【高校生物基礎】生物と環境についてまとめています。
生態系
一定地域内に生活する生物と環境から成る1つのまとまり。
- 生物群集(一定地域内の同種・異種の生物の集団)」
- 無機的環境(温度、湿度、光、土壌、大気、水、栄養分など)
生物と環境の関係
- 作用…無機的環境が生物に影響を与えること
(例)光周性による植物の開花、動物の冬眠、鳥の渡り - 反作用(環境形成作用)…生物が環境に影響を及ぼすこと
(例)森林内の照度低下・湿度上昇・気温の変動幅縮小 - 相互作用…生物どうし(同種または異種)の間のはたらきあい
(例)捕食-被食関係、縄張り、競争
生物の適応
生物は生活環境に合わせた形態や生活様式を示す。
生活形
環境に適応している植物の形態。常緑高木・落葉高木・低木・つる植物・一年生草本・多年生草本など。
- ラウンケルの生活形…低温・乾燥などの悪条件下での植物の休眠芽(抵抗芽ともいう)の位置で分類。寒冷地では地表植物の暖地では地上植物の割合が多い。
植物の陽葉と陰葉
1本の木につく葉でも, 強い光の当たる陽葉は日陰についた陰葉より厚く、小さく、補償点・光飽和点が高い。
指標生物
生息状況から環境を推測できる生物。
<水生昆虫の種類と水質>
- ヒラタカゲロウやヘビトンボが生息 → CODが小(有機物量が少)
- ユスリカやイトミミズが生息→ CODが大(水質が汚濁している)
生物群集とその構造
生物群集は、自然界の個体群は互いに密接な関係を持って生息する。ある地域に生息する個体群をまとめて生物群集と呼ぶ。
生物群集を構成する栄養段階
- 生産者…無機物から有機物を合成する生物(緑色植物など)。
消費者
生産者が合成した有機物を食料とする生物。
- 一次消費者…イナゴなど、直接植物を食べる植物食性動物。
- 二次消費者…一次消費者を捕食する。小鳥などの動物食性動物。
- 三次消費者…マグロなど、二次消費者を捕食する動物食性動物。
分解者
動植物の遺体や排出物中の有機物をCO2やH2O、NH3など、この無機物に分解する生物(カビ・キノコなどの菌類や細菌類
食物連鎖と食物網
- 食物連鎖…生物群集内で鎖のようにつながる補食-被食の関係。
- 食物網…網目状に複雑になっている捕食-被食の関係。生物群集では、1つの個体群が複数の栄養段階に属したり、数種類の個体群が1つの栄養段階に属している。
植物群落
生物群集を構成する植物集団。相観(植物群落の外観を全体的にとらえたもの)により、森林・草原・荒原に区分。
優占種
植物群落の中で被度の大きな種や個体数の多い種。植物群落に特徴的に多く見られる種を標徴種という。
森林の階層構造
森林内には高さにより、高木層・亜高木層・低木層・草本層・地表層の階層構造が存在。熱帯雨林で発達人工林は単純。
- 林冠…樹冠が接して連続している状態。
- 林床…草本層と地表層をまとめた呼び方。
森林の土壌
層状に発達。地表面に近い部分から、落葉・落枝の層。腐植質の層、岩石の風化した層、母岩と続く。
- 生産構造…植物群落で物質生産(光合成)に関係する葉のつき方。
- 層別刈取法…生産構造を調べる方法。一定の面積の植物群落を、一定の高さごとに刈りとり、同化器官(葉)と非同化器官の重量を測定。
生産構造図
層別刈取法の結果を図に表したもの。
- イネ科型…群落内に光が入りやすいので、全体の受光量は多く、物質生産に有利。葉を支える茎は少量。
- 広葉型…個体群上部に葉が多い。葉を支える非同化器官の割合が高い。葉を高い位置につけられるので、光を求めての競争には有利。
生物多様性のための環境保全
熱帯林の破壊として、焼畑、木材伐採、農地、放牧地拡大が原因。土壌流出による砂漠化・種多様性の低下・炭素の固定能力減少などの問題。
富栄養化
生活排水や田畑から有機物・業案・リンなどで沼や内湾が富栄養化。植物プランクトンや細菌の異常増殖により溶存酸素が不足し、多くの水生動物が死亡。例として、赤潮 アオコ(水の華)
- 有機物…炭素Cと水素Hを含む化合物
河川の自然浄化
河川に流入した有機物は、細菌や原生動物のはたらきで 無機物(CO2など)にまで酸化分解され、水質は改善される。その際には多量の酸素が消費される。
- 無機物…有機物以外の物質は「無機物」となります。金属などは無機物の代表例です。
生物濃縮
生物体の通常 の代謝で分解・排出されない物質が体内に蓄積される。環境中の濃度が低くても、栄養段階の高いものほど高濃度に濃縮。たとえば、有機水銀やDDT
地球温暖化
CO2、メタンなど赤外線を吸収する温室効果ガスによる気温上昇(温室効果)。海水面の上昇、異常気象、感染症の拡大など。(CO2濃度上昇の原因) 化石燃料の大量消費や熱帯林の伐採など。
オゾン層の破壊
フロンが原因となって成層圏にあるオゾン層が破壊される(オゾンホール)。紫外線が増加し、皮膚がんや白内障の原因に。酸性雨・工場や自動車などから排出される窒素酸化物(NOx)や硫黄酸化物(SOx)から発生した硝酸・硫酸が雨に溶け込んでpH5.6以下になったものを酸性雨という。樹木の枯死、湖沼の魚類死滅などの被害。
光化学スモッグ
NOxやSOxが紫外線と反応して生じた硝酸・硫酸・オキシダントの影響で呼吸困難・目の痛みなどが発症。生物多様性の低下・毎年膨大な数の生物が絶滅し、生態系・群集・種・遺伝子の各レベルで多様性が低下。
生物保護の対策
レッドデータブック・ワシントン条約・ラムサール条約など。
- ワシントン条約…正式名称は「絶滅の恐れのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」。野生動植物の国際取引がそれらの存続を脅かすことのないよう規制することを目的に、1973年にワシントンD.C.で採択。
- ラムサール条約…正式な名称は、「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」で、1971年にイランのラムサールで採択され、1975年に発効した。
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