【高校倫理】ハーバーマスの思想についてまとめています。「より良い社会は、対話によって築かれる」―この考えを提唱したのが、20世紀ドイツの哲学者ユルゲン・ハーバーマスです。彼は、民主主義の基盤として「コミュニケーション的行為」を重視し、自由で理性的な対話こそが社会の合意形成を可能にすると考えました。その思想は、現代の政治やメディア論にも大きな影響を与えています。本記事では、高校倫理で学ぶハーバーマスの思想をわかりやすく解説し、その意義について考えていきます。
ハーバーマス
ドイツの哲学者・社会学者ハーバーマス(1929年生まれ)は、フランクフルト学派の第2世代に属する人物です。主著は『公共性の構造転換』『コミュニケーション的行為の理論』など。
対話的理性
ハーバーマスによれば、近代社会には、人々が合意によって行為を調整するルールをつくり、社会統合をめざすコミュニケーション的合理性の領域が存在する。この領域において、他者との理にかなったコミュニケーションや合意を可能にする理性が対話的理性である。対話的理性にもとづく自発的な合意の上に、社会の公共性が築かれる。
生活世界の植民地化
近代社会には権力や貨幣などの働きで人々の行為が調整され、社会システムが統合されるシステム合理性の領域も存在する。政治的支配や経済成長を目的とする現代の社会では、システム合理性の領域が拡大し、対話的理性にもとづく公共社会が侵食される、生活世界の植民地化という問題が起こっているとハーバーマスは指摘する。
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