【高校地理】世界の工業地帯まとめです。世界各地には、産業の発展とともに形成されたさまざまな工業地帯があります。ヨーロッパのルール工業地帯、アメリカの五大湖周辺の工業地域、中国の長江デルタなど、それぞれの地域には地理的条件や産業の特色があります。また、近年では環境問題や産業の空洞化、新興国の台頭など、工業地帯を取り巻く課題も重要なポイントです。
この記事では、世界の主要な工業地帯の分布や特徴をわかりやすく整理し、テストに役立つ知識を詳しく解説します。しっかり復習して、得点アップを目指しましょう!
世界の三大工業地帯
世界の工業生産の拠点は、①西ヨーロッパ、②NAFTA諸国(アメリカ・カナダ・メキシコ)、③東アジア(日本・中国・韓国)・東南アジアの3つの地域から成り立つ(三極構造)。
地域 | 主な国 | 代表的な工業地帯・地域 | 特徴・ポイント |
---|---|---|---|
① 西ヨーロッパ | ドイツ、フランス、イギリス など | ルール工業地帯(独)、北フランス工業地帯(仏)、ミッドランド工業地域(英) | 伝統的な重工業が発展し、近年は先端技術産業(IT・航空宇宙など)が成長。EU統合による経済圏の形成。 |
② NAFTA諸国(アメリカ・カナダ・メキシコ) | アメリカ、カナダ、メキシコ | 五大湖周辺工業地域(米)、シリコンバレー(米)、メキシコ北部のマキラドーラ | アメリカが中心で、自動車・IT・航空宇宙産業が発展。メキシコは安価な労働力を活かした組立工業が盛ん。 |
③ 東アジア・東南アジア | 日本、中国、韓国、ASEAN諸国 | 京浜・阪神工業地帯(日)、華南・長江デルタ(中)、蔚山・浦項(韓)、シンガポール・マレーシアの工業地域 | 日本・韓国はハイテク産業が発展、中国は「世界の工場」として成長。東南アジアは外資を活用した工業化が進む。 |
工業の種類とそれぞれの特色
工業の種類 | 特徴・例 |
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繊維工業 | 綿・毛・化学繊維を使用した衣類や布製品を生産。歴史的に工業化の先駆けとなることが多い(例:インドの綿工業、中国の繊維産業)。 |
金属工業 | 鉄鋼・非鉄金属(アルミ・銅など)を生産し、自動車・機械工業の基盤となる(例:日本の鉄鋼業(新日鉄)、中国のアルミ産業)。 |
機械工業 | 工作機械・精密機械・産業機械などを生産。技術力が重要(例:ドイツの精密機械、日本の産業用ロボット)。 |
自動車工業 | 自動車の製造・組立を行う産業。多くの部品が必要なため、関連産業も発展(例:日本のトヨタ、アメリカのフォード、ドイツのBMW)。 |
エレクトロニクス(電子)工業 | 半導体・家電・コンピュータ・スマートフォンなどを生産。最先端技術が求められる(例:アメリカのアップル、韓国のサムスン、日本のソニー)。 |
その他の工業 | 食品・化学・製紙・セメントなど、多岐にわたる産業が含まれる(例:フランスの食品産業(ワイン・チーズ)、アメリカの化学産業)。 |
繊維工業
糸を紡ぐ紡績糸を織って布を作る織物、布から衣服を作る製パレル)の3部門がある。原料には綿花・羊毛・生糸・麻などの天然繊維とポリエステル・ナイロンなどの化学繊維(合成繊維)がある。
- 天然繊維の生産は発展途上国が中心。化学繊維の生産は先進国が多いが、近年は中国の生産量が急増。綿織物の生産は中国・インド・パキスタンの割合が高く、生産を伸ばしている。
- 縫製はアジアの発展途上国が安価な量産品を生産。中国の生産量が急増。
- ファッション性が求められる高級品の生産は、イタリアなど先進国が多い。
金属工業
鉄鋼業は石炭を利用するため,かつては炭田地域に立地した。イギリスのミッドランド・ドイツのルールがその例。しかし、第二次世界大戦後、鉄鋼一貫製鉄が行われるようになると、ダンケルク(フランス)・タラン ト(イタリア)・ゲーリー(アメリカ合衆国)・ト ロント(カナダ)・東京湾岸のような臨海部での立地に変化した。
- 鉄鋼の生産は、1980年代以前は旧ソ連・アメリカ合衆国、1980年代からは日本が世界一。
- 1990年代後半からは中国の生産量が急増した。
- アルミニウムはボーキサイトを原料に生産されるアルミナを電気分解して生産。大量の電気を要するため、安価な電力が得られる地域で生産 される。
機械工業
機械工業は、輸送機械(自動車)・電気機械・エレクトロニクス(電子)・精密機械を含む工業。加工組立型工業であるため、多くの関連産業が主たる工場の周辺に発達。組立ラインによる大量生産方式が確立。
- 機械工業は、労働集約型工業であるので、知識集約型工業以外は賃金の安価な中国や東南アジアなどの発展途上国の割合が増加。
自動車工業
日本(豊田・浜松・広島・水島など)・アメリカ(デトロイト)・ドイツ(シュツットガルトなど)・韓国(ウルサン)で発達。1970年代以降は外国 に生産拠点を展開。1990年代以降は 東南アジア・インド・中国・東ヨーロ ッパへ進出。近年は中国の生産量が急増。日本は円高のため国内生産が減少。
エレクトロニクス(電子)工業
コンピュータ・半導体・集積回路(IC) などの電子機器の製造を行うのがエレクトロニクス(電子)工業。アメリカ西部(サンノゼ)のシリコンヴァレーやインドのバンガロールなど。
その他の工業
- 化学工業は各種の原料を化学的に処理して製品を製造する工業。たとえば、化学肥料・合成繊維・プラスチックなどを製造する石油化学工業がある。日本では太平洋ベルト,オランダではアムステルダム、フランスではマルセイユなどの臨海部に石油化学コンビナートが集積している。
- 出版・印刷工業は情報の得やすい大都市に立地。東京・パリ・ニューヨーク・ロンドンなどで発達。
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