【高校生物基礎】ヒトへの進化、進化の証拠についてまとめています。
ヒトへの進化
原始食虫目から霊長類へしていく際に、哺乳類の適応放散。ツパイに似た原始食虫類の仲間から樹上生活に移行、初期の霊長類誕生。
霊長類の特徴
樹上生活への適応が知能の発達につながる。
- 腕渡りが可能な肩関節の回転。
- 枝をつかみやすい指・親指が他の指と向かい合い、平爪に。
- 視覚の発達…両目が前方を向き立体視。色覚の獲得。
ヒトの特徴
最大の特徴は直立二足歩行。
- 脊椎・脳…S字状の脊柱, 垂直に支えられた頭骨、脳容積の増加
- 顔・歯…眼窩上隆起の退化、U字型の歯列。犬歯の小形化
- 骨格・手足…短く幅広く丸い骨盤、長い下肢(足)、手の発達
ヒトの誕生
- 600万年前…アフリカの草原で地上生活をする直立二足歩行の職人(アウストラロピテクス)誕生。(100万年前頃絶滅)
- 230万年前…原人出現。石器をつくる。
- 60万年前…旧人が出現。寒冷なヨーロッパに適応。
- 20万年前…アフリカの旧人から新人(ホモ・サピエンス)へと進化。
単一起源説
約15万年前にアフリカを出た新人が、寒冷・乾燥など環境を克服して世界中へ広がり現在のヒトの祖先となったとする説。
進化の証拠
化石が示す証拠…ふつう上の地層の化石は下の地層にある化石より新しい。新旧の化石を比較検討して進化の道筋を知る。
- 中間型の化石…始祖鳥は、ハ虫類の特徴である歯があり尾骨がある。鳥類の特徴である体表が羽毛でおおわれ翼を持つ。
- 連続的変化を示す化石…ウマの進化(林の中で木の葉を食べる小形のエオヒップスから草原で草を食べる大形のエクウスへ)
相同器官
形やはたらきは違うが、基本的構造や発生の起源が同じ。相同器官を持つ生物種は共通祖先から進化。(例)鳥の翼とヒトの腕
相似器官
形やはたらきが似ていても、基本的構造や発生の起源が異なる。(例)鳥の翼とチョウの越、セキツイ動物の目とイカの目
痕跡器官
今は退化しているが先祖では機能していたことを示す。(例)ヒトの尾骨・耳の筋肉・虫垂(盲腸)・目の瞬膜・クジラの後肢
反復説
「国体発生は系統発生(進化)をくり返す」。類縁関係がある生物どうしは初期発生に共通点が見られるというヘッケルの考え。
適応放散
共通の祖先を持つ生物がさまざまな異なる環境に適応して多様な系統に分かれること。(例)有袋類(コアラ、フクロモグラなど)
分子進化
生物種が異なると、ヘモグロビンなど、同じタンパク質でもアミノ酸配列が異なる。進化の過程でDNAの塩基配列が変化したためて、違いが少ないほど近縁で、分岐した年代は新しい。
原始生物の進化の問題
原始生命誕生後の生物進化の出来事や化学進化に関連する物質を示した。 それぞれ古い順に並べよ。
(1) ア DNAワールド (DNAが遺伝情報, タンパク質が触媒のはたら
イ RNA – タンパク質ワールド(RNAが遺伝情報, タンパク質が触
ウ RNAワールド (RNAが遺伝情報としてはたらき, 触媒作用も行
(2) ア 従属栄養原核生物誕生 イ 独立栄養生物語
(3) ア 好気性細菌の出現 イ嫌気性細菌の出現
(4)
ア タンパク質などの複雑な有機物
イ メタン, アンモニア, 二酸化炭素などの無機物
ウ アミノ酸などの簡単な有機物
原始生物の進化の問題の解答・解説
答 1ウ→イ→ア, 2 ア→イ, 3イ→ア, 4 イ→ウ→ア
1 DNAを持つ原始生物が誕生する前にRNA を含む単純な生命体が存在していた時代 (RNAワールド)があるという考え。3原始大気には O2はほとんどなく,最初の生物が生活した海中にもほとんど容存していなかった。4化学進化や隕石がもたらした簡単な有機物から複雑な有機物ができた。
91 進化学に関する用語の問題
進化について述べた次の文のなかで,正しいものはどれか。
(1) 用不用説は,適者生存によって,生存に必要な器官や機能が発達し,重要でない部分は退化していくとする説である。
(2) 中立説は日本の木村資生によって提唱された説で,分子レベルの進化は自 然選択よりも偶然によって生じると唱えた。
(3) 大進化と小進化は,分化がどの分類階層までの規模で起こるかの違いで, 事例の多い大進化のほうがより研究が進み, 説明が可能となっている。
(4) 遺伝的浮動 (機会的浮動) とは、環境の変化によって子孫を多く残せる形質が異なってくるために, 集団内の遺伝子の遺伝子頻度が変動していくことを示す用語である。
(5) 隔離には地理的隔離と生殖的隔離があり,地理的隔離が起こればそれだけ で進化が生じる原因となる。
91 進化学に関する用語の問題の解答・解説
答(2)
(1) は適者生存があてはまらない。
(3) 現在の進化論で説明できるのは小進化までである。
(4) 遺伝的浮動は,生存や生殖上の有利不利には 関係のない突然変異に関するもので, 環境の変化には影響されない。
(5) 地理的隔離は, 突然変異や生存競争が起こることで進化が生じる要因となる。
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