大学入試・小論文出題ネタ|日本経済問題のポイントについてまとめています。経済、商、経営、法などの社会系の学部で、日本経済の現状についての知識について問われることがあります。経済状況を知らないと、問題の意味を理解できずに、論が底の浅いものになります。
日本経済の問題点
【1】1980年頃から2010年頃まで
【2】2010年頃から現在
に分けて、問題点を整理したいと思います。
【1】1980年頃から2010年頃まで
当時の日本がかかえていた最大の経済問題は、貿易摩擦です。円高、米の輸入問題など、米との経済問題のほとんどは、貿易摩擦に起因している。
日本が先進国になったのは、ガット体制、つまり自由貿易を目的として1948年に設立された関税貿易一般協定機関のおかげだった。このために、日本は 貿易に力を入れて、車や家電、ハイテク製品を中心に輸出を伸ばして、先進国になった。
だが、輸入に関してはむしろ保護貿易の立場に近かった。米などの農産物に特にその傾向が強かった。それ以外の製品に関しても、日本には役所の規制が多く、農産物にも、使用する農薬の種類など、厳しい決まりがある。そのために、外国からの輸入を難しくしていた。
そのような事情で、諸外国、特に欧米が、日本にもっと市場を開放し、外国品や外国企業を日本に入れるように求めてきた。これから、いっそうの市場の開放が求められてきた。
加工貿易に依存していたが、現在は製品輸入が増加。
- 貿易相手国…輸出入ともに中国が1位。ついでにアメリカ合衆国。
- 主な貿易港…成田国際空港、東京港、名古屋港、横浜港など。
- 問題点…貿易摩擦、工場の海外移転による産業の空洞化。
日本経済の抱えていたもう一つの大問題、 それは産業の空洞化だ。先進国では、土地も交通費も人件費も高くつくので、発展途上国や中進国に工場を移転して安い労働力で製品を作るようになってきている。
ベトナムやインドネシア、中国などに次々と日系企業の工場ができている。そして、現地の労働者を使って製品を作っている。そのために、日本からどんどんと工場が海外に進出している。
そうした問題は、製品が安くなって、日本の消費者に利益をもたらし、途上国に労働力を作りだすという面でプラスになるが、このままでは、日本の工業が競争力を失い、技術力を失う恐れが出てきていた。
日本はベトナムやインドネシアとの工業競争に敗北することになるかもしれない。しかも、工場が国内になくなるので、日本の労働者は仕事を見つけることができなくなる恐れがあった。
そうした問題をこれから日本は解決しなければならなかった。そのためには、これから、高度なハイテク技術を開発して、工業国をリードする必要がありました。
日本の消費者が世界から製品を輸入して、世界の環境を破壊している。たとえば、日人の紙の消費のために、あちこちで森林が切り倒されている。
米は日本人にとって特別な食べ物だという理由で、海外の安い米を原則として輸入していない。だが、外国からの圧力で、輸入自由化が行われる恐れがある。
【2】2010年頃から現在
現在の日本経済は複数の課題に直面しています。まず、高齢化と少子化が深刻な問題として挙げられます。高齢者の増加により、労働人口が減少し、生産性の低下や社会保障費の増加などの影響が出ています。これにより、将来的な経済成長が脅かされています。また、少子化も深刻であり、若年労働力の減少や消費の低迷につながっています。
さらに、日本の地域間格差が拡大しています。首都圏や大都市部では経済が活発化している一方で、地方では人口減少や経済の停滞が進んでいます。この地域格差は、地域間の社会的・経済的不平等を助長し、地域全体の持続可能な発展を妨げています。
また、日本経済は公的債務の増加に直面しています。長期にわたる財政赤字や社会保障費の増加などがその主な要因です。公的債務の増加は将来の経済成長や国家の財政安定性に悪影響を与える可能性があります。
日本企業のイノベーション力の低下も懸念されています。競争が激化し、グローバルな市場での競争力を維持するためには、革新的な技術やビジネスモデルの開発が不可欠です。しかし、日本企業の研究開発への投資や新規事業の創出が十分に行われていないという指摘もあります。
さらに、日本の規制環境や官僚主義も経済の活性化を妨げる要因となっています。ビジネスの立ち上げや成長を阻害する煩雑な手続きや規制、また、新しいアイデアや技術の導入を難しくする官僚主義的な構造が存在します。これらの要因が、日本経済の活性化やイノベーションの促進を阻害していると指摘されています。
総合すると、日本経済は高齢化、少子化、地域間格差の拡大、公的債務の増加、イノベーションの停滞、規制環境の改善の必要性など、多くの課題に直面しています。これらの課題を克服し、持続可能な経済成長と社会的な安定を実現するためには、包括的な政策の策定と実施が必要です。
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