【大学入試小論文】東京農業大学農学部農学科(2020年度・推薦入試)小論文の解答例です。改題となります。
【実際の問題】近年注目されているスマート農業は、「ロボット技術やICTなどの先端技術を活用し、超省力化や高品質生産などを可能にする新たな農業」とされる。今後のスマート農業の導入のメリットと課題についてあなたの考えを述べよ。
【改題】日本の農業が抱える問題がスマート農業によりどのように解決されるのか、またスマート農業に携わる農家の人にはどのような能力が求められるのか。あなたの考えを 800 字程度で述べなさい。
【改題】東京農業大学農学部(2020年度)小論文のある人の解答例
日本の農業は、農家の高齢化とともに、後継者が不足しているという課題を抱えている。生命を支える農業が衰退するということは食料自給率の低下にもつながりかねない。
これらの状況に至った原因は2つある。まず、農業という職業は肉体的な負担が大きいことだ。現代はサービス業など第3次産業就労者人口が多い。次に、生計を立てる難しさだ。最近は有機農業に興味を持ち、農業を始める若手が多いが、上手くいかずに辞めてしまうという新聞を読んだことがある。
これらの課題解決は、スマート農業の自動化によってもたらされると考える。具体例として、自動トラクターが挙げられる。以前、私が農家を訪ねた際、真夏の長時間作業の苦悩を耳にした。自動化することで、このような肉体的負担を減らせるだけでなく、農法技術を持っていなくとも農業を始めることができる。
確かに、スマート農業だと操作的技術が必要ではないかという意見も想像できる。しかし、慣行農業は天気や土壌の様子、害虫被害などに臨機応変に対応する技術が必要とされる。対して、スマート農業は、操作方法を身につけさえすれば、AIなどを用いた水や天気、育成状況の管理システムにより、効率的な分析が可能だ。その結果、臨機応変に、失敗と負担の少ない農業を可能にする。
スマート農業に携わる農家の人に求められる能力は、新しい技術を受け入れてみようという積極的な行動力だ。初めは操作方法の習得の苦労や初期導入の費用の負担があるが、生産性の向上は長期的に農業を続けるためには不可欠である。農家の意識改革だけではなく、政府や大学によるスマート農業の普及への支援を行うことで、日本はスマート農業を積極的に取り入れ、農業を活性化していくべきだ。
【改題】東京農業大学農学部(2020年度)小論文の添削・アドバイス
1.冒頭の説得力を高める
課題の深刻さをより具体的に伝えると、興味を引きやすくなります。
例:日本の農業は、全農家の約7割が65歳以上という高齢化に直面し、後継者不足が深刻化している。生命を支える農業が衰退することで、食料自給率が現在の37%(2023年時点)からさらに低下する恐れがある。
具体的なデータを用いると、問題の現実味が増します。
2.課題の原因を補強する
原因について説得力を高めるため、若者が農業を敬遠する背景を少し掘り下げてみましょう。
修正案:農業は肉体的負担が大きい職業であり、特に暑い夏や寒い冬における過酷な作業が若者にとって魅力的に映らない。さらに、農業による生計の安定が難しい現状も後継者不足を招いている。例えば、農林水産省の調査によると、農業就業者の約半数が年間所得200万円以下と回答している。
データや事例を入れることで原因がより具体的になります。
3.具体例の明確化
スマート農業の例に説得力を持たせるため、自動トラクターについて少し掘り下げるとよいでしょう。
修正案:例えば、自動トラクターはGPS技術を活用し、畑のどこを耕しているかを正確に把握できる。これにより、作業時間が大幅に短縮されるだけでなく、人間が操作する際の労力を削減できる。このような技術は、特に高齢化が進む農業現場で必要不可欠だと考えられる。
スマート農業がどのように現場で役立つかをより具体的に説明できます。
4. 反論への対応を強化する
スマート農業に対する懸念に説得力を持って反論できると、主張が強化されます。
修正案:確かに、スマート農業では新しい操作技術が必要になる。しかし、近年では操作の簡易化が進んでおり、スマートフォンやタブレット端末を用いた直感的な操作が可能だ。また、操作方法の習得に必要な時間は、従来の農法技術を学ぶ時間と比較して短期間で済む。
【改題】東京農業大学農学部(2020年度)小論文の全体修正案
日本の農業は、全農家の約7割が65歳以上という高齢化に直面し、後継者不足が深刻化している。生命を支える農業が衰退することで、食料自給率が現在の37%(2023年時点)からさらに低下する恐れがある。
これらの状況に至った原因は2つある。まず、農業という職業は肉体的な負担が大きいことだ。特に暑い夏や寒い冬の過酷な作業が、若者にとって魅力的に映らない。次に、生計を立てる難しさである。例えば、農林水産省の調査によると、農業就業者の約半数が年間所得200万円以下と回答している。このような現状では、若者が農業を敬遠するのも無理はない。
これらの課題解決は、スマート農業の自動化によってもたらされると考える。例えば、自動トラクターはGPS技術を活用し、畑のどこを耕しているかを正確に把握できる。これにより、作業時間が大幅に短縮されるだけでなく、人間が操作する際の労力を削減できる。このような技術は、特に高齢化が進む農業現場で必要不可欠だと考えられる。
確かに、スマート農業では新しい操作技術が必要になる。しかし、近年では操作の簡易化が進んでおり、スマートフォンやタブレット端末を用いた直感的な操作が可能だ。また、操作方法の習得に必要な時間は、従来の農法技術を学ぶ時間と比較して短期間で済む。その結果、初心者や若者でも失敗や負担の少ない効率的な農業を実現できる。
スマート農業の普及は、農業の未来を担う若者の参入を促進し、日本の農業が抱える課題解決への大きな一歩となるだろう。
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