【高校倫理】荀子の思想についてまとめています。「人の性は悪なり」―この考えを説いたのが、中国戦国時代の儒家・荀子です。彼は、人間は生まれつき利己的な性質を持つが、教育や礼によって道徳的に成長できると考えました。この「性悪説」は、孟子の「性善説」と対照的な立場ですが、どちらも人間の成長や道徳の重要性を説いています。本記事では、高校倫理で学ぶ荀子の思想をわかりやすく解説し、その意義について考えていきます。
荀子の思想
性悪説、礼治主義についておさえておきましょう。
性悪説
趙の国に生まれた罰子(前298頃から前235頃)は、孔子の教えを継承しながらも、孟子の性善説に反対した。
荀子は、「人の性(本性)は悪にして、 善なるものは偽(作為)なり」と述べ、人は生まれつき欲にひかれ利を好み、放置すれば争乱がおこるとする性悪説を唱えた。
礼治主義
荀子は、孔子の教えの中でも礼を重視した。
仁に根ざした礼の内面性を重視した孔子とは異なり、荀子は、礼を古代の聖王らが人為的に定めた社会規範としてとらえた。人は欲望を自分で律することは難しく、外的な社会規範としての礼によって人々の行動を規制し、その性質を矯正していていくことが必要であると説き、礼によって人民を治める礼治主義を唱えた。その思想は、韓非子らの法家思想に大きな影響を与えた。
儒家思想
儒家思想は、前漢末から国家の学問思想として浸透し、2000年以上東アジアで影響力を持ち続ける思想である。
儒家思想とは、道徳(人倫)を重んじる思想であり、政治的には「徳治主義」を特徴とする孔子、孟子・荀子の思想をいう。
儒とは、古くは葬礼の民間指導者たちの意味がある。孟子の少し前の墨子の兼愛交利(無差別な愛と互いの利益)と専守は認める非攻を説く墨家(武装集団)思想と比較すると、儒家思想の特色が明らかとなる。
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