【高校政治経済】国際社会の諸課題の探究の問題です。
地球規模の社会課題
世界経済はアメリカ合衆国・西ヨーロッパ・日本の三極構造となり、発展途上地域では南北問題と南南問題とが重層的にもつれあう、複雑な状況があらわれている。冷戦解消後、国際平和への期待が高まったにもかかわらず、核開発競争、宗教・民族対立、経済格差などを背景とする地域紛争が各地で噴出している。
また、資源の大量消費・大量廃棄をともない、地球的規模での環境汚染・環境破壊を引き起こしている。こうした問題の解決は、現代文明の最大の課題となっている。
地域紛争
冷戦体制崩壊(1980年代末~)→民族や宗教間の対立が表面化し、各地で地域紛争が多発→国際紛争へ発展。
- コソヴォ問題…新ユーゴスラヴィアのミロシェヴィッチ政権がコソヴォ地区(アルバニア系が多い)の自治を抑圧→武装闘争に発展。アメリカはコソヴォを支持し、NATO軍がセルビア空爆→国連が介入し暫定自治政府成立。
- チェチェン紛争…チェチェン共和国がロシア連邦からの独立を要求→内戦へ、1994年12月ロシア軍の軍事介入(第1次チェチェン紛争)→1996年8月停戦、テロがモスクワで頻発→1999年ロシア軍事介入(第2次チェチェン粉争):首都グローズヌイ破壊→チェチェン人のテロ活動活発化。
- グルジア紛争…アブハジア人の分離独立運動などが武装闘争へ発展。
- クルド問題…2000万人以上のクルド人がトルコ・イラン・イラクなどに散在。
- ソマリア内戦…1980年代から激化、エチオピア・スーダンが介入
- ルワンダ内戦…1990年ツチ族とフッ族の対立が内戦へ→フツ族強硬派によるツチ族の大量虐殺・難民発生→NGOなどの国際支援活動が展開。
- 東ティモール内戦…インドネシアからの独立をめくって内戦。スハルト退陣後、1999年国民投票で独立決定→独立反対派の襲撃で内乱→国連による多国籍軍派遣→2002年独立。
- ユーゴスラヴィア内戦…大統領ティトーの死・冷戦終結で民族の対立が表面化→1991年6月クロアティアとスロヴェニア独立、1991年9月マケドニア独立、1992年ボスニア・ヘルツェゴヴィナ独立→新ユーゴスラヴィア(セルビアとモンテネグロ)軍が侵攻し内戦へ→1995年10月停戦。
地球環境問題
近年、世界の各地で環境破壊がおこり、人々の生活に影響をあたえるだけでなく、貴重な動植物が絶滅の危機にさらされている。 熱帯地域に広がる熱帯林は伐採などで極端に減少し、砂漠の周辺地域などでは砂漠化が進んでいる。
・砂漠化…過放牧や無理な開発による干ばつが原因。サヘル地域で拡大。(先進国では,土壌侵食・土壌の塩性化が問題)。
・熱帯林の伐採…木材(チーク材・ラワン材)の伐採、焼畑農業,農地開発などが原因。
・産業廃棄物の投棄…先進国で処理できない廃棄物が途上国に集中。都市化や工業化による大気汚染や水質汚濁なども深刻。
・地球温暖化…化石燃料(石炭・石油)の燃焼で, 温室効果ガス(二酸 「化炭素など)が発生。海面上昇や気候の変化。
・酸性雨…空気中の硫黄酸化物・窒素酸化物が雨にとけて降る。ヨーロッパ諸国は, 1979年, 長距離越境大気汚染条約を締結。
・オゾン層の破壊…フロンガスがオゾン層を破壊し、紫外線が増加。
・光化学スモッグ…窒素酸化物が太陽の紫外線を受けて化学反応を起こし、目やのどなどを強く刺激する物質をつくります。
国際連合は地球環境を守るために国連人間環境会議、地球サミット、地球温暖化防止京都会議、ヨハネスバーグ環境開競サミットなどを開き、国際的な協力による環境保護の重要性守る重要性を確認した。水鳥などの生活の場をにラムサール条約が結ばれ、自然景観や文化財の保護のために世界遺産条約が結ばれている。
南北問題
第二次世界大戦後、アジア・アフリカなどで植民地支配から 独立する国々があいついだ。これらの国々は地球の南半球に多く、植民地時代に先進諸国の原料供給地や市場とされ、コーヒー・綿花・ゴム・サトウキビ・カカオなど、単一の商品作物を栽培するモノカルチャー経済を強いられた。
このため、政治的に独立しても、国内には食糧や日用品など。 国民の最低限の需要をまかなう産業が未発達であった。しかも、輸出農産物価格は低くおさえられ、先進工業国との経済格差が固定化した。このような、南にある発展途上国と北にある先進工業国との経済格差による諸問題を南北問題という。
- 植民地支配…植民地の解放とは、独立運動の結果、多くの植民地が独立を果たします。
・アジア…インドネシア、フィリピン、インドなどが独立。
・アフリカ…1960年に17国が独立を果たし、「アフリカの年」と呼ばれる。 - 国連貿易開発会議(UNCTAD)…発展途上国と先進国間の南北問題などの貿易上の問題を解決するための会議
難民問題
人口の急激な増加O2012年現在、世界の人口は約71億人。途上国でアジア・アフリカなど人口増加率が高く、経済発展が追いつかず、多くの人が貧困に直面。
1951年「難民の地位に関する条約」として採択。難民の生命や自由が脅威にさらされる恐れのある国に難民を送還してはならないとしている。1967年には「難民の地位に関する議定書(難民議定書)」を採択。
- 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)…難民に対する保護活動を行う。
- 国内避難民…国内にとどまる避難民。国内避難民と経済的理由により祖国を離れた難民は、難民条約では保護・救済の対象外とされている。
貧困問題
2011年現在、約10億人が貧困の状態にあり、特に1日1.25ドル未満で生活 サハラ以南のアフリカで深刻になっている。また、食料供給のかたよりと飢餓の途上国を中心に約8億人の人々が、7人に1人が飢餓、栄養不足の状態が長く続く飢餓の状態になっている。一方で、捨てるほど食料を消費する先進国もある。
途上国の子どもと女性の問題の途上国では学校に行けない子どもも多い。また、経済的、文化や宗教上の理由から学校に通えない女性も多い。それにより、女性の識字率が男性より低い傾向になり、自立を困難にしている。人口にしめる日常的な読み書きができる人の割合を高くする必要がある。
- 2001年、国連はミレニアム開発目標を決定→改善が不十分な分野もある→「持続可能な開発目標」を採択。
- 途上国の人々の自立に向けての自立をうながし支える必要→フェアトレード(公正貿易)やマイクロクレジット(少額融資)の取り組み。
核軍備拡張の競争
1949年にソ連も原爆実験を行い、冷戦下の米ソ両国は、大量破壊兵器としての核開発・軍拡・核戦略を推し進めた。
- 核開発…水爆・戦略爆撃機・大陸間弾道ミサイル(ICBM)などを展開。サイロと呼ばれる地下核輸送網も発達。冷戦中期以降、SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)やMIRV(多弾頭核ミサイル)なども開発され、地球上のどこへでも確実に核攻撃が可能になった。
- 核戦略…アメリカの採用した大量報復戦略や 事態のレベルに応じた柔軟反応戦略など。また同盟諸国への核兵器による保護は核の傘と呼ばれる。
■核軍備の広がり
核抑止体制のもとで、 核兵器拡散の動きが進んだ。
- インドとパキスタン…インドは1974年・1998年に核実験を実施。パキスタンは2回目のインドの核実験に対抗して1998年に核実験を実施。
- イスラエル…核兵器を保有しているとの疑惑がある。
- 北朝鮮…2003年、部分的核実験禁止条約からの脱退を表明。
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