアメリカにニューハーモニー村という共同体を建設
サン=シモン

空想的社会主義の先駆者。産業社会の発展を重視し、科学者と産業家による合理的社会運営を構想。「各人の能力に応じて」を提唱。フランスの貴族として生まれ、平和な産業社会の確立を説いた。
フーリエ

空想的社会主義者。ファランステール(理想的共同体)を構想。人間の情念を肯定し、労働を魅力的なものに変えることで理想社会を実現しようとした。商業資本家の悪徳と無政府性を批判し、ファランジュという理想的な共同社会を構想した。
キルケゴール

実存主義の先駆者。主体性と実存を重視し、「死に至る病」で絶望を分析。単独者としての神への信仰を説き、大衆社会を批判。
カルヴァン

宗教改革者。予定説を唱え、神の絶対主権を強調。「キリスト教綱要」を著し、プロテスタント神学を体系化。資本主義精神の形成にも影響。
カール・マルクス

科学的社会主義の創始者。唯物史観と資本主義批判を展開。「資本論」で剰余価値説を示し、階級闘争による社会変革を主張。
エンゲルス(1820年かた1895年没)と協力して、ヘーゲルの弁証法やイギリス古典派経済学、空想的社会主義などの影響を受けながら新たな社会主義の理論体系を築き、『資本論」などを著した。マルクスの思想は、一般にマルクス主義と呼ばれる。
オーギュスト・コント

実証主義の創始者。社会学の確立者として知られ、人間精神の発展を神学的・形而上学的・実証的段階に区分。科学的方法の社会への適用を提唱。
レーニン

ロシア革命の指導者。マルクス主義を発展させ、帝国主義論と前衛党論を展開。世界初の社会主義国家ソビエト連邦を建設。資本主義の現状を分析し、マルクス主義論を成長させた、それとともに、ロシアの特殊な状況下での革命成功への道を見いだした。マルクス主義をもとにレーニンが発展させた社会主義論をマルクス・レーニン主義という。
ジョン・スチュアート・ミル

功利主義哲学者。質的快楽主義を提唱し、「満足した豚であるよりも不満足なソクラテスである方が良い」と主張。自由論で個人の自由を擁護。
フリードリヒ・ニーチェ

実存主義哲学者。「神は死んだ」と宣言し、既存の道徳と価値観を批判。超人思想と力への意志を説き、ニヒリズムの克服を目指した。
福沢諭吉

啓蒙思想家・教育者。「学問のすゝめ」で天賦人権と実学を説く。慶應義塾を創設し、西洋文明の紹介と近代化を推進。独立自尊を重視。
内村鑑三

キリスト教思想家。無教会主義を提唱し、「二つのJ」(JapanとJesus)に仕えることを理想とした。不敬事件で知られ、平和主義を貫いた。
夏目漱石

文豪・思想家。近代的自我の問題を追求し、「則天去私」の境地を目指した。西洋近代の個人主義と日本の伝統との葛藤を文学と評論で探究。
ハイデガー

実存主義哲学者。「存在と時間」で現存在の分析を行い、存在の意味を問う。技術文明批判を展開し、現象学を発展させた。
ヤスパース

実存主義哲学者。「限界状況」における実存の自覚を説く。「枢軸時代」の概念を提唱し、人類史における精神的革命期を指摘した。ヤスパース(1883年から1969年没)は、人間が生きる以上避けられず、しかも乗り越えられない壁のような状況が存在すると述べ、これを限界状況と名づけた。死・苦悩・争い・罪責が、限界状況の代表例である。
サルトル

実存主義哲学者。「実存は本質に先立つ」と主張し、人間の自由と責任を強調。「存在と無」で現象学的存在論を展開。文学と政治活動も活発。サルトル(1905年から1980年没)は、ニーチェやハイデガーらと同様、神の存在を立てない無神論的実存主義を説いた。
レヴィナス

現象学者・倫理学者。他者の「顔」に対する無限の責任を説き、存在論より倫理を優先。ホロコースト体験から他者への配慮を根本に据えた。
ハンナ・アーレント

政治哲学者。全体主義の分析で知られ、「悪の凡庸さ」を指摘。活動的生活(vita activa)を重視し、公共空間における行為の重要性を説いた。
ジョン・デューイ

プラグマティズム哲学者。経験を重視し、「為すことによって学ぶ」教育理論を展開。道具主義を唱え、民主主義と教育改革を推進。
ウィリアム・ジェームズ

プラグマティズムの創始者。真理は有用性によって決まると主張。宗教経験の多様性を研究し、心理学の発展にも貢献した。
ユルゲン・ハーバーマス

批判理論の代表者。コミュニケーション的行為の理論を展開し、討議倫理学を提唱。公共圏の概念を提示し、対話による合意形成を重視。
ジョン・ロールズ

政治哲学者。「正義論」で「無知のヴェール」を提唱し、公正な社会制度の原理を探究。格差原理により、最も恵まれない人々の利益を優先する正義を説いた。
西田幾多郎

京都学派の創始者。「善の研究」で純粋経験を説き、西洋哲学と東洋思想を統合。「絶対矛盾的自己同一」など独自の哲学体系を構築。西田幾多郎(1870年から1945年没)は、1911年に刊行された日本最初の独創的哲学書『善の研究』の著者。
柳田国男

民俗学の創始者。「遠野物語」などで日本の民間伝承を記録。常民の生活と文化を研究し、日本人の精神性と民族性の解明を目指した。柳田国男(1875年から1962年没)は、農村の貧困問題を解決しようと農政学を志し、やがて官僚をやめて民俗学に専念し、精力的な活動を通じて民俗学を広め、研究者を育成して、独立した学問の1分野として定着させた。
和辻哲郎

倫理学者。「人間の学としての倫理学」を展開し、「間柄」の概念を提唱。風土論により文化と環境の関係を分析し、日本的倫理の特質を探究。和辻哲郎(1889年から1960年没)は、ドイツ留学からの帰国後の1934年、『人間の学としての倫理学』を発表。
マザー・テレサ

カトリック修道女。インドの貧しい人々への献身的な奉仕で知られる。「神の愛の宣教者会」を設立し、最も小さき者への愛の実践を貫いた。ノーベル平和賞受賞。
コメント