【高校倫理】プラトンの思想についてまとめています。
プラトンの思想の特色とは
- 理想主義…理性によって認識できるイデアを真の実在とする理想
- イデア論…プラトンはイデアを理性(精神) によって観られた、理想の形や本質という意味で用いた。
の2つは押さえておきたいです。
理想主義の哲学
プラトン(前427から前347没)は、師であるソクラテスの絶対的・普遍的な真理を追究する姿勢を受け継ぎ、理性によって認識できるイデアを真の実在とする理想主義の哲学を打ち立てた。
ポリスの再建と正義の実現
プラトンは、28歳のときソクラテスの刑死を目の当たりにし、アテネの民主政治の腐敗・堕落した姿に深く失望した。そこで、腐敗したポリスをどのように再建し、正義を実現するかということが、プラトンの思想の1つの大きな課題となった。
プラトンのイデア論とは
イデア (idea)は本来、「見られたもの」「ものの形や姿」などを意味する。プラトンはイデアを理性(精神) によって観られた、理想の形や本質という意味で用いた。
イデア界と現象界の二元論的世界観
プラトンは世界には、➊目などの実際の感覚によってとらえられる現象界と、➋理性によってとらえられるイデア界という2つの世界が存在するという二元論的世界観を唱えた。
個物と本質とは
鳥を例にとると、現実の世界にはさまざまな形や大きさ、色、鳴き声など多種多様な特徴を持つ鳥がいる。それぞれの鳥は、個別の鳥(個物) として存在し、全く同じ鳥は存在しない。しかし、どの鳥も「鳥」であるという1つの点、つまり「鳥」という本質を持っていることに変わりはない。この本質こそ、イデアである。
イデアこそ真実在
しかし、一羽一羽の鳥は、生まれてはまた死んでいく。これに対して、「鳥」という本質(鳥のイデア)は変わることなく、永遠不滅である。したがって、イデアとしての「鳥」こそ確固たる真実在にほかならず、生成消滅する個々の鳥は、イデアとしての「鳥」の不完全な影あるいは標像にすぎない。このようにプラトンは、本質であるイデアは永遠不変の真実在であるのに対して、生成消滅する現象界の事物は、イデアの模像であり単なる「影」であると考えた。
洞窟の比喩
ところが人間は感覚の世界にとらわれ、「影」を実在と思い込む。プラトンは、人間は、洞窟の奥に壁の方を向けてつながれた囚人にたとえられるという。彼らは、外からさし込む太陽の光が壁に映し出す影だけを見て、その影を実在の物と思い込んでいるのである(洞窟の上に)。イデアは、理性の働きによって認識することができるが、肉体的な感覚・欲望は、純粋な理性の働きの妨げとなる。「肉体は魂の牢獄である」ともいわれる。イデアを認識するためには、できる限り魂を肉体的な欲求から解放し、純粋に理性が働くよう努めなければならないとする。
善のイデア
あらゆるイデアの中で最高のイデアを、善のイデアという。それは、あらゆる善いものを善いものとしている「善」そのものである。善のイデアの働きは、現象界における太陽のように、他のイデアを照らし出し、イデアとしての存在や真理性を与える、イデアのイデアであるという。
プラトンにとっての哲学とは
プラトンにとって哲学の目標は、最高のイデアである善のイデアを認識する(=真理・本質を知る)ことである。
想起説とは
人間の魂は、本来は肉体の住む現象界ではなく、イデア界に住んでいたプラトンは説く。この世への誕生で魂が肉体に宿るとともに、魂はイプをほとんど忘れてしまったが、イデアの不完全な影・模像である現象界のさまざまな事物を見るたびに、かつての記憶を呼び覚まし、もとのイデアの完全な姿を思い起こすのだという。これを想起(アナムネーシス)という。
エロースとは
魂はかつていたイテア界にあこがれ、完全なもの、善美なるものを思慕して、それらの認識に達しようとする。こうしたイデアへの欲求をエロース(愛慕)とよび、フィロソフィア(愛知)の源泉となる。
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